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気になりつつも耳にしていた評判に慄いて手を出せずにいたが遂に借りて来る。初期作品集ということで比較的読みやすい?
とは言え緊密で硬質な文章は何の気なしに読んでいると、上滑りして全然頭に入ってこない。読む側にも集中力を求め、叙述された世界をしっかり再構築する必要を感じる。それでも作品の世界の理を理解出来ている訳でもなく、どれ程享受出来たかも怪しい。
「夢の棲む街」「ムーンゲート」「遠近法」想像力で世界を構築するというのはこういうことかと思わせる。言語による世界の構築に対するフェティッシュな欲望というか。温もりを排した鉱物的な冷厳な世界。
「夢の棲む街」の<脚>の踊り子や天使、人魚のイメージはグロテスクにして鮮烈。猥雑なのに静謐な世界観。
「月蝕」が大学生と小学生の姪の凸凹コンビの76年京都の街の彷徨譚という感じで、作者も「何ともお気楽」と記しているが読みやすく楽しい。姪の女の子がコケティッシュで小悪魔。というか彼女は誰だったんだろう?
「童話・支那風小夜曲集」は雰囲気のある作品。
「透明族に関するエスキス」面白いけど実際いたら汚れと悪臭で迷惑そう。
「眠れる美女」ブラック。ヒドイ。