紙の本
チアを通して彼らは次の高みをめざす。朝井リョウ「チア男子!!」。
2010/12/21 19:08
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウのデビュー2作目。最後ま
で読んでやはり彼は力のある作家だと確信した。はっきり言って、前半
は感心しない。ムダな表現があまりに多すぎるのだ。ムダがすべてダメ
というわけではないが、青春スポーツ小説のそれはテンポを生み出さな
い。致命的な欠点だ。最初の柔道の部分も長過ぎる。全10章のうちの6
章後半からようやく良いテンポが生まれ、そこからラストまでは気持ち
よく読める。それだけに前半のムダが惜しい。
そのタイトル通り、これは男子だけのチアリーディングチームの物語
だ。柔道をあきらめチアを始める晴希、誘ったのは友人で柔道でもライ
バルだった一馬だ。最初は7人、最終的には16人の大学生たちで作る
チーム、彼らはそれぞれに物語があり、何とか次のステップに進みたい
と考えている。そんな彼らだからこそ「チアリーディング」が必要だっ
た。「チアは本来、観ている人を応援し、希望を、勇気を与える唯一の
スポーツ」だ。そのためには自らもパワーを持っていなければならない。
しかも、メンバー間に強い信頼がなければ強いチームは作れないのだ。
彼らはチアを通して変わり、立ち直り、さらに高みをめざし進んで行こ
うとする。大団円に用意された競技会、2分30秒の演技、そこで作者は、
演技と16人の想いをシンクロさせるという大技に出ている。それは着地
までピタリと決まって本当に見事だ。特に演技の描写が素晴らしい。朝
井リョウ、彼の来年の活躍に期待したい。
ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より
紙の本
熱い熱いチア男子たちの物語。
2012/03/16 20:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
柔道一家に育った晴希。幼い頃から柔道をする姉の背中を追いかけながら育った。自分の才能に限界を感じていた彼は大学生になったばかりの頃の怪我をきっかけに柔道部を辞めた。そして、同時に柔道部を辞めた幼なじみの一馬が言った「俺はハルと新しいこと始める」という言葉でチアリーディングを始めることになる。一馬の亡くなった母親がチアリーディングをしていたのだ。二人っきりで始めたチアだったけれど、徐々に仲間は増えていき…。
チアリーディングというのをちゃんと観たことがないので、いろんな技の名前がどんどん出てくると少し混乱。表紙の裏にあるイラストを見ながら確認できるものもあったけれど、そうじゃないものはとりあえず名前だけ覚えるって感じになった。うーん…。もっといろんな技を図解してくれるとイメージしやすかったかなぁと残念。けれど、登場する大学生の男子たちのキャラクターは魅力的で、いろんな傷を隠しながら強がってる姿は、微笑ましくもあり、切なげでもあり。
チアリーディングを初めて数ヶ月で形にしてしまう身体能力には驚いてしまう。そのトレーニング方法について詳しく記されているので、それなりにリアリティもある(流れた時間と内容の濃さにギャップは感じるが…)。でも、そんな細かなことはどうでもいいんだ。彼らのチアに懸ける思いが熱い。それぞれに大事なものを目指してステップアップしていく。
学祭での舞台を目指してスタートしたチアメンバーは7人。初舞台が終わったあと、チアリーディング全国選手権を目指して再スタート。メンバーは16人になっていた。
16人というのはチームとして成立する最低限の数字なのかな? 第二ステージから加わった9人だけれど、あまり触れられなかった男子もいた。もったいないなぁ…。ヤクザな世界に憧れている"金"さんの舎弟、"銀"と"銅"なんていっつも二人一組扱い。それでもスポットライトはほとんど当たらなくて。人数を減らすわけにはいかなかったんだろうか(舞台の様子を読むと16人は必要だったんだろうという印象も受ける)。少しキャラがかぶることもあって、名前がちゃんと頭に入るまでは混乱するところもあったかな。
途中で少し読むスピードが落ちて、時々止まったりもしたけれど、最終章は泣きながら読んだ。お互いにぶつかりながらも最後はチームとして一つになった彼らの気持ちが熱すぎて、涙が止まらなかった。だから朝井さんの文章は好きなんだ。
「星やどりの声」が朝井さんの作品では一番好き。この作品は二番目かな。最新作も早く読みたい。
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4にしたい3。
星0.5がほしい。
そしたら4になるかもw
最初はウォーターボーイズやタンブリング(映像だけど)ぽいなぁと思って読んでたんですが。
なので、そこまでハマらずにサクサクと読んでました。
でも、本当最後の2分30秒のところで、ちょっと泣けてしまった。
不覚w
やっぱ青春モノって(・∀・)イイ!!よね~。
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スポ根ものにはあまりハズレはないですよね。
朝井さん。デビュー作の桐島、部活やめるってよを読んでファンになりました
たしかにこの作品ほうが力強いし、文章力もあるかもしれない。それでも桐島のほうがなんか繊細だったかな。あんまり好みではなかったかもしれない。もともとスポ根系が好きではないからかもだけど。読みづらかった。
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柔道一家に育った晴希は幼馴染みの一馬と小学生の頃から柔道を続けてきたが限界を感じて怪我をきっかけに大学柔道部を退部する。同じく退部した一馬とともに男子チアリーディング部を結成して全国大会を目指す青春スポーツ物語。
これぞ青春!!
青春スポーツ小説の王道とも言える展開なんですが男子チアリーディングにスポットを当てたのがよかったのと現役大学生作家さんならでは臨場感がたっぷりです。
デビュー作でリアルな高校生の心情を描くのが上手いなぁ~と思ったけど更にスケールアップ。
15人という大勢の個性的な登場人物を魅力的にリアルにきっちりと書き分けてその心情がビシビシと心に伝わってくるのはさすがだなぁ~っと思う。
「誰かを応援することが主役になる」「誰かの背中を押すことが、自分の力になる」
ベタかも知れないですが何かに真っ直ぐ、一生懸命打ち込む姿はやっぱりかっこよくて美しくて素晴らしい。
青春の時代は遥か昔ですがそんな気持ちを思い出して熱くなって読みました。
題材も新鮮でチアリーディングって馴染みのないスポーツを素人にも判るように丁寧に説明してくれてるので競技にも興味が湧きました。
笑って泣いて熱くなれること必至の青春スポーツ小説です。
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朝井さん二作目の本。
「桐島〜」より全然面白かった。
こちらが思いっきりヤング向けと言いきってしまうとするなら、チアは大人が読んでも楽しめると思う。
所さんの番組で、女子高生のチア部を追ってるのを見たことがあるので、それを思い出しながら読んだ。
表紙の裏に技の紹介がイラストで描かれているけど、ちらっと見ただけじゃあ覚えられるわけもなし。
それでも楽しめる。
情景描写も豊かに、躍動感も豊かに書かれている。
「桐島〜」で止めなくてよかった!
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柔道をやめた一馬と晴希が何か面白いことやろうと始めたのが男子だけのチア。
チアの専門用語が出てくるから最初は読みにくかったけど、このチアメンバーそれぞれが抱えている悩みがわかっていくと、それからは熟読できた。
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青春、スポーツ、自分探し群像劇。
登場人物が増えすぎてややステレオタイプになっているのが難。
ただ、泣ける要素がそろってる。
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メンバー16人、ごちゃごちゃしすぎるかと思ったが、それぞれ的確に書き分けられて、それぞれの悩み、コンプレックスなどが、個人を超えてメンバーとして昇華されていく。人間が多い分雑なところもあるような気がするが、その分いろんな人の視点で語られ、そして勢いがある。
ここで一句ではないが、溝口の名言はおもしろかった。一番のお気に入りだ。
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うん。青春小説。もともとチアは大好きなので入り込めた。技の名前はいまいちピンとこないけど…。
映像化してほしいと思った。そっちのがわかりやすい。10.12読了。
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前半はよくあるパターンの青春物って感じでイマイチ読み進まなかったけど、後半それぞれの抱えているものが見えてくると面白くなった。随所に出てくる名言もいいし、比喩も分かりやすくてよかった。文章の瑞々しさは前作同様。一馬とばあちゃんの件が泣かせる。
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柔道をやめたカズが男子チアを始めた。同じく柔道をやめたハルと一緒に。
ふ…不覚にも涙が…。(いろいろな意味で)
大学生のオトコノコが本気でチアやったら迫力だろうなあ。
会話のテンポがうますぎて爆笑。すごい。
「どうでもいいこと話していい?」「おう」「月島駅って月なのか島なのか駅なのかはっきりしろって感じだよな」「駅だろ」
「ずっと言いたかったけど、ハル音痴やねん!」「……」「ずっと言いたかったけど、ハル音痴やねん!」「聞こえてなかったわけじゃねえよ!もう一回大きめに言ってあげるなよ!」
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話題性だけではもっていけない、
真価を問われる2作目。
イイ。
今しか書けない小説ってアリだと思う。
みずみずしくて、青臭くて、私は大好き。
忘れてしまった色んな想い。
理由をつけて、
できない理由を探して、
縛っているのは自分自身なんだな。
お気に入りは溝口。
いろんな経験をして、
いろんな作品を生み出してほしい。
素敵な作品をありがとう。
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「ウォーターボーイズ」と「風が強く吹いている」を足して割ったような話。違うのは、ここに書かれているのがチアリーディングの話だってこと。
登場人物が多すぎ、個性が書ききれなかったうらみが残ります。金・銀・銅の三人組の、銀と銅の扱いなんかヒドイものです。
その他双子は出てくるし、過去にチームメイトを傷つけた経験者は出てくるし、「風が強く吹いている」と被り過ぎ。
この話だけ読めば楽しめるけど、先行作品を読んでいる人は、どうしても既視感にとらわれるでしょう・・・。
団体競技に素人が取り組むという土台が同じである限り、共通項があるのは仕方がなく、ここではチアの魅力が書ければ、それで成功だと思います。
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男子大学生がチアリーディングを始める。
はじめると言っても人数をそろえるところから苦労するので、スカウトする場面とか面白かったなぁ。最終的には演技を見て入りたいという学生も加わりそれなりの体制になるんだけど。
それぞれが個性的、それぞれに悩みがあるのが、チアを通じで仲間を意識していく過程が面白い。そこまで物語にのめりこめなかったけど、青春って感じ。