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詩人茨木のり子さんの詩をちりばめたプライベートな部屋や遺されたノートなど
家計簿まで。
詩から感じられる潔さ、みたいなのが住む家にも表れるものだと思った。端正なたたずまい。玄関のハンドル、電気のスイッチ、INNOVATORのカレンダー、無印良品の箱。
少し、向田邦子みたい。
「お別れの言葉」が最高にかっこいい。
この家はいまもその場所に建っているのだろうか。端正だが無機質ではなく、あたたかく来る人を迎える雰囲気がある。お呼ばれしたい。
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-肉体をうしなって
あなたは一層 あなたになった
Yの箱にあった手書きの原稿から読める、
ダンナ様への想いに、目頭が熱くなりました。
詩集と写真集のミクスチャー。
茨木のり子さんは詩人だけど、妻であり、
ごくごくそこにある日常を暮らしていたことが
読めました。
甥っこさんのあとがきが、それをより際立たせてました。
名文です。
花の拠点「はなふる」センターハウスの蔵書です。
-自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
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『みずうみ』
人間は誰でも心の底に
しいんと静かな湖を持つべきなのだ
田沢湖のように深く青い湖を
かくし持っているひとは
話すとわかる 二言 三言で
それこそ しいんと落ちついて
容易に増えも減りもしない自分の湖
さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖
教養や学歴とはなんの関係もないらしい
人間の魅力とは
たぶんその湖のあたりから
発する霧だ
…
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愛着のある物のあるおうちは、とても素敵だ。
やはり戻って読み直したくなるのは
「わたしが1番きれいだったとき」
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素敵なお宅でした。ご夫婦の素敵さがにじみ出ていて、ゆったり感と、生活美と、スタイリッシュさが、うまーく混ざりあった感じでした。こんな素敵なおうちに住んでみたいなぁーと思いました
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ご本人が、建築家の従姉妹さんと一緒に設計したという家。落ち着いて凛とした家、と思うのは、詩のイメージから喚起されるものだろうか。外観も内装もどこを切り取っても絵になる。あいだあいだに載る詩が纏う空気そのまま。
書斎や本棚の写真、家の平面図、直筆原稿、文房具。何度も眺めてしまう。私が死んだ後、誰かがこうやって写真を撮っても、こんなふうにはならないだろうな。生き方の凛々しさが、違うから。
台所とダイニングをつなぐ引き戸のあるカウンター。私の父が設計した祖母の家にあったものを思い出させて、懐かしい。祖母の家は#鶴岡市 にあり、茨木のり子さんも鶴岡に所縁があり、鶴岡に眠っておられる。
ご自分で準備なさったお別れの言葉。その静かさ、美しさ、潔さ。
きっと、何度も読むだろう。
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茨木のり子さんが32歳の時、従姉妹の建築家と一緒に設計した家の写真、間取り、子供の頃の日記、詩人仲間と撮った写真、書棚など、興味深いもの盛りだくさんの一冊。所々に茨木さんの詩も載っています。
特に気に入ったのが、作り付けの棚の数々。
書棚だったり、腰高窓とその下に作られた棚だったり…。これ、私が好きな感じのやつばかりじゃん…、と興奮しました。最近の家であまりこういうの見ないし、あったとしても何か趣きが全然違う…
他に、特に好きだったもの。
ご自身が生前に書き置いた、
〈このたび私 この世におさらばすることになりました〉
で始まる、お別れの挨拶。転居の挨拶さながらのその潔さに感服しました。
〈だいたいお母さんてものはさ しいんとした
とこがなくちゃいけないんだ〉
という二人の少女の会話からはじまる、
『みずうみ』という詩。
〈人間は誰でも心の底に しいんと静かな湖を持つべきなのだ〉、という主張に納得。子供を生んでからばたばた必死に生きていたら、いつの間にか自分の中の、その湖が無くなってきた、少なくとも枯渇してきた気がする…と反省しました。
とても楽しい、大満足な一冊でした
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本書は茨木のり子自邸の写真と共に詩が収録されている。寄りかからずの椅子や自身のポートレート(谷川俊太郎撮影)、居間、書斎の造り付け本棚、庭に生えているみかんの木、書斎から見れる紫陽花、旭硝子製の型ガラスこのは越しに見える植物。思考が生まれる場所の写真と共に思考を言語化した詩を並行して読めたのは面白かった。
他にも詩の原稿や夫への想いを綴った未発表の原稿、自筆の死亡通知の原稿も見ることができるため、詩がより生き生きとしているような気がした。
本書の中で好きだった詩は恋唄です。夫の思いを綴った恋唄の原稿写真の横には笑う茨木のり子さんと夫の写真があり少し感動した。そして今まで茨木のり子さんの凛々しい姿の写真しか見てこなかったために、純粋な少女のようで微笑ましかったです。
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ここまで公開するか、とちょっとびっくり。でも知りたかったことはほぼ分かりました。まず、公開を進めてくださった甥ごさんに感謝です。
「家」をみせていただくと、ますます茨木のり子さんがどんな人だったのか、実感を持って迫ってきます。茨木さんらしいクールさは、家というか暮らしの隅々にまで漂っていて、時にそっけない、冷たいと思うほどなのに、「Y」の箱の中には理屈抜きの熱い感情があふれている。その解放感は対照的です。全体に茶色い色調の家の中で、食卓に生けられたユリの花の清潔な美しさ、窓下に匂う金木犀のオレンジが救いのように感じられました。
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茨木のり子が、夫、三浦安信と暮らした一軒家(1958年施工)、いま見ても斬新なデザインで、住み心地が良さそうです。さまざまな写真と、茨木の代表的な詩が織りなす読み応えのある一冊でした。
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詩人による日常見える世界からの切り抜きとそこから広げる創作世界の描き方には、大きくも小さくも、その言葉の数々に、いつもはっとさせられる。家の写真や手書きの原稿から人とその生活を垣間見られるのも、本書の魅力であることは間違いあるまい。
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茨木のり子さんの自宅の写真集ですね。
2月27日は茨木のり子さんの命日です。
2010年11月発行。亡くなられて四年後ですね。
撮影期間は2008年8月~2010年7月。
茨木のり子さんの甥の、宮崎治さんの協力で発刊されています。
虎は死して皮を遺すと云いますが。この本は、まさに茨木のり子さんの脱け殻の様ですね。この家の保存の運動が成されているようです。是非とも保存が成功されると良いですね。
茨木のり子さんの詩も勿論、紹介されています。
中でも、「Y」と書かれた木箱が印象でした。有名な箱です。ご主人への想いを詩編にされた原稿と、ご主人が茨木のり子を描かれたクロッキーなどが納められています。
遺稿の写真も印象的でした。えんぴつ書きで、親しみやすい優しい字で綴られています。
こうした本で、作家の方を身近に感じるのも「ならでは」ですね。