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「これからの正義の話をしよう」は、挫折してしまったが、こちらはサクサク読めました。テレビ番組のままの対話形式だからでしょう。難しい哲学用語にも解説が付いて親切です。でも、中身は深く考えさせられます。
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ベンサム、カントなどの哲学者からの教えを元に、身近なテーマを交えて正義について考える講義を収めた本。サンデル教授の分かりやすい語り口もあってか非常に読みやすい(といっても完全には理解できないのですが)。特にカントをこれだけ平易な内容で説明したのは珍しいです。哲学に入る入口としては良書。こんな授業だったら受けたいと思いました。
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政治哲学を題材にして、正義について議論し理解を深めていく講義をまとめたもの。非常に面白かったし、勉強になった。学生の時は、何のために勉強する必要があるのかも分からず、とにかくとっつきにくかった哲学をこれだけ関心を持って学ぶことができたのは初めて。実は、『これからの「正義」の話をしよう』は3分の1ぐらいで挫折し、塩漬けになっているのだが、この本の場合、具体的な例を挙げていることもさることながら、生徒との対話式という形で進んでいくので、非常に理解しやすい。肯定意見と否定意見とそれぞれの根拠を生徒に挙げさせることで、論点がはっきりするからだろう。それ以上にこの本(というか、この授業)に感動したのは、講義全体が自由に議論できる雰囲気を醸成しているサンデル教授。ユーモラスだし、生徒の言いたいことをしっかりと汲んでくれる。そんな所が生徒を自発的にさせるのだと思う。一度は受けてみたい授業だと思った。
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東大の授業をテレビで見て興味を持ったので読んでみた。テレビでは雰囲気で内容がわかったつもりになるけど、本だとちょっと難しい。学生とのやりとりはわかりやすいので、この上下巻を読んでからJusticeに手をつけよう。
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現代政治は哲学や倫理の欠落により腐敗していると思えてくる、当たり前の疑問や主張を知の巨匠が誠実に掘りさげた、対話ゆえに間口の広い良書。近日早速NHKが対話式のワークショップを様々な分野で番組づくりを始めたことにつけ、この教育法、知との付き合い方は今後の社会の主流になっていくと思われる。
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テレビ番組のテロップを上下巻にわけて出版だなんて、正直、これは「サンデルブーム」に乗っただけのボッタクリ商売だろう、と思っていた。読んだあとも、この本にその面があることは否定できない。でも、これはこれでありかな、というのが読後の率直な感想だ。
ベストセラーにもなった『これからの正義の話をしよう』のほうが当然詳しいのだけど、こちらは学生との対話が主なので、何よりわかりやすい。中学生に読ませるなら、まずはこっちかなと思う。ただ、最初のいわゆる「トロッコ問題」にしても、相当に単純化されたケースしか扱っていないので、あくまで最初の一冊としてお薦めという感じ。
それより、一教員として面白いなと思ったのは、サンデルさんの学生とのやりとりの仕方。テレビでは、ごく自然にやりとりをしていたように見えたけど、本にして読んでみると、サンデルさんが相当意図的に場を支配していることがよくわかる。たとえば、学生がピント外れな発言をした時は、問いの条件を変えて問い直すことで議論の流れを元に戻す。タフな学生が相手の時は、何度も彼を問い詰めて論点をめぐる立場の相違をはっきりさせる。ちょうど哲学者たちの議論とかぶる発言が出てきた時は、学生の意見をその立場から再解釈して講義に戻す。全体的にかなり巧みな話術で、議論をリードしていく様子が、この本を読んでいくとよくわかる。ここらへんは教員として勉強になる一冊だった。
あと、もう一つ面白いと思ったのが、ハーバードの学生のバックグラウンドの多様さ。もちろん基本的には上流階層だから本当に多様なわけではないのだが、それでも人種や国籍の多様さは、このような価値をめぐる議論をするときにはとても重要なのではないかな。たとえば、ロックの社会契約論がネイティブアメリカンへの権利の侵害にあたるという議論が学生の側から出てくるなどの場面が、印象に残っている。
これが、東大などの日本のエリート校だとどうだろう。バックグラウンドが似通っているので「意見の対立が起こらず、議論が盛り上がりにくい」ケースも想定されるのではないか。
そういうハーバードの多様性やサンデルさんのかなり強力な(でもそれと感じさせない)コントロール。それにもちろん課外の諸活動を加えて初めてあの講義が成立するのだなあ。それを実感した一冊だった。後編も読んでみよう。
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学生とサンデル教授の掛け合いが面白い。
哲学を現実に則した様々な切り口で砕いていくので、哲学が少し身近に感じた。
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「正義論」は、単体で消化するのはまず無理であっただろうから。素肌が水を弾くのに似て。
「正義論」は、「ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業」の骨格。あるいは「ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業」は骨だけの「正義論」に肉付けをしたもの。
そう。邦訳で800ページを超える「正義論」には、見事に骨しかない。どういうことかというと、具体的事例や歴史的事件がほぼ完全に欠如しているということ。もちろん著者が意図的にはぎ取ったのである。本書に出てくる固有名詞は、ほぼ全て哲学者の名前であるのも、彼らの論を論じるためであって彼らの直面した問題を例示して話をわかりやすくするためではない。
そう。わかりにくい。「正義論」は、実に読みにくい本である。文章は難解ではない。しかし定理と証明ばかりが登場し、例題の全くない数学書が読みにくいのと同様、一般化・抽象化された論の純粋な連鎖がかくも読みづらいものだとは。1970年に出た初版は全世界で50万部も売れたそうだが、本当に読んだ人がどれくらいいるのだろうか。
しかし著者自身「かなり冗長である」と述べているとおり、本書は一字一句きちんと読まねば「使えない」という本ではない。本書の結論は、オビに要約できるほど完結である。
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サンデルの名前買いでろくすっぽ中身を確認しなかったので、けっこうあれ?という内容でした。やっぱり『これからの~』を薄めた感がするのはいなめないなぁ…。これなら全篇東大講義でまとめてほうがよかったきがします。
あとわざわざ上下巻にしなくてもいいのではないでしょうか?早川書房さん。
『これからの~』がこの本より字びっしりめで分厚かったのだからさぁと。
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NHK教育で放映された番組を録画したのはいいけれど、正直12時間も観ていられない人のための本。私もそのクチ。
ミルとベンサムの功利主義とかロックの契約説とかカントの純粋理性批判とか、おおそういや1×年前に授業で聞いた覚えがあるなあ。
当時は「ねむっ!」と思ったものだが、この本はわかりやすくてよろしいです。と言うか、その記憶があるので比較的把握しやすいだけと言う気もしないでもない。←リバタリアニズムは世代じゃないかマジ熟睡してたか・・・あら?
有名な哲学者の思想を解説していくだけでなく、サンデル教授自身の考えに引き寄せている部分は、読み手の好みの分かれるところ。ま、そこらへんは分別して読んでりゃ問題はないでしょう。
小林教授の解説箇所が意外にお役立ち・・・(笑)
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「あまり理屈っぽくなるとモテなくなるから気をつけたまえ、諸君。だがモテることだけが人生だろうか。人類の歴史の中でモテない輩というのは常に存在してきたわけで、だからこそモテないことにも崇高な意味があり、われわれはそれを継承する価値があるのではないか。まぁちなみに私はこのとおりモテモテなんだけど。」
サンデルはどうして哲学をこんなにモテる分野に変えることが出来たのか。
サンデルが流行る前にも「1○歳か始めるナントカカントカ」と題して、著名な学者が哲学の大衆化をねらった作品がたくさん出た。しかしどれも失敗した。なぜか。それはどんなに分かりやすく書いても、どんなにおもしろ可笑しく書いたとしても定言的に、つまらないものはつまらないし、どうでもいいものはどうでもいいからだ。
ならばどうしてサンデルはここまで流行ったのか。それはサンデルがかっちょいいからである。それに劣らずハーバードの学生がかっちょいいからである。我々の多くは、おそらくそこに食いついたはずだ。
「1○歳から~」達と白熱教室の大きな違いは、後者が体を使って伝えるという努力をした点にある。体を使って「かっこいい」と思わせたのが勝因だと考える。「かっこいい」と思ってみてみたら、それが偶然哲学だったという具合に、サンデルは大衆を巻き込んだ。
そしてここに教訓がある。どれだけ分かりやすく書いても、読んでもらわないことには誰にも理解されない。最近「コミュニケーション能力」とかいう言葉のせいで神経過剰になり、わかりやすく伝えることを難しく考えてダメになる人が多いような気がする。いろいろ丁寧に喋ってるけど、どうも聞く気がしないというような。しかし「わかりやすさ」というのは本当のところ、「何か知らんがかっこいい」という門前の部分でほとんど決定されてしまうのではないかと思う。
「かっこいい」と思ったら、読んでみたくなる。みんな読んでると理解しないといけなくなる。努力する。この本を読んだことで日常会話が盛り上がる。理解に努めるし、みんな読んでるから、サンデルの本がとても分かりやすくて、おもしろい本になる。
そして「かっこいい」門前の議論こそが、サンデル氏曰くの「君たちがすでに知ってることを教える」事に繋がるのだ。哲学は文章をつなぐ事を言うのではない。体を使う事だってそうだ。楽譜や台本だけを読んで面白いと思うのはごく一部の人間。体を使って演じねば。一見すると俗っぽい、そういうことを含めて初めて「現実を引きはがす」ことが可能になるのではないか。
面白くなきことを、面白く。日本でも誰か落語形式でやらないものか。きっとモテモテ。
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話題なので読んで見る。
哲学入門としては面白くわかりやすい。
けれど、やはりテレビみればいいことで、本で読むには物足りなかった。
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生徒さんとの対話が書かれているので
難しい内容でもなんとか理解できて面白い。
(難しいものは難しいですが…)
自分だったらどちらの立場を取るかな?
と考えながら読みました。
下巻のほうも楽しみです。
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NHK教育テレビで放送された、ハーバード白熱教室の第1回~6回までの放送分と、東大講堂での講演の議事録を記したやつ。
Youtubeで見られる英語と一緒に見れば、英語の勉強にもなるかも。
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テレビ程は面白く感じなかったが、
本ならではの奥深さを楽しめた気がする。
道徳的な観念について学生に議論をさせ
決して結論を出したり、
押し付けることはしないのだが
サンデル先生が向かわせたい方向に議論を誘導して
学生自らが本質的な問題に気づくように仕向けている。
非常に理想的なディスカッションであり
自分自身としても、このようなスタイルを目指したいと思える。
一方で、カント的自由などの解釈には
釈然としない部分があり
複雑であるという言葉ではぐらかされてしまっている
ように感じてしまったが、
これは、読んでる私の方に問題があったのだろうと思う。
いよいよ、サンデル先生の本題に向けて進んでいく
ところで上巻は終わり。