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110929読了
最初の素朴でむなしさとふっきれ感がまじる物語のあとの真ん中の話のテンションの高さがはんぱねえ これはコミカルでさくさく読めたー
最後のは文章ほんとながくて読んでるうちに目がすべってかなりつらかった
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島木健作『煙』
ひりひりする悲しさ。
自分の頼りなさ、おぼつかなさが、身にしみて痛い。自分が役立たずだということを、淡々と描く筆致が○。
ユザンヌ『シジスモンの遺産』
笑わせていただきました。そういう意味で「傑作!」
佐藤春夫『帰去来』
一文がながーい文章に、飄々と漂うユーモア。
とぼけたふりして、あっさりさよなら。
3作異なった味わいで面白かった。
ただ、この百年文庫はいったい誰が編集しているのだろう? 編者は誰?
せっかく『本』というテーマで編んであるのだから、何か一言くらいこの『本』という一冊について言及があっていいのではないだろうか。
アンソロジーは、編者の意図を読むのも読者の楽しみの一つだと思うので、非常にもったいないと思う。もったいないというか、惜しい、かな。
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本がテーマのアンソロジー。
百年文庫は文字が大きく短編3本で読みやすい。
いつか手に入れる日を待ち侘びて他人の蔵書を守ろうとする書痴の男が主人公の「シジスモンの遺産」が目当てで借りました。
読んでいて、昔読んだ紀田順一郎さんの古本屋探偵に出て来るコレクター達や梶山季之氏の「せどり男爵」で死んだ旦那の蔵書を売る条件として童貞を寄越せと持ち掛ける未亡人の話を思いだした。
エレオノールの執念も凄いよね。
面白かった。
島木健作の「煙」、佐藤春夫「帰去来」はあまり心に残らず。
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2013.3.26
『煙』島木健作
古本屋。中年の素人のような入札。
さみしくて、わりと良い。
『シジスモンの遺産』ユザンヌ
狂った本好きっていうのは伝わってくる。話としてはやかましい。
『帰去来』佐藤春夫
まあまあ。
具体的に『本』の内容の三話。
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帰省ついでに、新潟市立中央図書館(ほんぽーと)にて。
作家にこだわらず、短編をさくっと読みたかったのと、以前の勤務先の図書館に並んでいてずっと手に取ってみたいと思っていたので選択。
『煙』はモラトリアムを終え、一庶民の実生活に入る覚悟をした大学生のお話。
『シジスモンの遺産』は、蔵書家シジスモンの遺産をめぐる喜劇。ライバルだった男性が、何としても彼の遺産を手に入れるため、相続人の容姿がちょっと・・・なおばさんに結婚を申し込む。本に全く興味がなく、シジスモンを嫌ってさえいたおばちゃんは、本をいかに痛ませるかに腐心、実行。
その本をめぐる戦いがおかしい。
『帰去来』は陶淵明の帰去来辞から。句読点のない文体(だったかな?)が新鮮。
19世紀後半から20世紀前半に書かれた小説は、不思議なおかしみがあって、読むと「いいなあ・・・」と感じます。
日本文学は、海外から入ってきた文学理論を試行錯誤している時期。
実験的な感じ。なかなか味があるんですよね・・・。
しかし、やはり、すらすら読めちゃうものに手を出してしまいがち。
だから、こういう百年文庫のような「テーマごとのアンソロジー」で「さくっと読める」は、いい感じです。
島木健作『煙』
ユザンヌ『シジスモンの遺産』
佐藤春夫『帰去来』
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百年文庫、初挑戦。
ちょっとひねりのある作品のセレクト。
シンプルな装丁に軽い紙・・・は大変結構なんですが、
いかんせん短いお話で。通勤の往復時間は保たない^^;
?島木健作/煙
古本屋の周造叔父の手伝いをしている耕吉が洋書市の買出しを任される。・・・ヴィンケルマンとかブルックハルトとかヴェルフリンとかマイケル・グレーフェとかハイゼンシュタインとかって、知らん〜
?オクターヴ・ユザンヌ/シジスモンの遺産
愛書家ラウール・ギュマール氏が故ジュール・シジジスモンの蔵書を狙うけど、売立てが行われない!
相続人エレオノール老嬢の顔も見ぬうちに求婚を決意!
・・・・・・・。どーよ、それ。氏も大概な人ですが、
老嬢の意趣返しがこれまた凄まじ〜い。
女流作家って容赦ない・・・
?佐藤春夫/帰去来
同郷の文学青年に古本屋家業を薦めるが・・・
佐藤春夫のアノ文体はこの本の体裁だと
とても読みやすい*^^*
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『煙』島木健作
どこがどうと言いがたいが読みにくい文体だ。主人公の生活無能力者ぶりには共感してしまう。
『シジスモンの遺産』ユザンヌ
コミカルに愛書家を描く。インキュナビラが出てくる。
『帰去来』佐藤春夫
こちらは一見読みにくそうな文体だが実はそうでもない。いずれにせよ本で身を立てるのは難しいようで。
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「煙」
生き方にまよい、毎日の生活に迷っている焦りを感じた。
うまくいかない、自信がない。
歳ばかりくっていく。
もう、先に対する希望ももちにくくなってしまった。
なのに、自分の居場所を定められない。
そんな不安と、肩身の狭さをひしひしと感じた。
過去の記録を燃やしたくらいで、今の自分は何も変わらないのだけれど、変わりたい、どこかに行きつきたいという祈りのようなものを感じた。
「シジスモンの遺産」
面白い話だった。実におかしかった。
エレオノールが痛快だった。
熱望と憎悪の駆け引きを読みながら、野次馬のように楽しめた。
もっとやれ~
「帰去来」
この文体。
終わらぬ1文目。
読みにくいけれど、言葉が流れ走っていく感覚は確かにある。
ただ、内容はそれほど面白いとは思わなかった。
すぐに意志を翻す田舎の若者。
それと呼応するかのように心が移ってゆく筆者。
まあ、そんなもんだわな。
たとえくだらないようなことでも、毎月毎日繰り返し繰り返し生きてゆく。
それが人生の基本だ。
木挽きも漁夫もどこかの社員も。