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行動経済学は、人間の弱さを理解したうえで、人々が誘惑を避け、自制を行使し、いつか長期目標を実現するのを手助けする方法を見つけようという学問。
第2章 働くことの意味
仕事の喜びをやる気に変えられるかどうかは、自分の仕事にどれだけ意味を見いだせるかに大きくかかっているようだ。
同僚や部下のやる気を高めたいなら、かれらに気を配り、がんばりや骨折りの成果に関心を払うことだ。逆に、部下のやる気をなくしたいなら、部下が見ているその目の前で、かれらの労作を粉砕するか、もう少しさりげなくなら、部下を無視したり、頑張っている様子に気がつかないふりをするだけでよい。
第3章 イケア効果
人間の労力についての4原則
(1)何かに労力をつぎこむとき、変化するのは労力をかける対象だけではない。わたしたちも変わり、わたしたちがその対象に与える評価も変わる。
(2)労力をかければかけるほど、愛着も大きくなる(イケア効果)
(3)自分で作ったものを過大評価する成功は根深いので、ほかの人も自分と同じ見方をしているはずだと思いこんでしまう。
(4)多大な労力をつぎこんだのに、完成させられなかったものには、あまり愛着を感じない。
第4章 自前主義のバイアス
自前主義バイアス(Not-Invented-Here bias)
「自分(たち)が発明したものじゃないから、大したものじゃない」
自前主義は「歯ブラシ理論」とも呼ばれる。誰もが歯ブラシを欲しがり、だれものが歯ブラシを必要とし、誰もが1本持っているが、だれも他人の歯ブラシは使いたがらない。
自分で作ったものへの愛着 (イケア効果)
自分のアイディアへの愛着(自前主義バイアス)
イケア効果は「セミホームメイド」でも生じる。
自前主義バイアスは、自分で考えたという思い込みでも生じる。
第6章 順応について
痛みの量は、傷のひどさだけでなく、どんな状況で苦痛を経験するか、苦痛にどんな解釈や意味を与えるかによっても決まる。
仕事に感じる満足感は、給料の絶対水準ではなく、給料の変化と強く相関している。
快楽順応 - 当初の肯定的、否定的な受け止め方が薄れていくプロセス(感情が平坦化するプロセス)
快楽順応の程度や速度については、予測を外すことが多い。長い目で見れば、よいことが起こっても思ったほど幸せにはならないし、悪いことが起こってもそれほど不幸にはならないものだ。
「 新しいものが手に入れば、今よりももっと幸せになれるような気がする。」(快楽順応の予測ができないための誤った発想)から、「これさえ手に入れば」と、いつも消費者としてついつい買いすぎてしまう。(快楽の踏み車プロセス)
順応するプロセスを中断すると、順応が遅くなる。これを利用して、厄介なことは一気に片付け、楽しいことは休み休みやれば、満足度が大いに高まる。
積極的順応 - 長い間に下すいろんな決定を通して、数え切れないほどの小さな変化を起こすことで、順応していくこと。進化論の自然淘汰にちょっと似ている。そのため、最終的には自分の状況や制約にぴったり順応���きる。
周りの誰かが、自分にないものを持っていると、違いがきわだち、その結果なかなか順応できないことがある。(高くてあきらめたラップトップを隣の席の同僚が手に入れた、とか)
本当の進歩、本当の喜びは、危険を覚悟で、今までとはまったく違うことをやることでこそ、手に入れられる。
第9章 感情と共感について
人は大勢の苦しみより、一人の苦しみの方に心を動かされるようにできている。(顔のある犠牲者効果)
顔のある犠牲者効果の3要因
(1) 近さ (近接性)- 犠牲者との距離感。物理的な近さにとどまらず心理的な親近感のことでもある。
(2) 鮮明さ - 対極は「あいまいさ」。ケガをした、というだけではなく、ケガをしたときの様子を、こと細かに、涙交じりで説明し、傷がどんなに深いか、傷口がどんなに痛み、どんなにたくさんの血が流れているかを切々と訴えると、ケガの様子がより鮮やかに目に浮かぶ。
(3)「焼け石に水」効果 - 自分の行動が大きな違いを生むという確信が持てるかどうか。自分一人で完全に救いだせると思えるかどうか。「そんなことをしても何も変わらない」と思うと感情のスイッチが切れる。
合理的思考は感情移入を阻害する(計算高さをプライミングされると、顔の見える犠牲者効果が薄れる。)
統計的犠牲者を救う方法として、「情報をたくさん与える」ことを言う人がいるが、どうやらそれは間違っている。むしろイメージできず、逆に思いやりの心が押さえつけられてしまうだろう。
克服するための第一歩は、認識することから始まる。例えば、大規模な貧困問題を考えるよりも、5人を飢えから救う方法を考えれば「焼け石に水」効果を和らげることができる。
第10章 短期的な感情がおよぼす長期的な影響
行動を決定するまえに、必ずちょっと時間をおいて頭を冷やそう。10まで数えて落ち着こう。
いったん自分が決定するやいなや、それが適切な決定だと思いこみ、繰り返す。(自己ハーディング)
かたや、感情にまかせて行動することを選び、いきあたりばったりの決定をすることがあると、自己ハーディングのために、長期に渡る決定に影響がおよぶ場合がある。
つまり、その時の感情は忘れても(消え去った後も)、長い間に渡って決定が感情にとらわれ続けることがあるということ。(感情の連鎖)
特定型と一般型の2種類の自己ハーディング
特定型: 過去に自分がとった特定の行動を覚えていて、それを漫然と繰り返すことで起きる。「この前やったことをやれ」
一般型: 過去の行動を、次にやるべきことの大まかな指針とみなし、それをもとにして似たような行動パターンをとるもの。つまり、決定を、自分のおおまかな性格や好みを表すものとみなして、それにならった行動をとること。
感情の決定は、一般型自己ハーディングにも作用する。つまり影響が大きい。
何かの感情にとらわれているとき、何もしなければ、短期的、長期的に害が及ぶことはない。ところが感情にまかせて決定を下すと、その直接の結果に苦しめられるだけでなく、そのことで長期の決定パターンができあがってしまい、長い間にわたって、誤った方向に導かれるおそれがある。
第11章 わたしたちの不合理性が教えてくれること
認知バイアス
現状維持バイアス
1. わたしたちには、不合理な傾向がたくさんある
2. わたしたちは、こうした不合理性が自分におよぼす影響を自覚していないことが多い。つまり、自分が何に駆られて行動しているのか、よく分かっていない。
だからこそ、わたしたちは、直観を疑ってかかる必要がある。本当に役立つのか立たないのかを知る、最善の手段の一つとして、系統だった実験が重要である。実験を行い、データを収集して注意深く調べ、実験条件と対照条件の影響を比較して、そこに潜むものを見抜くこと。
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序 章 先延ばしと治療の副作用からの教訓
第1章 高い報酬は逆効果―なぜ巨額のボーナスに効果があるとは限らないのか
第2章 働くことの意味―レゴが仕事の喜びについて教えてくれること
第3章 イケア効果―なぜわたしたちは自分の作るものを過大評価するのか
第4章 自前主義のバイアス―なぜ「自分」のアイデアは「他人」のアイデアよりいいのか
第5章 報復が正当化されるとき―なぜわたしたちは正義を求めるのか
第6章 順応について―なぜわたしたちはものごとに慣れるのか(ただし、いつでもどんなものにも慣れるとは限らない)
第7章 イケてる? イケてない?―順応、同類婚、そして美の市場
第8章 市場が失敗するとき―オンラインデートの例
第9章 感情と共感について―なぜわたしたちは困っている一人は助けるのに、おおぜいを助けようとはしないのか
第10章 短期的な感情がおよぼす長期的な影響―なぜ悪感情にまかせて行動してはいけないのか
第11章 わたしたちの不合理性が教えてくれること―なぜすべてを検証する必要があるのか
高すぎる報酬の逆効果は、本書の第一章に登場する。その知見の一部は「モチベーション3.0」にも登場するが、こちらは著者が専門家だけのことあって、説得力は一枚上だ。
勘違いして欲しくないのだが、「報酬を与え過ぎるな」は決して「報酬は与えるな」ではない。「モチベーション3.0」も、「平均以上の給与は与えよ」と言っている。「平均以上」だと全員は無理だという私の著者に対するつっこみはすでにCOURRIE誌でしたのでさておき、ここでいう報酬は「やってもやらなくても得られる」固定給ではなく、「やらないと得られない」成果報酬のことである。
この成果報酬はどのような形で与えるのが望ましいか?以下は本の要約ではなく私の思いつきである。
やった者だけが「それ」を得られること
「それ」の形は、「やり方」を反映していること
「やりにくい」ものをやりとげるほど、得られる「それ」はレアであること
この三つの要件さえ満たしていれば、実は報酬は貨幣価値ゼロでも人はやってしまうのである。
「え、そんなことない」?だとしたら人はどうしてゲームにはまるのだろう?いくらハイスコアを更新しても、基本的にはビタ一文手に入らないのに。人とやれば貨幣が手に入るかもしれない麻雀や花札やポーカーですら、「得点」しかくれないコンピューターを相手に延々とやりつづけたりもする。パチンコの「中毒性」はそれが「お金が手に入るかも知れないギャンブルだから」で全て説明がつくのだろうか?
お金じゃない。我々が本当に欲しいのは、「ごほうび」なのだ。
そして「ごほうび」に関して言えば、一度に一億円もらうより、一万円もらえるゲームを一万回やる方がうれしいのである。
この点に関して、私はごく普通の「行動経済人」だと感じる。だからこそ本blogで本を紹介しつづけられるのだろう。出来上がった記事と反響こそが「ごほうび」なのだ。時に有償で書いている連載よりもblogを、あるいはblogよりもtwitterの方が「続いてしまう」のは、上記の報酬法則により合致しているからだ。有償の連載で得られる報酬は記事の出来不出来に関わらず一定だが(もちろん一定以下だと打ち切りという「罰則」が待っている)、blogのそれはアフィリエイトの収益として直に反映される。そしてtwitterの方は、「やりとげて」から「報酬を得る」までの時間がblogよりもさらに短いのだ。
なぜネットの内外を問わず、成功しているのは〈やめない人たち〉人たちなのか?
行動と報酬のサイクルを、なんとか上手くゲーム化したからではないか?ゲームの得点を得られるだけでも儲け物。そのうちのいくつかは本当に金銭的価値を持つ報酬となる--ようなのだ。
.高い報酬は逆効果?
結論は明らかだった。高額のボーナスを約束することは、こと単純な機械的作業に関する限り、成績を高める効果がある。ところが、頭を使わなくてはならない課題では、かえって逆効果になることがあるのだ。企業が重役に莫大なボーナスを支払うのは、ふつうこの後者に当てはまる。副杜長がレンガ積みの仕事をして報酬をもらっているのなら、高額ボーナスを通じてやる気を引き出そうとするのもいいだろう。しかし、企業買収や合併について考えをめぐらせたり、手のこんだ金融商品を編み出したりする仕事に、ボーナスという形のインセンティブを与えるのは、わたしたちが思っているよりずっと効果が薄いかもしれないのだ。それどころか、とてつもなく高額のボーナスは、悪影響さえ与えかねない。
ジェンセンの研究の結果、魚、鳥、スナネズミ、ラット、ハツカネズミ、サル、チンパンジーなど、多くの動物が、短い直行ルートでエサを得るより、長い迂回ルートを通ってエサを手に入れるのを好むことがわかった(その後行なわれた多くの実験も、これを裏づけている)。つまり、魚、鳥、スナネズミ、ラット、ハツカネズミ、サル、チンパンジーは、極端な重労働が必要でないかぎり、自分で食いぶちを「稼ぎ」たがることが多かったのだ。じっさい、これまでテストされた動物のうち、てっとり早い道を選んだ唯一の動物は、そう、見事なまでに合理的なネコだった。
この実験からわかったことがある。仕事から意味を奪うのは、驚くほど簡単なことなのだ。あなたが管埋職で、なんとしても部下のやる気をなくしたいのなら、部下が見ているその目の前で、かれらの労作を粉砕すればいい。もうちよっとさりげなくやるなら、部下を無視したり、無視したり、がんばっている様子に気づかないふりをするだけでいい。逆に、同僚や部下のやる気を高めたいなら、かれらに気を配り、がんばりや骨折りの成果に関心を払うことだ。
三つのグループの間には、たしかに満足度の水準にちがいは見られたが、そのちがいは思ったほど大きくなかった。半身不随者はふつうの人ほど生活に満足していなかったし、宝くじ当選者はふつうの人より満足度が高かったが、どちらのグループの生活満足度も、ふつうの人の水準に、驚くほど近かったのだ。別の言い方をすると、重傷を負うとか、宝くじに当たるといった、人生を変えるほどの大きなできごとは、満足度に大きな影響をおよぼすが、この影響は時間とともに、大幅に薄れるということだ。
■5.イヤなこと���一気に片付ける
いらだたしい体験や退屈な体験は、中断した方がつらくないように思えるが、じつは中断のせいで、順応能力が低下してしまう。だから、もう一度その体験に戻ったとき、前にも増して嫌な気分になるのだ。家を掃除したり、確定申告の準備をしたりするときのコツは、腰を落ち着けて一気に片づけてしまうことだ。
■6.しょっちゅう触れるものは、すぐ慣れてしまう
もしあなたがつかの間の体験(スキューバダイビング)と、しよっちゅう触れるもの(新しいソファ)のどちらにお金をかけようか悩んでいて、どちらも全体的な満足度が同じくらいなら、つかの間の体験を選んでみよう。ソファが長い間にわたって満足度におよぼす影響は、あなたの思っているよりずっと小さい。逆に、スキューバダイビングが与えてくれる楽しみと記憶は、たぶん思ったよりずっと長続きする。
■7.容姿に恵まれない場合の対処の仕方
以上、ホット・オア・ノット、ミート・ミー、そしてスピードデートの実験から得られた結果を総合すると、こう言える。本人の魅力度は、美意識には影響をおよぼさないが、優先順位には大きな影響を与える。要は、外見の魅力に乏しい人たちは、外見以外の特質を重視するようになるということだ。(中略)
美しさが本当に重要かどうかという価値判断はさておき、優先順位を見直すというプロセスが、順応に役立つことはまちがいない。結局のところ、わたしたちはみな、いまの自分や自分のもっている資質と、折り合いをつけて生きていかなくてはならない。そしてつきつめれば、うまく順応し、周りに合わせることは、幸せになるためのカギなのだ。
■8.良い関係を築ける異性の選び方
だれかと長い関係を誓う前に、二人がはっきりした社会的なきまりごとかないような環境に置かれたときどうなるかを、まず調べてみよう(たとえばカップルは結婚する前に、結婚式の計画を一緒に立てて、それでもお互いを好きでいられたら、そのままゴールインすればいいのではないだろうか)。それに、行動パターンが悪化していないか、つねに気を配ることも大切だ。初期の危険候信号に気づいたら、まずい関わり方のパターンができあがってしまう前に、すばやく行動を起こして、望ましくない方向に行かないように軌道修正することだ。
「性的興奮状態における、行動判断のアンケート」レベルのネタ(?)はなかったものの、「そこまでやりますか」的にガンガン飛ばしているような。
日本の行動経済学の本も、これ位実験をしてくれていれば、もっと説得力が(ry
◆今回取り上げなかった中で興味深かったのが、第5章の「報復が正当化されるとき」。
「信頼ゲーム」を行い、身銭を切って相手に復讐したの脳をスキャンしたところ、線条体という報酬や喜びに関連して活動する部位が活発に反応していたことが分かったのだそう。
人は復讐することで、実際に「喜びを感じる」なんて、にわかには信じたくないような…。
これは、ひどい顧客対応を受けた二人のビジネスマンが、泊まったホテル(ダブルツリークラブ・ホテル)の経営陣にあてたパワーポイント形式のプレゼン資料。
ネ��ト上で話題になり、ホテルはその後サービス対応を改めたのだそうです。
◆また、本書は前作に比べて、より「個人的な色合いが強い」のが特徴。
特に第二部においては、多くの部分で、著者であるダン・アリエリーの個人的な体験がベースとなっています。
前作をお読みの方ならご存知のように、彼は18歳の頃全身に大やけどを負い、困難なリハビリを経て、現在に至っているわけで、その結果「痛み」や、「外見の悪化」とそれに伴う「デート市場での価値の下落」を受け入れなければなりませんでした。
果たして外見に恵まれない人は、恋愛活動において、どのように折り合いをつけているのか?
上記ポイントでは結論部分だけ抜き出していますが、興味のある方は、本書の第7章でご確認を。
◆この手の本の続編で、失速気味な作品もある中、本書は全く問題ありませんでした。
さらに、実生活(ON&OFF)で使えるTIPSも前作より多い感じ。
とりあえず私は、今後は「イヤなことは、途中で休まないで一気に片付ける」ことにします!
実は、楽しい事は逆に小分けにした方がいいんですけど(本書ご参照のこと)、私はこの本を読むことを止められませんでしたw
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前作同様に人間の不合理について、実験とそのデータをもとに証明しているコトが面白いです。今回は著者自身の体験がリアルに書かれているところもあり、なぜこの様な視点をお持ちなのかもわかりました。
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行動心理学についての本。
人間が合理的な行動を取れない理由をおもしろく解説している。
ためになる内容もあったが何よりもおもしろい。
息抜きにぜひ。
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この本が特別な理由は著者の苦痛がこの研究に打ち込ませたという内面の告白だろうと思う。
人に勧めれれて本を読むというのが大嫌いで、ひょっとすると本を読む理由は人に勧められたときにあああれねっていいたいからかも。そういう意味では現在という時制にひどく縛られる生き方である。
流行の行動経済学の本。行動経済学ってのは、経済学とかゲーム理論(の初期?)における、「人間は合理的だ」という前提が間違ってましたがこれはどういうふうに間違っていますというのを実験で確かめる学問である(と思っている)理屈を言うと、「理屈を言うのではない!」などと怒られていた日本人なので、そんなこたああたりまえだろうと思うんだけれど、こういうものがノーベル賞ももらうのである。ばかじゃねえのって誰も言わないので私が言っておこう。ばかじゃねえの。まあでも実験は楽しいから許す。
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またしてもハッとさせられた。
仕事に活かすどうこうの前に、
一人の不合理人間として、それを活かした生き方を考えるキッカケになった。
「幸せ順応」に出会えたこの本に感謝。
インスト済みなので、例を読み返したい時だけ再読すればよし
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二作目の方が面白くなくなるのは、二作目では全く新しい概念に触れるわけではないからなのか、一作目の方が純粋に面白いからかどちらなのでしょう。
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行動経済学、と書くと固い内容かと思われるかもだが、要は「人間って不合理なことが証明されたよ」って気楽な気分にさせてくれる本。
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どう評して良いのか、難しい本だ。
近代経済学は人間の営みをフラスコの中の純粋環境で測るようなところがあって、世界にワインと小麦の二財しかないと仮定するとか、参加者は充分に合理的で情報が行き渡っていると仮定する、とか所詮は思考実験に過ぎないものを実態経済に当て嵌めようとするから、天気予報のように当たったり、当たらなかったりする。
筆者は行動心理学に基づいたアプローチで経済学に切り込もうとする。高額報酬って本当にインセンティブになるの、とか、仕事って実はやり甲斐が重要だよね、とか、人間って自分が手を動かして作ったものに愛着を持つ、とか、多少世慣れた人なら当たり前に思えることを真面目に経済学し、実験により証明していく。
問題はそれを単に心理学としての成果だけでなくて、経済理論にまで昇華できるかじゃないんだろうか。嘗て大学を卒業して3年後、ゲーム理論を学ぶ機会があってミクロ経済学も進歩したなぁと感動した記憶があるが、筆者の行動経済学はゲーム理論の一歩先を行けるポテンシャルを持つ。ただ残念ながら、この本を読んだ限りでは筆者の研究は「心理学の成果」に留まっていて、そこのところは残念。既存のミクロ経済学に対するアンチテーゼだけじゃ勿体ないと思う。
前著「予想通りに不合理」を読んでいないので、上記のように感じるのかもしれない。もし前著に大事なことが書いてあるんだったらごめんなさい。
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コンテンツとしての行動経済学はもちろん、本書を通して「実験的生き方のすすめ」的なメッセージを受け取れた事は自分にとって大きい。社会科学、ビジネス、政治を志すものにとって欠いてはならない態度を学んだ。
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事例が著者の体験に根付いていて、共感がわき納得しやすい。
題名で、内容を思い出せる。
高い報酬は逆効果
働くことの意義 レゴが教えてくれた
イケア効果
自前主義のバイアス
報復が正当化せれるとき
順応について なぜ、物事になれる?
市場が失敗するとき
感情と共感 困っている1人はたすけのに、大勢はたすけない
短期的な感情がおよぼす長期的な影響。
不合理を許容することで、うまくいくことが学べる。
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人間は必ずしも「合理的には動かない」ということを実験において証明していく本。
感情で動くのはよそうとおりなんだけど、人間は想像以上に行動の結果に左右されているようで。怖い。
読み進むうちに「冷静に考えること」の大切さを考えさせられる。
このあたり、クリティカルシンキングに少し似ている。
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● 何かを理解しないことで給料をもらっている人に、その何かを理解させるのは、至難のわざだ。
● 労力をかけて何かをこしらえると、その作品に愛着を感じ、過大評価するようになる(イケア効果)。
● わたしたちが新しいものにあっという間に順応してしまうことを考えれば、少しずつものを買い足していく方が、じつは満足度が高いのだ。買い物をセーブして、次の買い物まで時間をおく。こうして順応プロセスのペースをゆるめれば、自分のお金の「満足購買力」を、めいっぱい引き出すことができる。
● ところが、感情にまかせて決定を下すと、その直接の結果に苦しめられるだけでなく、そのことで長期的な決定のパターンができあがってしまい、長い間にわたって、誤った方向に導かれるおそれがある。
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自身の個人的な体験とその分析や、さまざまなシチュエーションで行ってきた実験も紹介しながらの記述で非常に面白い。自分で損をしながらも他者を罰しようとする動機が存在することの分析や、顔が見えやすい可哀想な事例については寄付が集まりやすいが、統計的な事象になってくると寄付が集まりにくいことについても考えさせられることが多かった。
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ダンアリエリーの2冊目。前作と同様に行動経済学の面白さが良く分かる。人間は、合理的な判断をしなくていいんだ、合理的な判断をしないからこそ人間関係がうまくいくんだ、と納得する一冊。