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憲政の神様、尾崎行雄の言葉集。
語られた言葉が中心で、先入観なく入っていけるので入門に良い。
演説や本の中からいいところを短く抜粋したあとに解説がつく形式でよみやすい。
が、それゆえランキング形式の音楽番組を見ているような気分になる。
え、そこで切っちゃうの?もうちょっと見たいんですけど。しかも着メロとアルバムで同じ曲を流すくらいならサビだけでもまとめて全部きかせてよ。みたいな。
短く区切ったほうが読みやすいタイプの人には良いかもしれない。
そんで、尾崎行雄は格好良い。
実務を軽んじることなく、夢(希望)を忘れない。
長い時間を闘った人だから主張に多少の変遷はあるけれど、根底を流れる思想が一貫しているからそれは進化であって変節ではない。
どうよってところもあるけれど、それも含めてちゃんと本物を通して読みたい。
本としては気に入らない。
解説が、とりあえず尾崎大好きなんだってことはわかる。
曲解しているわけじゃないし、自説を押し付けるわけでもない。
背景を語り、ところどころ「現在に通じるものがある」などと付け足すだけのさりげない書き方だ。
なのに尾崎の言葉の威を借りて、自説を主張しているように見える。
おおむね同意できる解説ではあるけれど、解釈によって正反対になってしまう危うげな言葉が多いだけに、読み方を誘導するようなやり口は気に入らない。
それならむしろ、自説を自分の言葉で語ってほしい。
最終ページの広告で紹介されているラインナップがうさんくさすぎてこの本まで警戒してしまった感は否めない。