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冒頭に、作家本人によるミステリ作品について分析した文章がありこれがまさに私が海外の翻訳ミステリを好んで読む訳をずばり言い表していて、かなり期待して読み始めたところ、期待以上に面白く、夢中になってどんどん読んでしまいました。関係者を集めて名探偵が種明かしをするという王道のミステリの形式を取りながらも、技巧的な実験までをも試みるというすごい作品。書かれたのは1930年なので階級や性別によるステレオタイプな描写がところどころあるものの、それを補って余りあるドラマと謎があり大変面白く満足して読了。これからもこつこつ探してバークリー作品を読んでいこうと思います。
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ピンカートンという人物がとてもおもしろくて、最後にはこのキャラクターにやられました。
犯人当ての殺人劇という舞台設定や、登場人物達の関係の使い方、手記を書く経緯も巧くて、色褪せない名作です。
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ロジャー・シェリンガム・シリーズ
探偵作家ジョン・ヒルヤードの妻エセルに招かれヒルヤードの屋敷にやってきたシリル・ピンカード。ヒルヤード家で養育する女性エルザに付きまとうエリック・スコット・デイヴィスを追い払うように依頼される。シリルの他に招かれたエリックの従姉妹アーモレル、エリックとの噂のある元女優シルヴィア・ド・ラヴェルと夫ポール。エルザとエリックの間に割って入るシリル。発表された婚約。ヒルヤード家の推理ゲーム。被害者役のエリックの死。犯人役となったシリルにかかる容疑。シリルのはなった空砲と2発の銃声。銃声当時の各人の居場所。シリルの要請でやってきたロジャー・シェリンガム。シリルとアーモレルの恋。
2011年2月22日読了
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まんまと騙された。
あんなに明瞭に提示されていたのに.....
最後まで読者を惹き付けて離さない。とても満足
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「女たちはその点で優位に立っている。女たちは議論はしない。彼女らは説得する。そして彼女らは生まれつき説得というものにひじょうに長けているのだ。」
「本が好き!」献本で頂きました〜〜★嬉しいなぁ。
まさに古典のなかの古典ミステリー!
にしても、最後の最後まで本当の犯人はわからなかった。
本当の犯人がわかったときの驚きとかはあまり無かったのだけれど、
そこまでに行く過程は、すごく面白く、興味深く読むことができました。
これが1930年代の作品だとは、凄い!としか言い用がない。
そして、人と人との絡みだとか、お互いに相手に対して思う感情だとか、そういうのって、今も昔も変わらないんだなぁ、、なんてつくづく思ってしまうのでありました。
面白かったー。
私みたくなミステリ初心者でも楽しめるので、ミステリ好きの人だと尚更な部分があるのでは?なんて思ったり。
著者の他の作品も気になるであります。
【3/26読了・初読・私の本】
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動機や殺害する機会に恵まれすぎた七人の関係者達。最重要容疑者として糾弾されそうになった男が、事件の概要を推理小説風に記述した草稿、という体裁の本作。
二転三転する展開の果てに、読者だけに提示される驚愕の真実とは…?
珍しく騙されなかったぞー(笑)。
この手のミステリィは、一度矛盾点とか取っ掛かりが見えたら、その後はもう自分の出した結末に向けて情報拾っていけるのが楽しい^^
海外翻訳ものにしては珍しくキャラクタの書き分けも上手いし(登場人物が少ないのも一因だろうけど)、語り手のピンカートン氏が自称落ち着いた大人の紳士からどんどん道化になっていくのも楽しい^^ピンキー…
推理小説の中では、恋愛話とか本筋に関係ない逸話は出来るだけ出しゃばらないで欲しい、って言うのが個人的な考えなんですが、今作はそれも混みで最後まで興味深く読めました。アーモレル、好きだわ^^
でも、シェリンガムが真相に気付いてないってことはないと思うなあ…ピンキーは最後までピンキーなのでした。
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さすがバークリー。一筋縄ではいかないだろうなと思っていたが、この展開には唸った。事件の現場にいる登場人物の「手記」という形をとってますが、これは凄い。これが1930年に書かれてしまっているのか…。
一通り読み終わった後に、巻頭にある「A.D.ピーターズに」を読み返すと、作者のこの作品に込めた「狙い」に感服し、バークリーの筆力に魅了されます。
あ、シェリンガムは活躍してたよ。うん。
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とにかく、主人公ピンカートンの性格が気に障る。まさに「中二病」のイメージそのもの。殺人の嫌疑をかけられながら色んな人を好きになっちゃう辺り、まったくもって感情移入できなかった。
という表面的な感想はさておき。
本格として見た本作の優れた点は、「殺人劇」を舞台にすることで、「犯人=一人称」でありながら犯行場面をごまかさず描ききったところに尽きる。読み返すと、そのへんは上手く書かれている。
ただ発表当初ならともかく、手記構成でこのオチはもう食傷気味。結末で「やっぱりか」と思ってしまったし、個人的には印象に残らない作品だった。
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再読。初読は単行本版。やはり傑作。ぼくが翻訳モノを読み出すようになったのはこの作品がキッカケ。
オールタイムベスト級の傑作ミステリであり、ラブコメディ(だと思ってる)。ヘタレのオッサンは清楚系ヒロインに恋慕を寄せるが、そこに素直になれないボーイッシュ系ヒロインまで出てきて……(嘘は書いてない)
読み返してみると、結構大胆なこともやってる(書いてる)なぁ、と。
あとシェリンガム可愛いよシェリンガム。
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推理劇の途中で被害者役の男が実際に殺されてしまう。
容疑者にされた犯人役のビンカートンは、素人探偵の友人に助けを求める。
地味で、特に何か大事が起こる訳ではない。
警察の捜査も、素人探偵のシェリンガムも大活躍はしない。むしろ舌先三寸で話が進んでいく感じ。
それが話をこねくり回す感じで面白いのだ。容疑者が二転三転し、その行動や動機が本当臭いのにそうじゃなく、まるで読者と言うよりミステリ自体をおちょくっているようにすら感じられる。
そしてエピローグ。
ああ、そうだったよ!と唸ってしまうオチが待っている。
バークリーにしてやられた。
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語り手のやや過剰なまでの自己に対する客観性を保とうとする記述が気になったものの(古典ではよくあるタイプのモノローグだがやっぱり気に障る)、半分くらいまでは現代でも全く色褪せていない作品だと感じた。
何といっても、どうやって事件に至ったのかの背景の構築に読み応えを感じた。事件そのものだけではなく、その背景となる人物たちの心理、人間性こそが物語なんだという主張がまさに表れている。
が、終盤がちょっと好きでない。
なんだか古風な色恋沙汰や、よくわかりにくい複数解釈の展開。
ぐちゃぐちゃっとなってしまった印象。
オチはいかにも古典っぽい。
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推理劇を演じている内に本当に殺されてしまったのは、誰からも生を望まれていない男だった。
書き手のピンカートンをいまいち好きになれなかったので、仕方ないかな。
シェリンガムの長々とした推理の挙句にごちゃつく感じは相変わらずで笑えます。
最初は苛々しました。お前はっきり結論から言え!とミステリとしては駄目な感想すら抱く。でも慣れるとシェリンガム可愛いよ。
本人が言うような強烈な個性・正義感・歪んだ義憤というものが伝わりにくく、口先だけの高慢な中年男にしかみえなかったから、動機に関してはなんか納得がいかなかった…。
それ以外は面白かったです。トリックも、二転三転していく自首合戦も、相変わらずなシェリンガムの扱いの不憫さも。
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事件について当の本人が語るということ。日常生活では至極当然な営為であるのだが、ミステリーのいう形式の中で表現方法として用いられると、数々の陥穽を容易に文脈へ穿つことになる。ストーリーテラーである「ピンキー」ことシリル・ピンカートンは重要な容疑者という立場でアガサ・クリスティー『オリエント急行殺人事件』のような状況で起きた惨劇について手記をしたためている。面白いのは、この「ピンキー」が冴えないオタク風の中年男というところだ。「ピンキー」の目も覆いたくなるようなダメさ加減が前半で見事に描写されており、そのくせフェミニストが読んだら立腹するような女性蔑視をひけらかしたり、「こいつは妄想豊かな高校生なんか」というくらい女性の一挙手一投足に偏見を押し付けたり、もてない男全開なのだが、探偵役のロジャー・シェリンガムが登場するあたりから展開が加速し、最後はどんでん返しの繰り返しで「やはり母なる女性は偉大だ」というエピローグで幕を閉じる。プロットは単純だが、読み物としては面白い。巻頭でアントニイ・バークリーがいわゆる「本格否定」を掲げているのだが、真逆の「本格復活」を唱えた島田荘司と手法が近接しているのは興味魅かれた。
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ああ、これがバークリーかあという作品ですね。
黄金時代本格ミステリーのようにロジックで事件を二転三転しながら、それをラストにまたひっくり返してニヤニヤしている感じで、好きです。
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二転三転する展開。
無茶ぶりはなく無理なくひっくり返すので、読み終わっても不快さはなく、寧ろザマーミロ!とも思ったw
それとミステリではなくある不器用な人物の恋愛成就の物語としても楽しめた。
年代など関係なく、面白い作品はいつの時代の作品でも面白いなと。