紙の本
人と人のつながり
2015/09/12 17:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ろひろひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者の著名作と違い、長編ならではの出来事の積み重ねはないけれど、人と人との交流が、それぞれの音楽ジャンルの色づけとともにジワッとくる短編です。でも、夜に読む雰囲気かな。朝、通勤電車の中だと情趣はそがれます。
紙の本
切なさ漂う大人の小説
2018/06/13 10:46
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投稿者:L - この投稿者のレビュー一覧を見る
どことなく切なさ漂う渋みのある、いわば"大人の短編集"でした。初めての海外文学の短編集がこの本で良かったなと思っています。
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「音楽と夕暮れをめぐる5つの物語」というサブタイトルのついた短編集。カズオ・イシグロ初の短編集、だそうです。
年老いたかつてのスター歌手が妻に捧げる歌――「老歌手」。
友人夫婦の奇妙ないさかいに巻き込まれた男――「降っても晴れても」。
ミュージシャンを夢見る若者とドイツ人夫婦の出会い――「モールバンヒルズ」。
整形手術を受けることになった才能あるサックス奏者――「夜想曲」。
若きチェリストとその才能を見いだした女性との不思議な個人レッスン――「チェリスト」。
淡々とした語り口の中ににじむユーモアとペーソスが味わい深い。
また、静かな緊張感が一貫して漂っていて、独特の読後感があります。
でも、この人は長編の方がいいんじゃないかな、というところで星3つ。
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長い人生に時々訪れる、センチメントな一瞬の物語。
そんな瞬間には、必ずふさわしい調べがあるのだと思った。
映画やドラマにBGMが欠かせないように。
どの話もやわらかく、少しつめたく、くっきりとしている。
別れゆく妻のために奏でられる音楽、
友人たちとの不思議な関係の間にただよう音楽、
めまぐるしく入れ替わる倦怠と愛情の下を流れ続ける音楽、
いつ開くかわからない可能性をうたう音楽、
そして追憶を彩る音楽。
何ということのない、起伏の少ない物語ではあるけれど、
その起伏の少なさゆえに、味わいの芳醇さをじっくり楽しめたと思う。
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ノリで買っちゃったもんね♪
初めてのカズオさん。
雰囲気が村上春樹っぽい?
つまり、現代小説家なんですね。
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カズオ・イシグロの短編集。カズオ・イシグロを最初に読む作品として適しているかも。他のは長いし、わけのわからないものもあるので。
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夕暮は光と闇の変わり目、明と暗の入り混じった時間と空間。
音楽と夕暮・・・男と女、夫婦、才能、過去と現在
別れの予感・決意、栄光と衰退、希望と現実
音楽をバックに
「降っても晴れても」「夜想曲」は語り手自らが夕暮にあり
「老歌手」「チェリスト」は語り手の目を通して
「モールバンヒルズ」は語り手自らと語り手の目を通して
夕暮の世界が描かれている。
静かな味わい
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旅する気分を味わいながら、軽やかに楽しめる短編集だった。
景色の描写も素晴らしいし、音楽好きな人ならなお楽しめる。
「モールバンヒルズ」が一番好き。いつか行ってみたい。
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Nocturnes(2009年、英)。
音楽をメインテーマとした短編集。チェーホフを彷彿とさせる哀切感漂う3編(奇数章)と、アメリカンコメディーのような2編(偶数章)で構成されている。
「降っても晴れても」が一番好きだ。著者の作品としては例外的に軽妙に笑える。とはいえ、根源にあるのはやはり哀愁なのだが…。全編を通して私が最も好きな登場人物が、この物語の主人公、レイモンドなのである。他の人々が自分の才能を人に認めさせようと躍起になる中、彼だけは自分のアドバンテージを自ら放棄して、親友夫妻のために道化役を演じるのだ。それが本人の意図を超えて、何もそこまでやらんでも、というほど必要以上に道化になってしまうところが笑えるのだが。「イシグロ史上最も冴えない語り手(解説者談)」は、「最も心優しき語り手」でもあると思う。素っ頓狂な友人チャーリー(そもそもこいつが全ての元凶だ)とのやり取りも絶妙で、ベストコンビ賞を贈りたい。それにしてもチャーリー、最終試験のあと泥酔して何をやったんだろう?
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面白かった。やっぱり長編より短篇が好きかも。(集中力がないだけ?)悲哀をともなうユーモアに満ちている。音楽とパートナーと夢とについて語るうち、人生を語っている。
「降っても晴れても」がいちばん好き。「じぶんの部屋だとくつろげない」というところにえらく共感した…。ジャズに染まった青春、いまは冴えない独り身50男。親友夫婦からはあんな仕打ちを受け、それでも腐らないでまじめに犬のきもちを考えたりして、滑稽!情けない!でも刹那、目の前にあるちいさな幸せを味わっていたい…。余韻の残るラストも好き。
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2017年6月26日、再読。ケン・リュウ、テッド・チャンと続けて読んで、SF小説なので当たり前だが、どの話も必ずSFの形を取っていることに疲れを感じて、本棚をゴソゴソ探してきた。私の好きな音楽をテーマにしていることもあり、どの話も面白かった。プロどころか、今となってはアマチュア音楽家でもなくなってしまったが、それでもなお、まだ音楽に心をグッとつかまれて身悶えすることがある。それは私にとっては私だけの特別な感覚のような気がしていているのに、見事に言葉にしてしまう作者にすっと引き込まれてしまう。私にとって村上春樹と並んで特別な作家である。
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5つの音楽に携わる残念な男女の短編集
本当に残念な人たちだと思う
『わたしを離さないで』を買ったきり、読んでないのでよまないとなぁ
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離婚だの、袋小路に入って出られそうになくなって顔を合わせるのが苦痛そうな夫婦など、なんだか「ああ、どうしようもないな」という関係ばかりが、次々に語られる、ちょっと辛気臭い連作小説。
この本を読むことは、ちょっと気の晴れない読書になるが、『降っても晴れても』で、太った口うるさいおばさんになって かわいらしさを失ったエミリが、最後にちょっと漏らした本音とか、『モールバンヒルズ』で(本当にそう思っているわけでもないのに)何事も「運がいい」を連発する夫に、イライラを誘発されてしまう妻とか、細かい部分の感情がとてもリアルに感じられて、読むことをやめられなくなる。
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kindleで原書で読み始めました。
なぜ購入したか、というと文中にジャズが出てきたから。平易な表現のなかにコメディやペーソスを感じます。
文体にリズムがあり、音読するように黙読しました。
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日系アメリカ人作家カズオ・イシグロの短編集。ちなみに『日の名残り』は未読、『わたしを離さないで』は『殺人容疑(映画「ヒマラヤ杉に降る雪」の原作)』の作家と勘違いして読みました。どちらも映画は観てません。5篇のお話はすべて自分や他人の才能を信じ、ある種身勝手にそして無様に、どこまでも我が道をゆこうとする人々を淡々とした筆致で描いたもの。あまり好みではありませんでした。