紙の本
編集者的小説作法
2011/04/21 07:51
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る
売れているようだ。神田の三省堂書店では、書評で紹介された本のコーナーに1冊しかなかった。店内の書籍検索システムで在庫チェックはしていないが、文芸書のコーナーでは見つけることができなかった。
ネット書店でも、出荷日数の目安が、bk1では「7-21日」、e-honでは「現在ご注文できません」、本やタウンでは「お取り寄せ」となっている。こちらも在庫がないのだろう。ただし、大量に仕入れたのか、売上予測が当たったのか、アマゾンでは「在庫あり」。
仕事柄、図書館と名のつく書籍は気になる。つい手に取ってしまう。発売当初、書店で目にした時にはその習性が働いたのだが、ぱらぱらとページをめくり、小説だと分かった瞬間、即座に棚に戻した。そう、あまり小説は読まない。『図書館戦争』(有川浩)はつい買って読んでしまったしが……。ところで、乙一って誰?
しかし、17日の朝日新聞の書評欄、しかも「売れてる本」のコーナーに出ていたので、とりあえず読んでみることにした。ウェブで募集した「小説のボツ原稿を乙一がリメークした」企画とあったからだ。その企画とは、集英社のWEB文芸「RENZABURO」での「オツイチ小説再生工場」である。まずは、投稿作品を基に乙一が書き直したものをウェブで公開し、その後、本書に仕立て上げた。元の小説は、今でも一字一句修正のない形でウェブ上で読める。そんな、ちょっと変わった創作法に興味を抱いたのである。図書館とはほとんど関係ない。
図書館と言えば、本書の舞台がすべて文善寺町という町に設定されており、脇役として市立図書館に勤める山里潮音がすべての作品に登場する。そもそも「箱庭図書館」というタイトルもTwitterで募集したらしい(あとがきより)。
というわけで、6つのまったく異なるテイストの短編小説に脈絡を付けてオムニバスに仕立て上げた小説集なのである。ウェブで没原稿を募集するという企画はアイデアものだが、安易でもある。それなりによく仕上がってはいるが。
小説家でネタに詰まっている人は結構いるのではないだろうか。湯水のごとく滾々とアイデアが湧いてくるという果報者ばかりではないだろうし、長く続けていればマンネリにも陥りやすい。案外、本書のような小説の作り方が流行するかもしれない。しかし、これは小説家が創作者ではなく編集者もしくはリライターとなってしまうことを意味する。かつて、文豪と呼ばれた作家の中にも、弟子の書いた小説にそのまま自分の署名をして発表した人がいた、という話もないことはないが、それはそれ。これからは小説まで「集合知」の産物となるのであろうか。
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少年が小説家になった理由。コンビニ強盗との奇妙な共同作業。ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語(「BOOK」データベースより)
小説家の作り方・コンビニ日和!・青の絶縁体・ワンダーランド・王国の旗・ホワイトステップの6編。
ネタだけ公募の作品から頂いて、乙一さんがリメイクする企画からできた短編集ですが、ネタ的にはホワイトステップが秀逸。
ワンダーランドも、今回唯一の黒乙一作品でなかなか面白怖く読めました。
小説家の山里秀太と姉の潮音、その周りの人物が少しずつリンクして物語る設定もよかったな。
全作おススメ!!って訳でもないんだけれど、乙一ファンは読んでおくとよいと思う。
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100%乙一ではないので
さほど読みたいとは思わなかったのですが
やっぱり乙一さんなので読まずにはいられず。
なんというか、結局すごく『らしさ』が出ているというか。
予想よりはるかに楽しめてしまいました。
最後の作品が本人もおっしゃる通り『っぽい』ですが
それゆえにというか何と言うか。
特に好みでした(笑)
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感想はブログにて。
http://croco.blog14.fc2.com/blog-entry-204.html
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人が書いた没作品を乙一が蘇らせる企画「小説再生工場?」の作品集。なんか没だけに微妙なんが多い。まんま乙一真似たなってゅぅ「ホワイトステップ」とか…どうなんだ?もうそのレベルぢゃだめやろ進化なしかよってね。まぁまぁだったのは「青春絶縁体」…にしてもあとがきの別名義でラブコメゆうのはやはし中田永一なんやろなぁ
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この企画をネットで見た時は『乙一さんネタ切れなのか』と笑ったが、実際に出来上がった書籍を読んでやはり乙一さんはすごいと思えた。どれもバラバラな短編のはずが、いくつかの要素が絶妙に絡む短篇集となっていて面白い。笑いあり涙ありで、素人の作品が元なのに乙一テイスト(若干中田永一寄り)にされていて良かった。
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リメイク作だからか乙一本来の黒いドロっとした部分や切ない要素が抜けていて何とも期待外れだった。
乙一として読まなければ楽しめるのかもしれない...
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読者から投稿された「ボツ原稿」を乙一がリメイクした作品集。
著者久しぶりの作品でしたが、全体的に楽しく読めました。
作品ごとのつながりも上手く描かれていましたが、一方では無理矢理な感じがしてしまうところがあったのが少し気になりました。
面白い企画だと思うので、またやってみて欲しいです。
もちろん、作者自身で考えた新しい作品も早く読みたいと思ってます。
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一般読者からネタ元をもらってリメイクして発表した短編を集めた単行本、ということで、「乙一らしさ」と「らしくなさ」が微妙にいい意味でも悪い意味でも混じりあっている気がしました。共通して登場するキャラクタを使っていたりして統一感はありましたが。企画もの、としては楽しめますが、乙一の新作!としてはちょっともう一押し、という気がしました。
一番すきなのは「ホワイト・ステップ」ですね。じんわりと温かくていい話でした。
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少年が小説家になった理由。
コンビニ強盗との奇妙な共同作業。
ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語。
最初に小説を読むきっかけになった乙一。
この短編集は多分乙一が好きな人たちが書いた短編を乙一が編集したってところだと思いますが
どれもこれも乙一テイストで素敵な味に仕上がっています。
自分は雪の上の靴跡のお話がほんわかしてて大好きです。
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「お久しぶりです」と思わず言いたくなりました。
元々はWEB文芸の企画で一般の方からの投稿作を乙一氏が選び「リメイク」したもののようです。
その為テイストや世界観などが普段の氏の作品とは少し違うような気がしましたが人の数だけアイデアが、世界があるのだということを感じさせてくれる1冊。
一応舞台となる町や登場人物には一貫性やリンクがあるのですがそれは元々なのかそうでないのか……原作もネットで読めるようなのでいずれ読んでみたいです。
ちなみに、単行本タイトルも某呟きサイトで募集したとか。
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今までの乙一じゃないよーって思ってたら
webで応募したやつのリテイクだったんですね。
ひとつの町でいろんなことが繋がっていくのはいいけど、
あんまり不自然で小説っぽかった(小説だよ)
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乙一によるリメイク作品。プロの手にかかるとこうなるのね。
全体に緩い繋がりをもたせた短編小説。
心理描写が非常にうまく、感情移入できるいい小説でした。
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初めて読んだ乙一の本。
装丁が素敵で思わず手に取り、一話目だけ立ち読みして、
気に入って購入。
「オツイチ小説再生工場」に送られた読者投稿作品を、
乙一がリメイクし、ひとつの町の6つの物語にした作品。
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連作短編集
ボツ原稿を投稿してもらって、乙一がリメイクする企画物だったのね
あとがき読んでしりました
乙一の小説のいろんな要素が入ってるなぁとかそんなかんじ
面白かったです