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2011 7/4読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りて読んだ。
学術出版においてどのような本を出版するかの選択、というゲートキーピング機能がどう働いているのか・・・という点を興味の中心に、日本の学術出版社4社を対象とするケーススタディをまとめて考察した本。
学術出版といえば論文メイン、電子ジャーナル全盛の世界の話ばかり聞いていて、国内・図書メインの話をあまりフォローしていないので、その補完として手にとった。
以下、面白かった点/興味のあった点のメモ
◯まえがき~序章「学術コミュニケーションの危機」
・学術書が専らなのが当然、という人社系に偏った視点は性格上仕方が無いか?
・出版不況、というSTMにはさほど関わってこない話(「学術の危機」と言われたらSerials Crisisのことかとか考えちゃうよね)が関連してくるのは新鮮
◯1章「知のゲートキーパーとしての出版社」
・製品ポートフォリオ/タイトルミックス:
売れる教科書類と売れ行きは望めそうにないが出版に値する
=象徴資本となる本のミックス(が、行われている?)
◯2章「ハーベスト社」・・・ひとり出版社
・p.94に学術書を1冊つくるのにかかるコストの内訳あり。面白い。
◯3章「新曜社」・・・中堅学術出版社
・教科書の位置づけ・・・
×金のなる木
◯学術的知を広めていく媒体
◯4章「有斐閣」・・・学術出版大手
・テキスト出版・・・「大学の先生に採用して貰える本しか売らない」
◯5章「東京大学出版会」・・・大学出版部
・米国とは異なる日本の大学出版状況(×助成 ◯内部補助)
◯6章「ゲートキーパーとしての編集者」
・ゲートキーパー・・・米国のイメージ?
日本にはそのままではそぐわない
⇔・多様な編集者像
・スカウト/パトロン
・仲間/同志
・プロデューサー
⇒・これに狭義のゲートキーパーを足して「広義のゲートキーパー」的役割を成す
◯7章「複合ポートフォリオ戦略の創発性」
・全社的なポートフォリオはない?
・編集者を軸とするポートフォリオ
・著者を軸とするポートフォリオ
◯8章「組織アイデンティティのダイナミクス」
・飛ばした
◯9章「ファスト新書の時代」
・新書バブル⇔アカデミズム
・米国のモノグラフの多くは査読がある
⇔・日本はない
⇒・ここまでで見た日本の学術出版の特性の反映
◯10章「学術界の集合的アイデンティティと複合ポートフォリオ戦略」
・RAEなどの評価制度が出版活動に与える影響と日本への直輸入の危険性の指摘
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凄い本。テーマも面白いし質、量ともに見本になる。統計は基本データくらいだがエスノグラフィ的にもインタビュー的に質モノメインにして読むと面白い。
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あれ、これおもしろい。
学術出版社のやり方やら編集者の仕事やら組織アイデンティティやら。アカデミックな世界の人は一読の価値あり。