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この巻で文章が大幅に変化する。
違う物語を読んでいる気にさえなる。
大きく展開してゆく物語の中心がぼやけている。
この物語は筑豊編だけでよかった。
なんだかんだと続いていたが、だらだらした感じにも飽きがきた。
しかし、この後も間違いなく続くであろう物語なのだが、出来ていないらしい。それは作者の怠慢だ。と切り捨てたくなるのは、俺の心の中で次を切望している証なのかもしれない。
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「青春の門」30年振りに続編を読んだ。ガムシャラに自己を問い、新しい環境に飛び込む信介の姿に、清々しい気持ちになる。11.5.3
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青春の門を読み始めたのは高校生の頃です、今では主人公の伊吹信介の歳もとうに越してしまいました。でも彼はいまだにさすらい、青春の通過儀礼の最中です。彼を心の中に住まわせておくことが私の青春でもあります。この物語は完結しなくても良いのかな・・
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これからもの凄く面白くなりそう、というところで終了。北方領土に関する実状は、実話なのか、フィクションなのか、調査したい。隣国のロシア語も勉強したくなってきた。
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未知の時代を目前に、嵐の前の静けさが日本を覆っていた1960年。伊吹信介(いぶきしんすけ)はタバ風の吹き荒む江差(えさし)にいた。そこで会ったオーストラリアの友人・ジョンの「あなたは一度日本を出てみるべきです」という言葉に惑(まど)う信介。特攻船やソ連との関係に揺れる函館を訪れたとき、彼の背中を押す風が吹く。
60年代を舞台に1993年に書かれた作品で、ケータイやネットは存在しない世界なのに旧さを感じない。文庫本で697ページの厚さにたじろいだけれど、読み始めたら一気だった。第9部が週刊現代に連載中で、80代半ばというのに五木寛之の創作意欲には感嘆するしかない。なお文庫本の解説によれば、「青春の門」の続編は五木の別作品「親鸞」らしい…?
(A)
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織江のマネジャーを辞して、ふたたびみずからのあゆむべき道を模索しはじめた信介が、北海道にやってきたところからはじまります。彼は、緒方とトミ子の依頼を受けて、亡くなった丸谷玉吉の遺骨をもって、鴎島を訪れていました。そんな彼を、岸森猛志という青年が追っていました。全学連の下部組織に所属する岸森は、信介が組織の資金を受けとったと誤解し、彼を尾行していたのです。
岸森の誤解は解けて、二人は丸谷の菩提寺である正覚院に居候することになります。さらに彼らは、ジョンと呼ばれるオーストラリア人の研究者や、近所で「トスカ」というバーを経営している立花百合江とその娘の襟子と知りあいます。
その後、ジョンのアドヴァイスで日本を出ることを決意した信介は、渡航資金を得るために仕事をさがします。そこで彼は、かつて緒方たちとともに北海道で演劇をおこなおうとしたときに世話になった、元新聞記者の西沢洋介と再会します。彼は、北方領土近辺での漁業にかんする問題に取り組んでおり、さらに石井の死後ゆくえのわからなくなっていたカオルも、重要な鍵をにぎる人物として、物語に再登場します。
前半は、これまで通りの信介の青春時代の逡巡をえがいたストーリーですが、後半になって突如スパイ小説のような展開となります。これはこれで、エンターテインメント作品としてはおもしろいのですが、当初のビルドゥングスロマンから大きくかけ離れてしまっており、シリーズ全体としての統一感はうしなわれているように感じました。
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「青春の門 第七部 挑戦篇」の舞台は、北海道の江差・函館。第六部までは、主人公の生まれた九州・筑豊、そして、大学入学後は東京が舞台だったので、新たな地での物語の始まりである。
第六部までの物語は、「筑豊という日本の一地方から東京の大学に進学した主人公の伊吹信介は、東京という地で、これまでに会ったことのないような人に出会い、これまでに経験したことのない経験を積み、成長していく物語」という風に要約できるかと思う。この第七部も伊吹信介の成長物語であることに変わりはないが、部隊が北海道に変り、今後ロシア、更には東欧諸国に展開していくことが想像できる。伊吹信介は、ロシア、あるいは、東欧の国々で、同じく、色々な人と出会い、色々な経験をしながら物語が展開していくはずだ。物語の規模が拡大した、というか、グローバル化しているのだ。この小説の第六部の刊行は1980年、そして、この第七部の刊行が1993年なので、その間、13年間のブランクがある。そういう意味で、これまでの流れは、ある程度リセットされ、新しい地、新しい舞台で、物語がリスタートしたという印象を受けた。
第七部の時代設定は、1960年になっている。60年安保の年であり、社会党の浅沼委員長が右翼の少年のテロを受けて死亡した年である。最近、続けて読んでいる、大江健三郎の芥川賞受賞が1958であり、浅沼委員長刺殺をイメージする右翼少年の物語である「セヴンティーン」「政治少年死す」が書かれたのが1960年、1961年のことなので、時代的にはちょうど重なる。
いずれにしても、フィクションの話であるが、大江健三郎の描く主人公と、五木寛之の描く、この伊吹信介の違いは大きい。主人公が実際に違うというよりも、それは、大江健三郎と五木寛之が、この時代をどういう風にとらえていたのか、この時代の青年の悩みは何だと考えていたのかの違いである、もちろん。
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第1部〜第4部までは、まだ学生時代に読んだものであったが、最近になって続編があるのを知って、第5部以降を順次読み出している。
これまで、あっちこっち放浪したり、誰彼と無く一般人とは言えないような人達との付き合いが羨ましくもあったんだが、ここにきて少し飽きてきた。
ま、それでも最後まで付き合おうとは思っている。
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良く練られた大河の展開で相変わらず面白いが、都合の良い出会いを積み重ねていくにつれてリアリティが欠けてくる。また、ロシアの蛮行が世界を混乱させている現在の読者としては、本作の魅力も幾分色褪せていると感じる。
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物語は昭和35(1960)年。水原弘 黒い花びらという歌が流行っていた頃。伊吹信介。25歳になった。舞台は、北海道の江差。風が強く吹く街で、伊吹信介は青春をする。
1980年に第六部再起篇が刊行された。それから、間を置いて1993年に、第七部挑戦篇が刊行される。
五木寛之は、ライフワークにしている。1932年生まれなので、1993年は五木寛之61歳である。
その長い間の休みの間があっても、『青春の門』の雰囲気は変わらない。伊吹信介は、前向きに生きようとするが、成長はしていないような気がする。この挑戦篇、688ページもあるのだ。
伊吹信介は、トミ子の依頼で、トミ子の父親、アーナキストの丸谷玉吉の遺骨を北海道の江差の鴎島の海にばら撒こうとする。
伊吹信介は、高校生の立原襟子に出会うことで、恋に落ちる。立原襟子はロシア人の血が4分の1流れている。母 立原百合江は、バー「トスカ」を経営する。ジャズに詳しい。ロシア人の血が2分の1流れている。トスカは、ロシア語で「心が萎える」という状態で、「ふさぎの虫」と訳される。普通のトスカなら恋に生きると言う意味を持つが、五木寛之は「ふさぎの虫」と言う。百合江は、奔放で繊細。このふさぎの虫で自死行為をする。
伊吹信介を追いかける全学連の下部組織全文工に所属するの岸森猛志。岸森は、組織のお金を持ち出したと言う疑惑で伊吹信介をおう。二人は、鴎島で海に落ちそうになるところを海野に助けられ、丸谷玉吉の菩提寺である正覚院に居候することになる。岸森は、バーに通い、立原百合江と恋仲になる。岸森は、全文工の奴らに、組織を抜け出ると言うことで、査問を受け、目にタバコの火を突っ込まれ失明の直前にまでいく。査問という事で陰惨な暴力行為は許せない。百合江は岸森を大切にする。
正覚院にいるオーストラリア人のジョンは、北前船の研究をしている。北海道江差は、北前船の港だ。このジョンは、知識が深い。ジョンのおかげで物語の深みが出る。世界をバックパッカーで歩き回り、フィンランドにいるときには、イギリス情報員の手伝いもする。ロシアの諜報を手伝う。また、丸谷玉吉は、若いころエスペラントの普及に従事していた。エスペラントの歴史にも深い造詣がジョンにはあった。そういえば、エスパラントって昔あったね。現在は、AIによる自動通訳の時代。感慨深い。
なぜエスペラントが、広がらなかったのかの考察がよくされている。
ジョンは、信介に「あなたは一度日本を出てみるべきです」と言う。信介は、そうだと納得して、ロシア、ハバロスクに行くことにする。五木寛之の海外のイメージは、ロシアなんだね。中国、東南アジア、アメリカではないところに、五木寛之らしさが出る。
信介は、短期間で海外へ行く資金を確保するために、札幌で出会った新聞記者の西澤。正義感が溢れているが、新聞記者をやめて、やばい仕事をしている。北方領土問題は、意外とわからないものがある。そこに、お金の匂いがあり、右翼の大物の影之原隆元、公安警察の安川などが入り乱れてくる。伊吹信介は、西澤を頼る。ひょんなことから、カオルにも出会うことに。伊吹信介の周りは、西澤、カオル、ジョンなど怪しい人でい��ぱいである。カオルが娼婦と言われるが、その知的水準は高い。ミステリアスな女だ。
どういうわけか、伊吹信介を中心にして、立原恵理子、西澤、カオル、ジョンたちのグループではバロスクに行くのだ。不思議な人の集まり。伊吹信介は、ソ連へ渡り、シベリアを横断し、ザメンホフのいたポーランドへ行こうと思う。
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五木寛之さんの大河小説「青春の門」。1970年代に書かれた一部から六部は、1950年代の若者を描き、1980年に刊行の六部から七部は13年後の1993年に刊行。「第七部 挑戦篇」、2011.3発行、688頁。時は1960年の終り、昭和35年の冬、織江を大きなプロダクションの所属にし、個人マネージャーを降りた25歳の伊吹信介は江差の地に。第七部は北海道の函館、江差を舞台に、日本とソ連との利権を巡る争いが展開。信介は数人とハバロフスクに向かうことに。