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「はてしない物語」や「モモ」のミヒャエル・エンデの遺言ってことで手にした一冊。エンデだからファンタジーかなと思ったら、お金とは何ぞやという警鐘でした。確かに、「モモ」の時間泥棒に通じるテーマですね。
物々交換の代替手段だったお金が、拝金主義を招いて手段が目的になってしまっている今の世の中。
地域通貨って、ただの地域限定の商品券的な意味だとしか思っていたけれど、お金を循環させる、すなわち景気を回復させる有効な手段になるとは知らなかった。
やっぱり、どこかでNHKスペシャルを見ているような気分になった。
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NHK番組『エンデの遺言』をベースにした本。副題のとおり、「根源からお金を問う」ことがテーマとなっている。
エンデ及び彼に強く影響を与えたシルビオ・ゲゼル等の思想をもとに、利子の問題点を指摘し、あるべき「お金」の姿として、減価していく「エージング・マネー」を提起し、その実践として、各地の「地域通貨」の取組を紹介している。
本書を読んで、「お金」についての考え方を根本から揺さぶられた。本書で述べられている「お金」についての指摘は、本質を突いているように思った。今すぐに現在の「お金」のシステムを変えることは難しいと思われるが、その一歩として、「地域通貨」の試みには一定の意義があると感じた。
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仮想通貨ビットコイン、お持ちですか?
私は、まったく興味がなかったのですが、
最近のニュースで、私の予想よりもビットコインを持っている人、使用している人がはるかに多いことを知りました。
たしかに、「お金」を持っていると、欲しいものが買えたり、旅行ができたりします。(価値あるモノとの交換)
将来、病気の療養や介護が必要になった時に、
お金が頼りになるという側面もありますね(資産)
仮想通貨で持つのがいいのか、日本円で持つのがいいのか分かりませんが、
「できるだけ、たくさんのお金をほしい」
「持っているお金をもっと増やしたい」
そういう気持ちは、多くの人に共通するものなのかなと改めて、考えているところです。
ただ、どのくらいの「お金」があれば十分なのかは、人それぞれかもしれません。
「モモ」「はてしない物語」などの著者であるミヒャエル・エンデのインタビューや蔵書をもとにまとめられた「エンデの遺言」を手に取りました。
より良い人生を生きるための「お金」であるはずが、
「お金」を得るために、心と身体を消耗しているようなことが起こる。
それは、なぜか。
「お金」そのものの性質について、改めて考えさせられる本でした。
この本に文章を寄せている河邑厚徳さんによると、
エンデは、人は目に見える危機には対処できるが、目に見えない危機には無力な存在であると言っている。
解決ができないような根源的な問題に対しては、気が付いていても目をそむけていると言った方がよいのかもしれない。
さらに、エンデは、かつては、過去の文化や歴史を学ぶことで、現代の問題にどう対処すべきかが了解できたが、私たちが今、向き合っている「お金」の問題では、どう考えるべきかの規範が過去にはない。したがって、未来を想定し、何が起きて来るか予言的に直視しなければならないと語っている。
問題解決を、過去からではなく、未来から考える。それが、エンデのファンタジーの力である。
「お金」を求める気持ちを考えるとき、その心には、未来に対する漠然とした不安があるように思います。
これから先、どんなことが起こるか分からない。
経済の動向、高齢化社会、加齢に伴う体力や気力の低下などなど、
不安につながる要素が出てきた時、
とりあえず、それらに関連する危機を乗り切れるように備えておきたい気持ちになります。
頼りにできるのが「お金」。
「お金」を所有することで、安心が担保されるという発想が沸いてきます。
いざと言う時に頼りにできるのは、「友達」「地域の人々」と思えたら、
「お金」も大事だけど、「お金」を求める気持ちはそれほど強くないかもしれません。
一方で、孤立していて、友達や地域の人々など頼りにならないと思ったら、
「お金」を頼りにするようにも思います。
「お金」は、万能ではないということに、改めて気が付かされた一冊です。
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お金について新たな知見を与えてくれる本。
書かれている内容はなかなか難しいところもありましたが,現在の貨幣制度の問題点と,それを克服しようとする試みの歴史があったことをこの本で初めて知りました。
その一方で,今も仮想通貨が投機的に利用されている現実があり,人々の意識を変えていくのは相当困難を伴うであろうと思いました。
地域通貨について,それが貨幣制度の問題克服に有益なのは分かりましたが,その導入にはマイナス面もあるのではないかと考えます。良い面ばかりではなくて,問題点についても記載されていれば,なおよかったです。
仮想通貨の技術は画期的だそうなので,貨幣制度の問題克服(地域通貨の導入など)に活かせないものかと思いました。
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お金とは何か、それを我々は経済の中でどう位置付け、どのような種類のお金があったのか、よくわかる本であった。地域通貨、交換リング、モモ:時間貯蓄銀行、シルビオ、ゲゼル、イサカアワー、交換と尺度、交換手段、価値の保存、価値の尺度、投機的支配、支配の道具、等お金の本質がよくわかった。これからは電子マネー、地域通貨、キャッシュレス経済になっていくのでお金の考え方はもっと変化していくと思われる。
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「モモ」の作者エンデはお金を根本から問い直すことを示唆した。交換の為のお金、それはいいだろう。貯蓄、投機の為のお金、それは別のものではないのかと。老化するお金、時とともに減価するお金。それを提唱したシルビオ・ゲゼルの思想を現代に呼び戻そうとさまざまな地域通貨が使われているという。お金に利子は付き物と思っていたが、使わなければ減価するお金という考え方があったのだ。それが地域社会を活性化させている事例がある。さて、それは日本で可能だろうか?
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物々交換の代替として登場した貨幣であるが、今となっては、利息がつくのが当たり前のものになり、本来の意味がなくなった。これこそ、金持ちがより金持ちに、貧乏がより貧乏になる原因なのだと、指摘。
ヴェーラという貨幣
ただし、自由貨幣という価値が減少する貨幣。
スタンプ制を採用し、額面を維持する場合は、スタンプを購入する必要あり。
不況による蓄財を抑制し、市況の活性を促した。
1920年の世界恐慌時代のドイツ
イサカアワーという地域貨幣。現在は、使いづらい貨幣に。
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金利がプラスということを前提に経済を組み立てていることの矛盾をおしえてくれる。モモの背景を理解するのにとてもよかった。
漏れバケツ理論や地域通貨を理解するのにも良い。
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2000年頃の作品。資本主義のキラーアイテム、プラス金利の功罪がよく理解できる。
当時もいまも1%の富裕層が99%の富を保有するのは変わりないが、貨幣だけでなくデータ資本も寡占されているのは、さらなる状況悪化なのかも。
近所の丁寧な仕事で評判の蕎麦屋さんより、コロナバブルで濡れ手に粟のデイトレーダーが儲けてるのは、やはりなんだか釈然としない。
コミュニティ通貨とか、新たな金融システムに期待するしかないか。
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大西つねきさんの講演等で時々出てきたミヒャエル・エンデの『モモ』の灰色の男たちが金融における「利子」であるという話。この本はそれについて書かれたものだ。もとはNHKの番組として考えられていたもの。
もとNHKの方によるエンデのお金についての話のほか、それぞれ専門の方による、使わないと価値が減るお金の話(シルビオ・ゲゼルの話)や地域通貨(イサカアワー)の話なども面白かった。とはいえ、もともとが経済や金融の分野に疎い人間だったので、そういったことを勉強し始める1年以上前の私だったら、ちんぷんかんぷんだったかもしれない。
地域通貨は日本では一過性のブームだった感もあるが、きちんと有効に働いている地域が世界にはあるのだと目から鱗だった。そういえば、ドラマ『義母と娘のブルース』のスペシャルで、みゆきちゃんがサークルでそれらしいものを使ってたから、日本でもそういう使われ方をしている地域があるのかもしれないとは思うけど。
この本を読んでる途中で、都知事選の山本太郎さんの街宣を聞いてて、アッと思ったことがある。それは、都民に配ると約束している10万円。本当はそれを期限付きのものとして配りたいという希望を語ったことだ。もちろん、今回当選したとして、現金で配る以外の方法はすぐにはできないと思うのだけど、これこそシルビオ・ゲゼルの考え方だったから。価値が減るお金を人は長く持とうとはしない。使ってしまう。そこで経済が循環するというものだ。その理論は今から100年以上前に考えられたもの。素人で知ってる人は少ないかもしれないが、経済の歴史を勉強している人なら知ってるだろうから、提唱した人の名前は知らなくとも、太郎さんが読んだ本やレクチャー受けた話の中に、そういう景気刺激策が入っていたのかもしれない。
気になったのは、主著者である河邑さんの文章の中に、赤字国債を懸念する箇所が見られたこと。まあ、私も昨年秋くらいまでは、よくわかっていなかったからこの本が書かれた当時だとなおそうだったのだと思うけど。
ちなみにこの方、辰巳芳子さんのドキュメンタリー映画とか撮られた方らしい。
この方にも、日本における国債がどういう働きをしてるのか、赤字というものが本当はどういう意味持つのかを知ってほしいと思うばかりだ。
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難しくて読み飛ばした章もありますが、
現在のお金のシステムの姿、抱える問題を補う
地域通貨の試み、お金とは何なのか、考え直すことができる本で興味深かいものだった。消化できてないのでまた改めて読み返したい。これからモモを読みます。また、地域通貨の働きについてももっと知りたい。
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資本主義システムが諸悪の根源であろうとはイメージしていたが、現在の「お金」そのものが良くないとは考えたことが無かった。消費期限付の貨幣システムとすることで、世界は良くなるだろうか?
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モモが実は貨幣価値の真相を描いた作品と聞き、モモと合わせて読了。特に今、この時代のお金のあり方に疑問を持って向き合える1冊。
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◯お金を持っている人間はお金を持ち続けても費用がかかりません。対照的に、例えば、農民は種をまくのを延期できません。(中略)これでは、取引をしようにも、立場が違いすぎます。(117p)
◯お金を使うことで利便を受けているなら、受益者はそのための料金を社会に対して支払って当然です。(228p)
◯マイナス利子のシステムは、環境にもよい長期的な投資へと、投資要因の変更をもたらすのです。(245p)
★20年前の本。現在の経済システムが持続可能なものでないことを既にエンデさんが指摘していたのだ。1920年代からゲゼルが言っていることに、環境破壊が進んで災害が自らの身に及んでようやく気付く愚かさ。
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20年前以上前にエンデが言ってることが今に刺さる。
・お金は常に成長を強制する存在。その理由は利子。
・そのシステムの犠牲者は、第三世界の人々と自然に他ならない。
・パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と、株式取引所で扱われる資本としてのお金は、2つの異なる種類のお金であるという認識が重要。
・巨大マネーの源泉は、世界に存在するありとあらゆる種類の「格差」である。「格差が格差を生む」構造が「利が利を生む」構造を可能にしている。
・マネーの運動がもたらすものは、貧しい国(人)から富める国(人)への資源の転移である。
・現代人が、物質的な豊かさだけが人生を価値のあるものにすると考える限りは、他のことに目を向けることはできない。メンタリティの変革こそ必要。このほうがシステムの変革より難しいだろう。
・シルビオ・ゲゼルの思想。「お金は老化しなければならない。」お金で買ったモノ(本来の意味でのモノ)は経済プロセスの中で消費されなくなる。お金も経済プロセスの終わりにはなくなるべき。血液が骨髄で作られ、循環してその役目を果たしたあとに老化して排出されるように。お金とは経済という、いわば有機的組織を循環する血液のようなもの。
・現代のお金がもつ本来の問題は、お金自体が商品として売買されていること。
・近代自然科学の問題から、社会心理、宗教、文化、経済と、問題はみな関連している。どれか一つの問題を取り上げようとすると、他の問題も浮上して、すべての問題を同時に解決できないと困るが、実はそれをしなければならない。
・現代人は大人から子どもまで「この本は何をいいたいのかという質問」にとらわれてしまっている。本を読むことは豊かな体験であって、作者と読者の個別的な関連を築いていく行為。
・将来に生じる利子をいま、われわれは価値として受け取っている。われわれは将来を“輸入”して、いまを生きています。そのために環境を消費し、資源を食い潰している。
・シュタイナー。「所得と職業、報酬と労働が一つになってしまっていること」が現代の悲惨の原因とし、「同胞のために働くということと、ある決まった収入を得るということは、相互に完全に分離された二つの事柄である」としている。
・お金の問題を考えてみるとき、お金が存在しない状態をまず想像する必要がある。