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内容や視点についてはとても興味深かった。
特にお金は交換手段であって目的ではない。しかし、お金がお金を稼ぐ道具として使われることから、お金を稼ぐ・蓄える事が目的になっている。金融や投資にお金が大量に回っていて、必要な物やサービスを得るためにはあまり回らなくなっている。
現実の世界を見るといいサービスや物より、そういったものを生み出すかもしれないという会社の方が大きなお金を産むという事になっている。
この本を読んで、今まで考えたこともなかった視点だったのでお金の本質について知る機会となった。
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ある程度、経済に精通していないとむずかしい内容だと思う。私はあまり理解出来なかったけど、お金のあり方について考えさせられた。
お金が利子を産むことが、歪な世の中にしている。
お金は本来は等価交換のためだけに使われるもので、お金自体が商品になったことが問題。
利子は例え自分が借金をしていなくても、間にある企業で発生しているので、商品には実に30%も上乗になっているそう。
利子がつかない、もしくは価値が下がっていくことが健全な経済になるのでは?ということを終始問いかけている。
その代替案として、過去からさまざまな利子のつかない貨幣が考えられていて、代表的な成功した貨幣としてイサカアワーが取り上げている。
しかしこの本が出て10年以上経った今、検索してみるともう誰も使っていないようだ。
利子がつくということは、貧富の格差をどんどん広げていくので、こういった考えは今もまた出てくると思う。PayPayに始まった支払いが、やりようによっては可能性があるかも知れない。
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作家、ミヒャエルエンデ。僕がこの作家と初めて出会ったのはアインシュタインロマンだった。その制作チームがその後、継続的に彼に逢いつつまとめたドキュメンタリーのまとめ冊子が本書である。
エンデの遺書と言うタイトルはほんの序盤で、大半は地域通貨やローカルマネーの事例や貨幣経済の不備への批判が占めている。
さて、この書籍を読み始めて気づくのだが、イーロンはもしかするともしかするかもしれない。のかもなぁ。と思うのです◎
ちなみに、イーロンは置いておいて、地域再生や伝統産業再生のヒントがここにある。と感じました(^^)
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本書は、現代の経済を考える上で必読の書だと思う。エンデは本の中でこう言っている。「第三次世界大戦はもう始まっているのです。それは時間の戦争です。ある地域が別の地域に仕掛ける戦争ではなく、ある時代が別の時代に仕掛ける戦争です。われわれは、自分たちの子や孫が生きてゆけないような世界を作り出そうとしているのです。」このまま行けば、決定的な経済的破綻が起きるか、さもなくば地球が滅亡するだろう。
根源はどこにあるのか。エンデはロシアのバイカル湖のエピソードを紹介する。その湖畔の人々は、日によって漁の成果は異なるものの、毎日売れるだけの魚を採り、自宅や近所の食卓に供していた。彼らはよい生活を送っていた。しかし、ある日紙幣が導入される。それと一緒に銀行のローンもやってくる。状況は一変した。漁師たちはローンで大きな船を買い、より効率的に魚が取れる漁法を採用する。採った魚は遠くまで運搬できるように、冷蔵庫が建てられた。漁師たちはさらに大きな船を買い、より早く、より多くの魚を採ることに努めた。ローンを利子付きで返すためにも、そうせざるを得なかった。競争に勝つためには、相手より早く、より多く魚を採らなければならない。その結果、湖には魚が一匹もいなくなってしまった。
この話はどこか『モモ』に似ていないだろうか。そう、エンデは経済について深く考えていた。問題はお金のあり方にある。
いかなる物も、時とともに劣化する。食べ物は腐り、服は傷む。しかし、お金だけは劣化しない。昨日の千円は、今日も千円である。したがって、人々は物よりもお金を所有しようとする。物は溜め込んでも無駄になるが、お金はいくらでも溜め込むことができる。だから自然の収奪が起こる。環境問題の根はここにある。
もうひとつ、お金には重要な問題がある。それは利子である。考えてみれば、利子は変なものである。これも物と比較するとわかりやすい。たとえば、あなたが食べきれないほどの食べ物を持っていたとする。そのままにしておけば、食べ物は駄目になってしまう。そこへ誰かがやってきて、その食べ物を分けてくれと言う。その代わり、今度あなたが必要なときに、同じだけの新鮮な食べ物をあごるから、と。そうすれば、あなたは喜んでその人に食べ物を分け与えるだろう。このように、物ベースで考えれば、利子などもらわなくても、あなたは十分得をしていることがわかる。利子には何の根拠もないのである。
利息をとってお金が貸し出されると、借りた方は自分が売るモノやサービスの価格に、その利息分を上乗せしなければならなくなる。ということは、この利息は人々が作り出した富から、その分だけ富を取り去っているのである。ちょうど、時間泥棒が人々から時間を取り上げたように。つまり、利息とはまだここにない未来から得ている利益である。そのことが、経済に無限の成長を強制する。
すべての問題の根源は、いまの貨幣システム、つまり「お金」のあり方にある。それを変えることができるかどうか、それがわれわれ人類がこの惑星上で今後も生存できるかを決める決定的な問いだ。そうエンデは言う。では、その具体的な方法はあるのだろうか��それは本書を読んで考えてもらいたい。この本にはたくさんのヒントが散りばめられている。
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◆お金に内在している矛盾を暴く
「お金」とは何かを考える場合、まず読まなければならない必読書です。
1999年に同名テレビ番組が放送され、地域通貨ブームの火付役となったことでも知られています。
地域通貨は、いまでこそ下火になっていますが、お金のあり方を考え変えていくツールとして、その有効性はなくなっていません。
端的に言えば、お金は経済の血液として使われ循環してこそ意味があるのですが、価値を保存するだけではなく、増殖する機能も引き受けてしまったため、交換のための道具から、投機や支配の道具になってしまったのです。
そうしたお金の問題・あり方を初めてあぶり出した書として、すべての人にお勧めしたいと思います。
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「時は金なり」とは、アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンの言葉である。モモはかなりの要素に時間をテーマとして持ち込んでいると思うが時間とお金の関係が物語にこんなにも示唆を含んでいるかもしれないとモモを読んでいる最中では気づくことができなかった。ファンタジーをメタファーとした社会への問題提議は確信に満ちた人類への未来への解決方法をいくつか提示している。
地域貨幣は貨幣の物理的発行がなくなった(カードやタッチ決済)ので現在のほうが流通・運用などの可能性があるかもしれない。私銀行で金利を事業内容によりゼロにしたり、融資することはクラウンドファンディングなどに見いだせる気がする。いずれも電信を使う二次エネルギーからの算出道具だが、お金の信仰が浸透している現社会において取引にかけるインフラがなくなることは人類が今と同じところまで機能しなくなることと同じなので電信システムがなくなることもないだろう。
金が時間を持つようになった時から「金は時(金>時)」となり商品になった。貨幣が物々交換しやすいからだなんて安直な感覚だけでお金を考えてはならないと危惧させられた。
モモを先読する前にこの本を読むべきだった。