稲葉真弓さんという女流作家の作品。残念ながらいままでこの作家さんの作品は読んでこなかったが、この作品を読んで少し読んでみたくなった。最近なぜか一般的に枯れた心境に至った人が描いた小説にぶちあたる。意図して選んでいる訳ではないのだが。この本の作者はある半島にかった別荘とも言うべきひなびた家での生活を思い切って始める。するといままでは都会生活を満喫していたと思っていた自分なのだが、あるがままの自然、草いじりなど半島の家での生活にはまり楽しみ尽くしている自分に気付く。そんなお話なのだが、昔の日本人のように暦にしたがって淡々と暮らして行く様や周りにすむ人たちとのコミュニケーションが瑞々しく描かれていて、Alone with the alone 孤独を楽しめる人間になれる人は強いなあとうらやましくなった次第です。乱読しているとたまにこのような本に出会えるのがうれしいです。