投稿元:
レビューを見る
日々を退屈して過ごしていた、高校一年生の女の子が、一皮むける本。
つるん、と、まるでライチの皮をむくように。
ひと夏物語でもある。
同じ年頃の人に読んでもらいたい、もう自分は真似したくても出来ない、輝かしい物語だ…
と思ったけれど、おばあちゃん、後日譚の中に、何気に凄いことが描いてある。
いくつになっても遅すぎることはないのか…
香港にはやはり特別な力があるのだろうか?
人間の生命力に作用するカンフル的街なのか?
「父親も知らない」自分を、否定から肯定へと変化させたヒロインの、成長ぶりが鮮やかだ。
…けれど、やはり大島真寿美なので、淡々とした文章で語られる。
投稿元:
レビューを見る
ブクログの元気が出る小説で紹介されていたので読んでみた。
読みやすくてスイスイ読めた。
出てくる人が、癖があってもみんないい人で、ほっこりした。
現地のご飯、食べてみたいなあってなる。
広東語は早口だから怒ってるように聞こえるけど、みんな笑ってて、怒ってるわけじゃない。って知れたのなんかよかったな。
一つの情報だけで全体の印象を決めつけちゃうけど、よくみないといけないなあって。
旅は良いなーと思った。
投稿元:
レビューを見る
17歳の主人公。
生きづらさを感じ学校はサボり癖がついてしまった。
振り返るととにかく疲れていた。
それが父親がいないせいだとは本気で思っていないのだが、『どうせ父親も知らない私ですから』と母に反論した事で知らされていなかった父がいる香港に連れて行かれてしまう。
それが香港じゃなくても良かったのかもしれない、きっかけさえもらえれば。
でも主人公にとっては自分を主張する怒っていそうな口調だけれど優しい人々のいる香港の街が丁度良かったのだろう。
やり場のないエネルギーを賑やかな街で発散できた。
日本に帰ってからのおばあちゃん、エミリー、テツヤ、ロイの関係性がとても良い。
特に何度も香港を訪れたおばあちゃんのバイタリティは素晴らしい。
もう17歳のあの頃の気持ちは思い出せない。
けれど確実に通ってきた道。
自分で決めて良いのだ、自分の事は自分で決めるしかないのだ。
どこにいても『ここはどこなんだ?』と地に足がつかなかった主人公が『私はここにいる』と思える様になった大きな変化。
爽やかな読後感だった。
投稿元:
レビューを見る
街の雰囲気の描写に魅了させられた。「自分がどこにいるか、本当の意味で分からない」というのには共感出来たし、期限付きだからこそ、見えるものがあると思った。