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面白かった。
本書は、中国式スパルタ教育で娘2人を厳しく育てた体験記。
筆者はアメリカの名門エール大学で教べんをとる中国系アメリカ人のエイミー・チュア教授。
子どもの人格や自主性を尊重する欧米式の教育とは正反対に、子どもを罵倒しながら無理やり勉強をさせる猛烈な教育ママぶりが全米で論争を読んだとの事。
書き出しを引用する。
中国人の親たちはどうやって、あんなに優秀なこどもたちを育てているのだろう。多くの人々がそう思っています。あれだけ多くの数学の天才や音楽の神童を生み出すために何をしているのか。家庭の中はどうなっているのか。わたしたちでも同じことができるのだろうか。実は、わたしはその秘密をお教えできます。なぜなら、わたし自身が実践したことだからです。
2人の娘、ソフィアとルイーザには、次のようなことは絶対に許しませんでした。
・友達の家で外泊すること
・友達と集まって遊ぶこと
・学芸会に出ること
・学芸会に出ないことについて文句を言うこと
・テレビをみたりコンピュータ・ゲームをしたりすること
・課外活動をすること
・Aより悪い成績をとること
・体育と演劇を除くすべての教科で1番にならないこと
・ピアノやバイオリン以外の楽器を弾くこと
・ピアノやバイオリンを弾かないこと
かなり強烈で、教育法としてはあまり参考にはならないが
人を教育するということについて、随所で哲学的な難問を突きつけており、考えさせられた。
本の解説に関しては、こちらを参照されたし。
以下は、本書で突きつけられた難問について考えたこと。
ひとまず、私は難問を4点に集約した。
【難問】
1. 親が子供を教育する目的は何か
2. 親が子供を教育するにあたっては、どの程度の関わり方が適当か(積極的/消極的)
3. 親は子供の基本的人権を、いつまで/どこまで制限して良いか(子供の選択の自由)
4. 親の教育の結果はどのように評価すれば良いか
【考えたこと】
1. 教育の目的
タイガーマザーによると、小さい子供には自分に何が向いているかは分からないため、何を目指すかは親が決めるべきだとの事である。
非常に自分勝手なように聞こえるが、世の中の実態も多かれ少なかれ同じだと思う。
「子供にどうなって欲しいか」
「子供に何を目指して欲しいか」
タイガーマザーの言う事には反論するにも関わらず、私を含めてほとんどの親たちは、上記の問いに対して答えを持ち合わせていない。
漠然と
「優しい子になってくれればいい」
とか言って、難問から逃げているのが実情だなと。
私は、マズローの欲求段階説を参考に考えてみる事にした。
マズローは人間の欲求を下記の五段階で説明している。
(1) 生理的欲求: 生命維持のための食事・睡眠・排泄等の根源的・本能的な欲求。
(2) 安全の欲求: 安全性・経済的安定性・良い健康状���の維持・良い暮らしの水準、事故防止、保証の強固さなど、予測可能で秩序だった状態を得ようとする欲求。
(3) 親和性の欲求: 生理的欲求と安全欲求が十分に満たされると、この欲求が現れる。 情緒的な人間関係・他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚
(4) 承認の欲求: 自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求
(5) 自己実現の欲求: 自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえるものにならなければならないという欲求。すべての行動の動機が、この欲求に帰結されるようになる。
とある本では、教育とは「自分で生きて行ける生命力を身につけさせる事」と言っている。
つまり、その本によれば
子供が第二段階の欲求まで満たせるようになれば教育は終わり、という事だ。
タイガーマザーの目指す、カーネギーホールでの演奏は第四段階の承認の欲求だろう。
ただしそこには、タイガーマザー自身の欲求も含まれてしまっているけど。
そう考えてみると、自分の子供には最終的に自己実現の欲求までチャレンジして欲しいなと思う。
手を抜かずに力を抜いて
テキトーに粘り強い感じでという
無理難題をふっかけて行こう。
2. 親の関わり方(積極的/消極的)
タイガーマザーのように、親が教育に積極的に関わり過ぎると、子供の自主性が損なわれる可能性があるし、子供の自我と衝突するかもしれない。
ルソーのエミールの影響からか、欧米では、子供の自主性を重んじる思想が主流のようだ。だから一層、タイガーマザーが論争を巻き起こしたのかもしれないが。
私は、最適な関わり方は子供の個性や成長に大きく依存するので
こればっかりは子供の様子を観察しながら試行錯誤を繰り返して適宜フィードバックをかけていくしかないのではないかと思う。積極的、消極的のどちらが良いかは子供次第。
自分の子供は、やりたがりなのか、甘えたがりなのか。
怖いもの知らずなのか、臆病なのか。
自我が強いのか、弱いのか。
私は自分の子供に対し
「にぎやかし」「はやしたて」を基本として接して行こうと考えているが、まあ、適宜見直しですな。
3. 子供の基本的人権を、いつまで/どこまで制限して良いか
タイガーマザーの最も批判されるているポイントはここだと思う。
子供の人生のデザインをするのは誰か。親か子供自身か。
タイガーマザーは言う。
欧米の教育では、子供に選択させるかとを重視するが
小さい子供が自分の特性を理解し、人生をデザインするような選択をできる訳がない。
スルドイ。おっしゃる通り。
スポーツでも芸術でもお受験でも
結局のところ、周囲の環境を整え、子供のモチベーションを引き出して、子供にやらせるのは、他でもない親なのだ。
程度問題だけど、こればっかりは
私も方向性はタイガーマザーと同じになってしまうかな。
私はアンチお受験派ではあるが
それは私の主観であって、子供の価値観ではない。
でも、結局のところ私の主観を押し付ける事になると思う。
その前に妻と価値観の擦り合わせをしないといけないけど。
4. 親の教育の評価
非常に難しい問題だが、やっぱり教育された子供が評価するべきかなと思う。
ただし、子供がかなり大きくなってから。もっと言うと、子供がやがて親となり、孫を教育する段になってからが良いかもしれない。
親の心子知らずということわざがあるが
私も自分の子供を持つようになってから、自分の両親についての理解が深まった気がする。
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徹底的スパルタ押し付け教育で娘に音楽などを教える話。
「中国式」のステレオタイプな表現が気に障る。
いったいその娘たちはその後どうなったのでしょうか。
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11/8/19
こんにちは、土井英司です。
本日の一冊は、店頭で気になっていながら、(恐くて)なかなか手
に取れなかった一冊。
著者は、ハーバードで学位を取り、現在はイェール大学法科大学院
教授を務めるエイミー・チュア氏。
話題となった『富の独裁者』の著者であり、推理作家として知られ
るジェド・ルーベンフェルド氏(『殺人者は夢を見るか』が有名)
の妻でもあります。
本書で書かれているのは、著者が実践した「中国式」スパルタ教育
の実際とエピソード。
二人の娘を学業優秀、ピアノとバイオリンで超一流に育て上げた著
者が、一体どんな教育を施していたのか。
(ちなみに長女はカーネギーホールでピアノ演奏をし、ハーバード
大学にも合格しています)
超エリート家庭の教育が垣間見える、じつに刺激的な一冊です。
・「お泊まり会」に行ってはいけない
・友達と遊びに行ってはいけない
・テレビは見てはいけないし、コンピュータゲームもしてはいけない
・課外活動の内容を自分で選んではいけない
・ピアノとバイオリン以外の楽器を演奏してはならない
(以上、一部紹介)
厳しいルールと、ヴァカンスの途中でもレッスンを止めない姿勢。
その苛烈なまでの教育には、驚くばかりですが、一流を目指すとい
うことは、確かにこういうことかもしれません。
個人的に印象に残ったのは、「何をするにしてもうまくなるまでは
楽しいことなどない」という言葉と、「(中国人の親は)子どもた
ちに弱さではなく、強さがあることを前提としている」という言葉。
未来にも、子どもたちにも希望を持てなくなった日本人に、このメ
ッセージがどう届くかわかりませんが、一読に値する一冊だと思います。
ビジネス教育のヒントとしても、興味深い内容です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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欧米人の母親の七十パーセント近くが「学業での成功を強要するの
は子どもによくない」、あるいは「親は勉強が楽しいという考えを
教える必要がある」と答えたのに対し、中国系の親で同じように答
えた人は、ほとんどいませんでした
中国の親は欧米の親より優れている点が二つほどあると気づきまし
た。一.自分の子どもに大きな夢を持っていること 二.自分の子
どもがどれだけ多くのことができるか理解しているという点で、子
どもを高く評価していること
私が最も恐れていることの一つが、一族の衰退です。中国の古い格
言に「繁栄が三世代続くことはない」というものがあります
「慎み深くいること、謙虚でいること、質素でいること」母によく
言われました。もちろん、その背後にある母の真意は「謙虚になる
必要があるように、必ず一位になること」です。一方、父の基本原
則の一つは、「決して不平を言っ��り、言い訳をしたりしないこと。
学校で不平等だと思うことがあれば、人の二倍努力して人の二倍の
成果を出し、自分の能力を示すこと」でした
中国の親がよくわかっているのは、何をするにしてもうまくなるま
では楽しいことなどないということです。そのためには努力が必要
ですが、当の子どもたちは放っておけば努力などしませんから、親
が子どもたちの希望など無視することが重要なのです
「やるだけの価値があって、評価に値するものは難しいものって決
まってるの!」
親のえこひいきはどの文化にも存在する
欧米人の親は子どもの心理面を気遣うのです。中国人の親は違いま
す。彼らは子どもたちに弱さではなく、強さがあることを前提とし
ているので、結果として欧米人の親とは全く違った行動を取ること
になります
中国人の親は、子どもたちの望みや好みをすべて踏みにじる結果に
なっても子どもにとって何がベストなのかわかっているという自負
があります
「外国なまりがあるというのがどういうことかわかる? 勇敢さの
しるしなの。大海を越えてこの国にやってきた人々なんだから」
「練習をしない日があればどんどん下手になる」
(バイオリンの先生の言葉)
「子どもがほっといても正しいことをすると期待するのは、行き過
ぎた理想論だと思うわ」
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『タイガー・マザー』エイミー・チュア・著 朝日出版社
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◆目次◆
1.中国人の母として
2.ソフィア
3.ルイーザ
4.チュア家
5.それぞれの世代と衰退について
6.かみ合い始めた歯車
7.虎の強運
8.ルルの楽器
9.バイオリン
10.歯型と泡
11.『白い小さなロバ』
12.カデンツァ
13.ココ
14.ロンドン、アテネ、バルセロナ、ムンバイ
15.ポポ
16.バースデーカード
17.シャタークワへの道
18.水浴場
19.カーネギーホール目指して
20.カーネギーホール目指して2
21.デビューとオーディション
22.ブダペストの失敗
23.プシュキン
24.反抗
25.暗黒
26.反抗2
27.カトリン
28.米袋
29.絶望の淵
30.『ヘブライの旋律』
31.赤の広場
32.シンボル
33.西へ
34.終わり
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すごい鬼母。
突き抜けすぎてむしろ尊敬。
(こうはなれないけど)
この人は娘にも超絶厳しいけど、それ以上に自分にも厳しそう。キャリアがそれを物語っている。
中国ママの教育ってすごいなぁー、とろただただ関心しま本(決していいとは思わないが)
子育てってほんと多種多様だなぁ…
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面白すぎて読破。彼女のやり方は極端で、過激で、読みながらいつかは、このやり方が破綻するだろうなという期待感を持って読むんだけど、最後の方はなぜか落ち着きを見せ、これはこれでアリなのかも、と思わせるのが不思議。そして彼女の言い分もわかる(子供の自主性に任せるという西洋式の教育方法が、必ずしも子供の能力を伸ばすわけではないこと)。それからネットで見つけた著者の若さと美貌にびびりました。
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読了までが苦痛だった。◆要点を2ページほど纏めてくれれば済む話。◆◆訳者の斉藤孝が触れていた、脳科学の専門家の言「七歳までは極端なことをしない方がよい。脳にダメージがあると修復が困難」は原典をあたりたいところ。