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[映画の感想]
絶妙。
特に感動するわけでも、ハラハラするわけでも、笑えるわけでもないのだけれど、とっても余韻がある。
学生運動を代表とする60・70年代の、私と同世代の若者が日本を変えようと本気で思っていた時代というのはどういうものなのだろうということに興味があって、この映画もそういう理由で選んだ。
だけどこの映画は、安田講堂がおちて学生運動が下火になった頃の話で、松山ケンイチ演じる梅山はその運動の指導者に憧れてただ真似事をするだけの男の子だったように思う。
どこかのサイトでこの映画を「社会派青春映画」と説明していて、これは的を射ていると思った。
一昔前の日本の匂いがすごいしてきたのも良かった。(大衆居酒屋とかクーラーのないオフィスとか色々な風景が◎)
恋愛感情だけで犯罪に加担した梅山の彼女、
沢田とくっつきそうでくっつかなかった女優の女の子(三年後に死んだっていうのが物語的にかゆいところに手が届いているというか、にくい感じ。「死んだ」としかナレーションが入らないから自殺なのか病気なのかも分からないし)
など、まわりのチョイ役にも手が行き届いたストーリーだと思う。
社会派青春群像劇っていうのが一番しっくりくるかも。
キャッチコピーの「俺たちは“何を”信じるのか?」も良かった。
社会人になる直前の時期である今、この言葉は考えさせられる。
私はこれから、何を信じて死に物狂いで戦うのでしょうか。
●この映画に対する著名人の声(公式HPより)
野田秀樹(劇作家、演出家)
>理屈好きの私には、やはりこの時代の理屈をめぐる物語は面白くて仕方がない。
西川美和(映画監督)
>スカスカなこと言いながら女を抱いている革命闘士の松山くんがおかしくて、また切なかった。
「熱かった」といわれる時代の中の密かな空洞が、山下流に緩やかに、柔らかにあぶりだされていく。
この時代に対して私たちの世代が感じている大きな距離感が、ぐっと縮められるような作品だ。