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紙の本
若い読者が、これを読んで、学問をする上でのワクワク感を少しでも感じて呉れれば・・・
2012/02/20 11:48
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぜのぱす - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本分子生物学会の編纂による『分子生物学に魅せられた人々』を読んだ。
最初に断っておこう。
一般の読者向けではない(恐らく、読んでも面白くないだろう)。読者の対象は、理系(の更に云えば、生物、農、医、薬学系)の大学(院)生、或いは、其れ目指す高校生だろうか。
簡単に云えば、生命現象を分子のレベルで説明する学問が分子生物学である。が、狭義には、その分子の対象は、多くの場合、DNAやRNAであり、その意味で平たく云えば、DNA、RNAの機能解析を通じて生命現象を理解する学問である。また、現代では、多かれ少なかれ分子生物学の手法を取り入れていない(医学、農学、薬学を含む)生物学を捜すのが難しいくらい、生物学上、重要な分野である。
科学史的な観点から云えば、分子生物学の黎明期は、1953年にワトソンとクリックによるDNAの二重らせん構造に関する論文が出たのがひとつの大きな発端であろう。この後、60年代、70年代と重要な発見が相継ぎ、分子生物学の基礎が確立し現在に至っている。
本書では、その黎明期や、その後の重要な発見が相継いだ時期に、その現場(の側)に居合わせた日本人の先駆者達、また、彼等が日本へその学問の基礎を根付かせた後に、それを継承して学問を発展させた日本人研究者達の回顧録(実際にはインタービューを元におこした原稿)である。
トップバッターは、1924年産まれの富澤 純一。(最初の)滞米から帰国後の1961年に、当時の分子生物学の中心的研究材料だったファージ(=細菌に感染するウィルス)の取り扱いを教える講習会を日本で開き、それはその後、数年続くことになる。その過程で当時の主だった日本の分子生物学研究者達が運営に関わり、また、受講者の中から、その後の日本の分子生物学の発展の中核を担う人材が輩出した。この集会が、その後の分子生物学会へと発展して行く訳だ。
以下、学問の系譜から云えば、3-4世代に渡る研究者(富澤を含め、計)14名が選ばれている。錚々たるメンバーである(恐らく、この中から、将来ノーベル賞受賞者が出る、と個人的には思っているのだが)。インタビューを行なっているのも、本来インタビューされる側に居ても不思議ではない研究者達であり、恐らく、実際のインタビューの内容は、本書にまとめられているより、数倍も面白かったに違いない。逆に云えば、本書は字数の制限の為だろう、簡潔にまとめられて居るが故に、個人的には、ちょっと中途半端で物足りなく感じたのも事実である。が、若い読者が、これを読んで、学問をする上でのワクワク感を少しでも感じて呉れれば、本書の意味も少しはあろう。
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