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下巻は釣の話がメインと言うより、赤穂浪士の討ち入りとそれを期待する世間との想いに翻弄される主人公達の話。きっちりまとめ上げてくる作者に脱帽。
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上下巻の長編大作を徹頭徹尾、江戸時代の釣りに魅せられた人々の釣りにまつわる話を描くだけの話。基本的に史実に忠実に描いているので、作者らしい話の膨らみも伝奇的やバイオレンスも一切なし。釣りに魅せられた作者は楽しんで描いたのであろうが、釣りに興味がない人には何が楽しいのか、最後まで分からないだろう。それにしても、確かに釣りというものに、これほど入れ込んで多数の釣り具やハリ、しかけにバリエーションがある国は日本以外にはないのかもしれない。また、江戸時代に釣り指南書を描いた人間が赤穂浪士に近しい人物で、しかも生類憐みの令の時代に生きていたということは全く知られていない。また、江戸時代に一切生産にかかわらず、所得を得てはいるが、暇を持て余した武士たちが釣りにはまり、それが今の釣り文化に繋がっているという視点も新鮮ではあった。ただし、話に起伏がないので、釣りに興味がない人には、この長編を読むには辛いかもしれない。
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下巻では松の廊下から浪士の討ち入り、綱吉が没して生類憐れみの令が事実上無効となるまでが描かれます。討ち入りに関しては世間一般とは異なり、吉良が一方的な被害者として扱われている点は播州の人間にはガマンできないかもしれません(笑。
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江戸の趣味人は徹底してましたよね~。釣りにはまって全てを失ってしまう投竿翁とか・・。そんな粋な遊び人たちも綱吉の生類憐みの令にはかなわずに、一人また一人と投獄されたり、島流しにあったり・・で、みんな少しずつ壊れていってしまうのが哀しい。
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其角の言うとおり、投竿翁の生き方を非常に羨ましく思った。身を崩すほどに何かに狂えるというのはある意味幸せなことだと思う。そして、そこまでは到達できなくとも、法も世間も顧みず己の道を最優先に通して生きようとする他の登場人物も非常に眩しかった。自分も何かそういうものを見つけたい。
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上巻に続いて、生類憐みの令のバリエーションで漁師以外が魚を獲ることが禁止され、津軽釆女たち釣り仲間たちは暇をかこつ。
古物商が手に入れた「釣秘伝百箇条」という自筆本の著者である投竿翁という老人をみんなで探してみると、釣りのために生涯他のものを捨て去って死んだ男にたどりつく。
其角はそこに死を看取った芭蕉の姿を重ねて見る。一方、朝湖は釣りをしたことを咎められ、島送りとなる。
そして采女義父吉良上野介が赤穂浪士たちに惨殺された。
突然綱吉が死んで、生類憐みの令は廃止され、朝湖は赦免となって江戸に戻る。
釆女は考える。
「自分の握るこの竿は、人が生きてゆくための杖である。
人は淋しい。
人は愚かだ。
その淋しさや、哀しさや、愚かさの深さに応じて人は釣りにゆくのであろう。
人は弱い。
その弱い人間が、なんとか歩いてゆくためには、杖が必要だ。
弱い人間がすがる杖、それが釣りなのではないか。」
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元禄時代の釣りキチたちを描く後編。
ついに生類憐れみの令が釣りまでも禁止したなか、義父の吉良上野介を赤穂浪士に討ち取られた津軽采女など、それぞれ登場人物たちは「哀しみ」のなかで釣りへの思いを高めていく。
何かを極めようとする者の狂気を悲哀をこめて語る文章からは、そんな狂者へのリスペクトが溢れていて地味に心打たれます。
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史実とフィクションが良い感じでクロスしてて、とても良い雰囲気を醸し出しています。釣り好きには是非読んで欲しい一冊です。
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誰に酔狂といわれようと、本気で酔狂に一生懸命だとそれがたまらなくかっこよく見えてくる。
私は一生に、酔狂なまでに執着できるものに出会えるだろうか。
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釣りに興味がないせいもあって、上巻の半分くらいまではあまり興味が持てずに淡々と読んでいる感じだった。でも、読み進めるうちに登場人物たちに愛着が湧いてきて、下巻は一気に読んだ。切ない。
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当然クライマックスになると思われた忠臣蔵でしたが、
采女の心境の変化が、日本初の釣り指南書の「何羨録」を書くに至るまでを、
もう少し掘り下げてほしかった。
其角の死からはめちゃくちゃ駆け足で史実紹介に終始していたのが、
ちょっと残念です。
本作の一番の主人公は、反骨精神を持ち続けた多賀朝湖こと英一蝶でしたので、
彼だけを主人公した方がよかったかも。
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朝湖の島流しから、松の廊下,浪士の討ち入り,基角の死...ついつい釣られて一気読み。
綱吉の突然の死で「生類憐みの令」は廃止され、赦免されて江戸に戻った朝湖と、采女の最後の場面がいい。
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美容師のお姉さんから借りた。半年経って読了。
釣りがしたいぞ。モロコ、クチボソ雑魚釣りが好きだ。竿もまだ持ってた筈だ。
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20120630 釣りバカ日誌のような本と思ってたがもっと深い。元禄時代の生き様が絵巻のようで眩しい。淡々と書かれているのが良い。裏忠臣蔵的な読み方もあるかも。
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今も続く忠臣蔵の仇討ちの話は、後世創られたものが大半なんだろうけど、時代の流れというか周りの人の噂の強制力ってのは、大きかったんでしょうね。これを読んだからと言うわけでもないけど、今当然のように創られている、語られている物語を、他の視点からも見直すというのは、歴史認識にも、何においても必要ですね。