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本を書く人はみんなそうかもだけど,著者も自分の仕事にものすごい自信を持っているのがよくわかる。「たとえ死体を焼いても、私のような専門家が見れば、殺人を隠し通すことはできない。そう知らしめないと、これからも真似をする犯罪者が出てくる」p.23
これはある意味頼もしくて,いいことなのかもしれないけど,過剰な自信はちょっと怖い。「私が推理したとおり、犯行現場の状況と死体所見が示したままの結果だった。」p.70,「いまの法医学者たちは知識は豊富でも、まだまだ経験が足りないと痛感する。」p107
被害者への感情移入も隠さない。「さぞ苦しかったであろう。生きながら死ぬことに、さぞ恐怖したことであろう。」p.117
法医学の鑑定は,冷静中立にやらないとまずいんじゃないかと思ったりするけど,人間が執刀する以上やはり難しいのだろうか。戦後多くあった冤罪事件で,被告人を有罪にする鑑定結果が法医学者から出されていた。古畑鑑定などが有名。あまり自信過剰だったり,犯人を何とか罰したいとか思っていると,目が曇るんじゃなかろうか。著者には失敗談などないんだろうか。「犯人を特定するに至らなかった」みたいのじゃなく。