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理解されないことは分かっているけど、それでも書かずにはいられないという感じがして好き。ヨンへ「誰も私を理解できない。なぜ、死んではいけないの?」姉「従順さは、卑怯だった。ただ生存の一方法に過ぎなかった。私はあなたを知らない。私は生きてはいない。」
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すぐ読めちゃうけど…??? テーマはわかるのですが、共感できないというか、小説に入り込めませんでした。
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境界の向こうに行きたくなった姉の気持ちが迫ってくる。誰でも、重荷を投げだしてしまいたくなるものだから。生きていくのは、それ自体が重荷となることもあるし。
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なめていたわけじゃないけれど、ショックを受けた。いい意味で。
ハン・ガン(韓江)の連作中編というべきか。3作は2002年から05年の間に書かれている。
夢を見ることにより、急に肉が食べられなくなった女性の話のタイトル作から、その女性がボディペインティングしてビデオ撮影にのぞむ『蒙古斑』。病院に入れられる『木の花火』と、徐々に人が壊れていくというか、素に戻っていくような姿が書かれている。
最初はちょっとごつごつしているなあ、と感じながらも、三編それぞれ一気読み。小説らしい小説を読んだ気持ちと、韓江という新しい作家を知った喜びを味わえた。そんなにたくさん韓国作家を知っているわけではないが、この新興出版社(韓国から来た人が経営?)が、この新しい韓国の文学のシリーズの1作目にこの作品を選んだことになぜか納得。父も兄も作家だそうである。
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狂えるものなら、狂ってしまいたいときもあるよね。
狂った方が幸せなのか、不幸なのか、考えてしまいました。
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夢を見たことをきっかけに肉を一切口にしなくなったヨンヘを巡って、ヨンヘの夫、ヨンヘの姉、姉の夫(ヨンヘと関係を持つ)を軸に話が静かに進んでいく。
怒った父親から殴られ、肉を無理やり口に押しこめられナイフで手首を切って自殺を図ったり、雨の中森に分け入って立ち尽くしたり、ビデオカメラのまわるなか、姉の夫と抱き合ったりと、かなり激しい場面も多いのに、無声映画を見ているような印象が強い。
ヨンヘ自身がほとんど何も語っていないので、はたして原因が何なのか、何を考えているのか推察するしかないが、この小説の中で自分のやりたいことを貫く強さを持っているのは彼女だけかもしれない。痩せさらばえて死に近づく彼女を見つめることで、自分の生を思い返さざるをえなくなってしまった姉も、ヨンヘを早々に捨て去った夫も、失踪した後も子供に会いたいと電話をかけてくる姉の夫も、みんな妥協し矛盾を受け入れながら現実と折り合いをつけている。そうでなければ生きていられないと知っているから。その弱さを持たないヨンヘは、すでに彼女自身が望んだ植物に近い存在なのかもしれない。
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冒頭からもうガッツリ掴まれてしまった。
とにかく第一章(?)のスピード感がたまらない。
「無難」「平凡」と思われていた女性がとつぜん菜食主義になったことで大騒ぎになる周囲の過剰さ。
そこから見えてくる女性に対する圧力や暴力が丁寧かつアブノーマルに暴かれていくさまがとても良かった。
日本の女性作家にあまり見ないような文章のキレが良い。
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突然肉を食べなくなった女性と、それをとりまく人々、特に3人の人物を中心に物語は展開する。連作小説であるが、一つの長編小説と考えた方がよい内容。人間の中の動物的な部分とそれを嫌悪し植物的なものにあこがれる部分。そのせめぎ合いがシビアな形で物語化されている。
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韓国が舞台ではあるけれど、すぐれて現代的で普遍的であると思いました。
どこにでもありうる話。
人間がどうしようもなく抱えている動物性を直視し、否定し、植物そのものをめざす主人公
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かなり衝撃的な話でした。語り手の視点が章ごとに変わっていく韓国の小説によくあるパターンでしたが、最初に周囲の人物にすぎなかった人が後の重大な語り手になるのは、個人的にはその人物に入り込めない感じがありました。主人公の姉とその夫に関しては最後まで人物像が掴みにくかったです。とても丁寧に描写しているので単に私の読力の問題だと思うのですが。
でも、読んで良かったです。厳しい内容ですがすごい小説だと思います。
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自ら植物にならんとする、ある女性の物語。3つの連作中編で、その女性の夫、義兄、姉の視点で描かれる。
菜食主義に至った理由が事細かに描かれているわけでもなく、全体的に薄暗いベールに包まれたまま死へと向かう彼女の姿は、厳かなようで滑稽だ。
なぜか。植物を目指しているのにそのふるまいはまるで獣のそれだからだ。
肉食を強要する家族に対し自らの血を浴びせ、注射を打つ医療者に噛みつき、暴れる姿は獣そのものだ。セックスの描写も受粉というよりは交配であった。
それが意図されたものなのかは分からないが、その対比は面白かった。
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ダーク、アナ雪!姉妹の物語として読んだ。
親に、配偶者(男)に、ジワジワと追い詰められる妹。つい長女目線なる。
メンタルとフィジカル、両方にダメージくらう。くらいました。
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韓国文学ブームの火付け役と言っても過言ではない筆者の代表作。ある日突然肉食を拒否し始めた、ごくごく「普通」の主婦であるヨンヘに、彼女の夫・義兄・姉のそれぞれが苛烈な化学反応を見せる。肉を断つ、という些細な事が引き摺り出す人間の否応なき獣性とは。軍隊上がりの義父はヨンヘの顔を鷲掴みにしながら口に肉を突っ込み、夫は無理矢理体を重ね。人間が「生きる」という事は他者の生と性の上に成り立つもので、それを受け入れられない者はヨンヘのように、植物になる≒自死するしかない。常日頃何の意識も伴わず行なっていた事が、ふと空恐ろしくなるような一冊だった。作者が意図しているか分からないけど、自殺の是非についても考えてしまった。私は以前から本当に死にたいと思っている人は、黙って死なせてあげるべきではないかと考えるタイプの人間で、ここまでヨンヘの衰弱を阻止しようとする彼らに違和感を覚えてしまった。例え家族でも、望むのであれば目を瞑りたい。
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この小説とドラマ「サイコだけど大丈夫」を同時期に見れたことはすごくよかった。人間の内なる欲望や葛藤に正面から向き合い、ぼやかすことなく書いている。「普通」ってなんだろうなと思う。自分の中で消化しきれないところもあり、歳を重ねたら改めて読み返したい1冊。
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最後の数十ページの才気ほとばしる言葉の密度に、息をするのも忘れて読みました。入り組んだ心の隙間を、右に左にぶつかりながら、肉をえぐって暴走する列車が通り過ぎて行ったかのよう。このシリーズは表紙がとても美しいので、手にするうれしさもあります。