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子どもの頃にあまりファンタジーを読まずに大人になり、そのまま食わず嫌い&苦手意識があった私のファンタジーへの姿勢を正してもらえたような気がする。
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(年齢にかかわらず)成熟していない人たちは、道徳的な確かさを望み、要求します。これは悪い、これは善い、と言ってほしいのです。子どもやティーンエイジャーは、確固とした道徳的足場を見つけようともがきます。彼らは勝つ側にいると感じたいのです。少なくともそのチームの一員だと思いたいのです。しかし(疑われることのない)善と(検証されることのない)悪との間の戦いと称するものは、物事を明快にする代わりに、ぼやけさせます。それは暴力についての単なる言い訳にしかなりません。それは現実の世界の侵略戦争と同じくらい、浅はかで無益で卑劣なものです。
ファンタジーと未熟さをごっちゃにするのは、かなり大きな間違いだ。合理的だが頭でっかちではなく、論理的だがあからさまではなく、寓意的というよりは象徴的 - ファンタジーは原始的(プリミティブ)ではなく、根源的(プライマリー)なのだ。
物語が「メッセージをもっている」という考えは、その物語を二、三の抽象的な言葉に縮小することが可能ということ、コンパクトに要約できるということを前提にしている。物語の意味というのは、言語そのもの、読むにつれて動いていく動きそのもの、言葉にできないような発見の驚きにあるのであって、ちっぽけな助言にあるのではない。
ファンタジーは子どものための物語の形として、子どもの本質に根ざした、もっとも自然なものだ。なぜ、そう言えるのだろうか?子どもたちはたいてい現実と非現実の区別がつかないからか?子どもたちには現実からの「逃避」が必要だからか?そのどちらでもない。現実からの意味を汲みとるために、子どもたちは想像力をフルタイムで働かせているから、そして、想像力による物語こそが、その仕事をするための最強の道具だからだ。
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ファンタジー文学の書き手自らが語った、ファンタジーに関する考察。気づかされることが多かった。気になるのはページ数のわりに値段が高いことで、200ページ未満の本ならソフトカバーで1400円くらいにしていただけるとなおうれしい。
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たいていの人はファンタジーを書かない。ファンタジーを読む。
ル=グウィンは書く側として「できること」を語り,それを読む側は,ほぉそんなこともファンタジーはできるのかと感心しながら読み進めるのだけれど,読み終えると,自分はどうしてファンタジーを読むのかが見えてくる。
ル=グウィンは一貫してファンタジーはファンタジーのためにあると主張する。フロイトやユングその他の理論の具現であったり,社会的なり政治的なり何なりのメッセージを隠す容れ物であったりするものでは断固ないと何度も言い切る。
ファンタジーの世界はその世界として閉じた系でないと読み手を混乱させるとも。閉じたというと語弊があるかな,一貫性というほうがいいかな。なぜなら,ファンタジーを読む人は,竜や一角獣やしゃべる動物が登場しさえすれば満足するのではなく,何が登場しようがファンタジーが物語らしくあることをこそ望んでいるから。
この2つにはすごく共感しながら読んだ。絵本や物語を心理学的見地から評論することに対しては,自分の理論の万民に口当たりの良い宣伝材料としてファンタジーを利用しているのだろうと思っていたし,力強いファンタジーと白けてしまうそれがあると感じていた。
ただ,この本の最大の迫力は,自分が産みだしているものを客観視できるル=グウィンの地に足付いた自己分析力だと思う。
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ル=グィンがブックフェアなどで行った講演や、ファンタジーについての論評を集めた本。
動物擬人化ものに対しての論評は結構辛口。というか、どんな前人についても割と辛口。
個人的にはゲド戦記シリーズ全6冊の成り立ちについての文が興味深かった。
あと、『バンビ』の原作がそんなに素晴らしいものだとは知らなかった。ディズニーのもよく知らないけど。そのうち原作を読んでみたい。
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「メッセージについてのメッセージ」は、
実に素晴らしい文章。
物語とメッセージの関係をこんなに簡潔に、
わかりやすく書いている物はないのでは。
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ファンタジーにかんする物が集められている。私は「内なる荒野」と「子どもの本の動物たち」が面白かったです。特に、シルヴィア・タウンゼンド・ヴォーナーの詩については瞠目しました。
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ル=グウィンの文学に関するエッセイや講演をまとめたもの。
大きく分けて、ファンタジー論・動物文学論・YA論。どれも、そうそう、そう言ってほしかったんだ、と納得でした。
ハリー・ポッターのあの大ブームは何なのか。イギリスには、もっと素敵なファンタジーがいっぱいあるのに、なんでハリー・ポッターがあんなに騒がれるのか。疑問符の山だったのが、ル=グウィンの切り口にすっきりした。
動物文学の分析も、納得。そして、その読書量にも感動。
やっぱりすごいなあ。
そして「イシ」を書いたシオドーラ・クローバーの娘だという事を、初めて知った!!
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ル=グウィンさん大好きである。
とゆーわけで手にしたわけだが・・・・・。
多分半分も分かってない気がする。
なーんとなく、は分かるんだけど・・・・。
でてくる過去の作品について、とか
それらに対する批評家の意見、とか。
イマイチ知識としても殆ど知らないし、実感としても分からないことが多く・・・。
でもル=グウィンさんが、とても真摯にファンタジーというものに
向き合っているのはすごく感じられた。
ただ私としては結局自分が好きか嫌いか、
おもしろいか、おもしろくないか、ただそれだけなんだけど。
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ル=グウィンはちょっと苦手で小説はあまり読んでないが、これは読みやすい。ファンタジーとは何か?について、はじめてわかった気がする。
ファンタジーには「本物の竜」がでてくる。それは映画の竜とはちがって、本当にあなたを殺すことができる。彼らは宝石をもっていて、竜と格闘すれば、手に入れることができる。それは「知恵」という宝石だ。
知恵は容易には手に入らない。森のなかにはあなたを惑わせる魔術師もいる。
ファンタジーは善と悪の戦いを描くものではない。善と悪の違いがわかる方法を教えるものだ。
アメリカ人は戦闘にとりつかれていて、「人生の戦い」やら「善と悪の戦い」を強調するが、それは常にいんちきな比喩であり、聞こえのよい表現で暴力を是認し、思考を停止させるためのものにすぎない。
つまりは、人はよく生きるためには、ビジネス書ではなく、また教訓話ではなく、ファンタジーを、そしてこの本を読むべきなのである。
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「ファンタジーの細かい設定不足を指摘すると怒る人がいるが、現実とは違うファンタジーだからこそ、きちんと設定説明をしてくれないと混乱する」という意見には超納得。
今まで誰に言っても小うるさいヤツと思われてきた(と推測)ので、グウィンのような巨匠に言ってもらえてかなり嬉しい。
あと、「『ハリーポッター』シリーズを、「とんでもなく新しく楽しいファンタジーだ「」と思うのは、
その人たちが今まで本を読んで来なかった証明だ」と言うのもかなり共感できた(『ハリーポッター』は好きですが、「とんでもなく新しいか」と問われるとその答えはYESではないと思う。
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ル=グウィン『いまファンタジーにできること』河出書房、読了。『ゲド戦記』の著者がファンタジーの力を緻密に論証する。ゆっくり育つ子供たちの持つ「センス・オブ・ワンダー」(カーソン)は、あらゆる慣習・規範・立場(サンカーラ)から自由にする。そこから本当の見え方が出て来る。お勧め★4
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「ゲド戦記」の著者によるいろんな機会に行った講演、スピーチを集めたもの。わかりやすくて、彼女の作品世界への入門書としても読める。それよりも、あっと驚くおまけがついている。これがなかなかユーモラスでよい。
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古今東西のファンタジーを挙げて論評しつつ、ファンタジーの効用と役割について語る。
ファンタジーは小さな子どものためのものだと文学の括りから外して語ろうとする世の批評家を、バッサリ斬っている。以前に「夜の言葉」のほうを読んである程度女史の辛口に耐性がついていたので、今度は平静な心持ちで読めた。
恥ずかしながら、挙げられているファンタジ‐作品に知らないタイトルが多数あったため、あまりぴんとこない箇所もあったけれど(これは自分の勉強不足の問題)、動物たちを描く小説に対する考察など、興味深かった。読んでみたいタイトルがいくつかあったのであとでチェックするつもりだけれど、邦訳されているといいなあ。
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『ゲド戦記』作者の評論集を翻訳したものです。講演も含まれます。ファンタジーは子供だけのものではないと強調しているのが印象的でした。私自身、ファンタジーの日本での扱われ方に疑問を感じており、これを読んで少し勇気をもらったように思います。物語を「紡ぎ、語る」ことの大切さを、あらためて噛みしめました。