投稿元:
レビューを見る
気のせいでしょうか、最近、増田氏はすごい勢いで本を出版していると思います、三橋氏と良い勝負なのではないでしょうか。重複している内容もあると思いますが、多くの人に伝えたい内容があるのでしょう。
事実は一つなのですが、それに対してどのような角度から見るかによって、肯定的にも否定的にも見ることができるのでしょう。
「日本は破たんする、地震や原発事故が起きたから駄目だと」 いう人もいますが、米国や中国、ユーロ諸国と比較して、日本は本当に悲惨な状態なのでしょうか。
20年後には今とは違う世の中になっている可能性があるかもしれませんが、何の準備もしないで後悔しないように、数種類の選択肢を自分で持った上で決断できるように、今はできるだけ異なった意見を自分なりに理解したいと思っています。
以下は気になったポイントです。
・日本の知識人がまったく無能で現実を突きつけられてもわからないほどお粗末なので、日本の大衆は頑張ってきた(p4)
・緩やかな大河が多い欧州では、川を流れる水も長期間にわたって地中のミネラルを吸収して硬水になる、急流ばかりの日本はすぐに海に流れるので軟水ばかり(p18)
・それぞれの時代に大地震が起きていたのは、住みやすく暮らしやすいので人口が密集する文化的先進地帯ばかり(p25)
・原発事故から1か月後のアメリカ政府高官は、半径80キロ以内の避難勧告は、「具体的なデータに基づいたものではなく、いくつかのシナリオから大げさなものを選んだに過ぎない」と平然と訂正した(p32)
・輸送におけるエネルギー効率が世界一高い日本が、輸出入に必要な物資移動の総距離を減らして(輸出先が北米からインド洋・太平洋)ますます効率的になる一方で、欧米諸国の輸送距離は増える(p46)
・二度のオイルショックを経験した日本は、重くかさばる完成品(消費財)から、輸送総重量と輸送頻度を少なくできる、中間財・資本財に転換したので、円高でも貿易黒字が確保できた(p46)
・石炭、石油、天然ガス、原子力というかたちで発電に使うエネルギー源が変遷してきたのは、エネルギー密度(一定単位当たりから取り出せるエネルギーの大きさ)が大きかったから(p49)
・エネルギー密度を高める工夫で成功したのは、1)生木のまま薪にするより蒸し焼きにして木炭にする、2)石炭を蒸し焼きにしてコークスにする、である、ウラニウム燃料から生じるプルトニウムを再利用するのは成功例かもしれない(p51)
・石炭をいったんガスに換えてから蒸気タービンを回すことで、発電効率を2割アップさせた石炭ガス化複合発電は素晴らしい(p54)
・回帰分析をする前に教え込まれるのは、「相関性の存在を証明できても、それは因果関係を立証したかにならないし、どちらが原因であるかはできない」ということ(p56)
・寡占化した業界では、有力企業同士が共謀してなんとか業界全体で減産・価格上昇を実現しようと画策する(p71)
・「貴重なものだから大事に節約すべきだ」という��と、「害があるから使うべきでない」は表面的には180度の大転換に見えるが、生産規模縮小と価格上昇を奨励している点では、全く同じ機能を果たしている(p72)
・石炭推定埋蔵量は、170~300年分と圧倒的に多いので、需要が石炭に流れないように、石炭だけはダメだと強調する(p80)
・アメリカの量的緩和は国民一般の生活を改善するのに役立っていない、49兆円の米国債を買い上げてその分を米ドルを市場に供給することになっていたが、半分は連邦政府の高級公務員たちの給料に消えた(p95)
・アメリカの製造業雇用者数と政府雇用者数を比較すると、政府雇用者が製造業の倍、ギリシアと変わらない程度まで公共部門が肥大化している(p106)
・日本企業の大半は円高ではビクともしない高品質の製品を開発し続けている、2000年から2009年で円建て輸出比率は36%から41%(ドル建ては52%から48%)となった(p113)
・生産削減や経済規模の縮小に繋がらなければ、デフレは問題ない、大衆が富を取り返すというポジティブの作用が大きい(p117)
・欧米の金融機関は基本的にノンリコース(非遡及型)なので、日本とは異なるが、株式を半分以上差し出さないと融資しないという条件は日常茶飯事(p123)
・ドイツのメルケル首相は「ギリシアを救済するためにドイツ国民の税金をなぜ使わなければならないのか」と正論を吐いてドイツ国民からは喝采を浴びたが、南欧諸国からは怒りと失笑を買った、ドイツ製造業の競争力低下により、PIIGSの放漫財政によりユーロ安になったから輸出が伸びたので(p134)
・欧州での長期のバカンスは、大企業に勤務するサラリーマンは休んで他の人に仕事を回すというワークシェアリングである(p144)
・ギリシアやポルトガルの国債がデフォルトしてもドイツ経済への影響は少ないが、アイルランドやスペインの場合はドイツ経済の屋台骨が揺らぐ(p145)
・ダイハツと三菱(小型車コルト)は、2013年1月末で欧州での生産を終了して、欧州の新車販売から撤退して東南アジアに集中、松田は北米での現地生産からの撤退に踏み切る(p159)
・中国企業の品質志向度は139か国中で48位であるが、問題なのは、消費者の目が肥えていて消費者の品質志向度は7位であることで、中国の消費者から中国企業は見放されるかもしれない(p203)
・なぜ日本だけがデフレの心配をしていられるかは、円の価値がオイルショック時比較で、3.5倍になったから(p204)
・1969年から2009年の40年間に、世界経済に占めるシェアを最も減らしたのは、ドイツ(9.0→5.8%)、アメリカは28.4→26.4%、日本は9.3→8.7%で健闘している(p208)
・日本国債は、売り出す金額に対して、4~6倍の応札があるが、ドイツは時々応札不足で流れる(p210)
・税金と国債で調達したカネには政府にとっては何の違いもない、帳簿上は反対(税金は黒字、国債は赤字)であるが(p216)
・トヨタとホンダのハイブリッド車は現在はド���箱だが、5年程度しかもたないかもしれない、燃費比較で、ガソリン車=1円1キロ、HV=1円2.5キロ、EV=1円5キロなので(p232)
2011年8月27日作成