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「だつて、だつて、あなたはだんだんいゝお友達が減つていくぢやないの…」
あの夫婦は、その後どうなっただろうか?
読んでいると、やるせなくなるような、寂しくなるような、しんどいような、でもしみじみと真実を突くような。ナイロンの『犬は鎖につなぐべからず』を見返したい。DVD返してもらわなくちゃ。
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大学の「戯曲論」という授業の中で初めて手にした作品。
それまで戯曲というものは起承転結があって、暗転があってストーリーが展開されていくものだと思っていた私にとって、
この一幕物の、そして登場人物が2人(最後に一瞬もう1人出ますが)しかいないという作品にはド肝を抜かされました。
『結婚1年後の日曜日をいかに過ごすか』という問題を話し合っていた妻と夫。
妻は妻なりの考えを伝え、夫は夫なりの考えを伝えるが、二人の会話の歯車はうまく回らない。
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妻 あなたが話をなさらないからよ。
夫 話……どんな話がある。
妻 話は「する」ものよ。「ある」もんぢやないわ。
夫 なんだ、それや……。(略)
妻 (しんみり)ほんとを云ふと、あたしは、黙つてあなたのそばにゐさへすれば、それで満足なの。(略)
妻は夫のことが大好きでかまってほしくて仕方ないという思いが会話の端々から感じられ、嫌味だとか意地悪なことを言ってしまう。
そして最後にぽろっと「黙つてあなたのそばにゐさへすれば、それで満足なの」と。
なんてツンデレ!!!!
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夫 おれたちは、これで、うまく行つてる方ぢやないかなあ。
妻 もう少しつていふ処ね。
なんてツンデレ!!!! (2回目)
ふざけた抜粋しかしておりませんが、この後二人は想像の世界で旅行に行ったりと楽しそうな夫婦の会話もしっかりあります。
その当時ならではの汽車で旅をする描写なども素晴らしく描かれております。
この作品は20ページ程の短編で、上演時間も30分程度の作品で、夫婦の掛け合いだけで成立してる。
それでも飽きさせないのは、二人の会話がとてもリアリティがあって想像力を掻き立てられる作品だからだと思います。
私もこんな夫婦になりたいです。
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岸田國士は、「劇」とはテーマではなく文体だという。何気ない夫婦の会話がドラマを生む「紙風船」などは、岸田の戯曲の特徴がよく表れている。