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夢の中悪夢の中 JUN MIHARA COLLECTION OF WORKS みんなのレビュー
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紙の本
完成度の高い短編集です
2012/02/05 10:27
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:お月見 - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前は別の出版社から出ていたのですが、1995年に作者が惜しくもこの世を去られてから、長らく絶版でした。ご遺族と元の出版社のご厚意で、文庫での再販化が実現したそうです。
作者と連絡がつかず、今も絶版になり手に入りにくい状態のコミックも多いので、いろいろな事情があるとはいえ、再販化はファンにとって本当に嬉しいです。
「夢の中、悪夢の中」は作者の後期の短編集となりますが、後期の長編と同じく、凝った構成、書き込まれた背景。圧倒的な画力と構成力が特徴的です。
特に、表題作は、テーマが母と娘ということもあり、身につまされるような気持ちで読みました。
本が好きでインドア派のヒロインは、アウトドアで体育会系の家族の皆になじめません。家族だって相性が合ったり、合わなかったり一人一人性格が違うのだから当たり前なのに、まるで親が決めたことが絶対の戒律であるかのように押し付けられてしまう。わかるわかる。私もそうだった。
でも、ラスト近くではそんなヒロインの孤独な強がりも、独りよがりの未発達の思い込みなのかと、冷やりとしました。
いまだ中二病を引きずっている自分が投影されて、読んでいて辛くなるほど。だけどそこに気づいただけましというか、そこからどう自分を建て直していくかだと思うのですが。希望がまったくないわけではないと思いたいです。同じ作者の遺作、「ビリーの森、ジョディの木」のヒロインが、描く事で自分を取り戻していったように。
他にも、やはり「ビリーの森、ジョディの木」を彷彿とさせる「ベンジャミンを追って」や、ラストが鮮烈な「彼女に翼を」、短編映画にしたら素敵だろうなあ、と思ってしまった「帽子物語」(ラストの暖かなセリフは、作者の初期短編を思わせるいいシーンです)など、どれも読み応えのある作品ばかりです。
三原順さんの作品を読むのがはじめての方よりは、ある程度長編を読んでファンになった人におすすめしたいです。
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