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紙の本
満洲は傀儡国家というよりも密売国家だったのか。
2012/01/25 22:00
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の敗戦から半世紀以上も経過しながら、「満洲国」の全容が見えない。ひとつには、傀儡国家という蔑称が頭に付くからであり、現在の中国共産党が当時の満洲国の資料を公開しないところにある。仮にあったとしても、「灰燼に帰した」ということで公開はさせないだろう。さほど、各方面にとって脛に傷がある満洲国なのだろう。
そもそも、この満洲という地域は辛亥革命の孫文によって日本に租借と言う形で譲渡された地域だった。漢民族の孫文にとって異民族の地満洲に興味は無く、日本からの革命資金と軍隊調達の見返りの担保物件に過ぎなかった。さらに、日露戦争によって日露共同管轄という歪な地域が満洲であった。その満洲の権益を狙ってアメリカとイギリスが暗躍するが、なにがそれほど満洲の地に埋まっていたのだろうか。地下資源なのか、はたまた、アヘンなのか。ソ連軍の南下政策の防波堤を築くためは大義名分だったのか。
本書は満洲国を陰から支配した甘粕正彦と表から国家としての形を築いた岸信介を通して満洲を描いたものである。当然、この二人だけを通しても満洲の全容は見えてこないが、しかしながら、根幹を成すのは確かである。その根幹の裏を成すものがアヘンだったが、日本においても敗戦後、ヒロポンという覚せい剤が町の薬局で販売されていたことは徐々に記憶から消されている。合法的に覚せい剤が販売されていた陰には、敗戦後の日本でアヘンが余っていたこともあるが、生産活動における疲労回復剤として利用され、民心の安定という目的もあった。さらには、特攻隊員には薬物中毒者がいたが、生き残った者たちが中毒を少しずつ緩和するための必要措置であったことにもある。
このアヘンでは戦後日本の支配者であるアメリカ、イギリスも脛に傷持つ仲であり、満洲を自国に組み込んだ中国においてもそうである。全てを闇に葬る手段として、戦争裁判で口を割りそうな者を処刑するしかなかったということか。
巣鴨から出所した岸信介とその親族関係の戦後を洗っていけば、さらに新たな事実を解明する道筋が見えるかもしれない。沖縄返還交渉の切り札にアメリカ軍がからんだアヘンの事実を佐藤栄作がちらつかせていた、などということはあるまいが。
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