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若者が書く若者論というのは、ありそうでなかったところ。この若さで単行本を出させてもらえるような人が少ないですし…。
「おじさん」たちの言説(学問的根拠はあるんだろうけど)に対してシニカルに検証していくのは面白いけれど、著者の主張がイマイチ伝わってきません。「若者というのが一概に定義できない」というのはその通りなんだろうけど、わからんなりに何か主張して欲しかった…。
本としてまとめようとしているのはわかるけど、表面を撫でて終わっちゃった感じ。
所々で挑発的な言い回しがあるので、これにおじさん達が噛み付いて古市さんが返して……という風に、この本をきっかけに議論が生まれるのではないでしょうか。叩く人もいるけれど、この人がこの本をこの時期に出したという意味は十分にあると思います。
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不況だとか少子高齢化だとかお先真っ暗な日本に生きる、なぜか過去最高の幸福を感じている若者について書かれた本。
読み物としては読みやすくておもしろい。全体的にふんわりゆるーく現代の若者っぽい内容で、の割には脚注でしょっちゅう老人どもをdisっていたり。全体的に「その通りだな」と思う考察ばかりだったこともあって、飽きずに読破できた。
個人的に良かったのは「若者かくあるべき」という筆者の主張がないところ。きっとそんな主張したところで若者にはピンとこないし、なにより同年代の奴に偉そうに言われたくないし、ってのを理解してるんだと思う。
筆者が冒頭で述べている「この本が僕たちが若者について考える叩き台になれば」って思想が一貫している。
ってなわけで、読後に「若者として若者について考えてみよかな」と、「自分とそのちょっと周りの人たちのこともっと考えてみよかな」と思わせてくれる一冊でありました。
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・若者論は大人の自分探し(異質な他者・都合のいい協力者)
・「農民工」化する若者、幸福な階級社会
・「中流の夢崩壊」による一億総若者化
等の考察・分析は面白い。
・人は将来に「希望」をなくした時に「幸福」になれる。
との事だが、人生諦めが肝心って事かな?と。
但し、幸福の生命線である「仲間」との関係維持のために、空気読んだり、いろいろ無理をしなきゃいけないなら、それは不幸なような気もするんだが、その辺の疑問が解消されず。
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(村上龍をはじめ各著名人が唱えているが)現代の若者は本当に不幸なのか?
筆者は東京大学院生である26歳。若者による若者語りである。
内容は論文の割にライトで、曖昧な点は「わからない」と明記している。稚拙に見えるが、曖昧な部分を曖昧な記述で煙に巻く論文とはその点で一線を画す。若者のあるべき姿・今後の方向性等一切打ち出していないが、資料としての価値は十分にあると思う。
シニカルな年長者批判が小気味よい一冊。
※自己充足的→フロー体験、ワールドカップ論→村上龍エッセイと最近読んだ本と色々リンクしているのもまた面白い。
++
若者論の4体系。
異質な他者(けしからん論):嫉妬によるリア充批判、大人の自己肯定
都合のいい協力者(希望だ論):兵士・起業家・消費主体としてのティーンなど
文化論:カプセル人間、新人類、ブルセラ
実証研究:青年社会学
+++
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新進気鋭の若き社会学者の注目作。
社会情勢の急激な変化の割を食って制度的・経済的に苦境に立たされる(と言われている)若者たち。しかしその幸福度は非常に高い。
実際、本当にこのままで良いのか、その実態を知り現状打開のためのヒントを得ようと思って読むと肩すかしを食わされることになる。
作者は古今の様々な文献のみならずフィールドワークによるインタビューでも意欲的に一面的でない実態を描こうと試みる。
結局、現在の日本では『若者」と一括りされるような層ははっきりしない、今の「若者」の現状を鑑みて、それの何が問題なのか、という話に落ち着く。
この先、不安で予測のつかない未来への恐れと楽しみを、「生温かく」見守って、やり過ごしていくしか無い。
ただ分析し、あるがままに提示する。物足りなく感じる人もいるかもしれないが、これもまた新しいスタイルなのかもしれない。
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今時の「若者」による「若者」論といった感じの本。学術書と言うよりもサブカル本に近い表現や文体、構成なのでテーマに興味があるならば誰でもすぐ読めてしまう読みやすい本だろう。論文として一本まとまっていると言うよりか、「若者」を巡る議論を「若者」的視点からシニカルにアイロニカルにまとめたという印象。なにより引用する著者、発言者を全て 人名(年齢、出身地)というように書いているので、全てを公平に相対化した一歩引いた目線で見ることのできるように書かれている。このような「ウケる」表現と、話のネタとしても使えるような事例が多いせいで読者が本質から目をそらしがちになりそうなのが気になる。 それと著者は「若者」を巡る現代日本の現実については何も言及できずにいるように見える、主旨とはずれるからしてないんだろうけど。でもそこにある種の無責任を感じる僕もまた「若者」なのです。
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「絶望の国の幸福な若者たち」読了。自分達の世代の違和感を言い得て妙な感じ。べき論ではなく、とてもフラットな論調で、時折挟まれる年長者への批判が小気味良いので読みやすい。
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それまでの期待が多すぎたせいか、全体的に物足りなさを感じた。数字のデータを読むのはあまり好きではないので、ちょっと読んでいて苦しくなった部分もあり。加えて、扱う範囲が広すぎて結局どこを重点的に言いたいのかがわからなかった。
随所随所に見られるユーモアのある言い回しは好きです。さすが詩のコンクールで賞をとっただけあります。
古市さんには期待しているので、これからの作品はもっとよくなっていくものだと思い、期待を込めて星2つ。
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若手社会学者の若者論。
既存の若者論と若者自体の認識の解離を疑問にシニカルに分析している。
読みやすく、なんとなく感じていることを文章化したものという感じである。まるでまとめサイトをみているような。
エッセンスは大澤の将来に不安があれば現状に満足するという理論で若者の幸福を語るところである。
著者独自の考えである、一億総若者はさすがに無理やりかんがある。
有名になった要因としてはまず、分かりやすかったこと。
また大澤の斬新な仮説を検証していること。
また、タイトルが斬新でまた他の著書をみるように、ラノベの流行りタイトル?のような若々しさだろう。
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もともと社会学や若者論に興味はあったけれど、わざわざ買ってまで読むことは少なかった中、この本は完全にタイトル買いだった。著者がSFC卒の若手の社会学者の方で、親近感が湧いたから買って読んでみることにした。「絶望の国の幸福な若者たち」というタイトルは本書の内容を一番キャッチーに、かつ、まとめて表現している。明確に「若者」という範囲を定義することは簡単なことではなく、世間一般に使われている「若者」という言葉も定義はバラバラだ。毎年のように、経済状況が悪化し、就職率が低下し、少子高齢化が深刻化し、と至るところでいわれているとんでもなく暗い未来が待っている日本という国。しかしそこに住んでいる、そのとんでもなく暗い未来を過ごす「若者たち」の7割は今の生活に満足しているらしい。それは、とんでもなく暗い未来のことを憂い、焦るよりも、直近の自分の問題を憂い、焦り、行動することで、一時的な幸福を感じることができるし、そのほうが簡単に幸福を感じられるからだ。実際に、これを書いている今も、僕自身は自分のことで、精一杯な毎日を慌ただしく過ごして、その中である程度幸せに生きている。本書で述べられていた著者の論は、自分が頭のどこか片隅で思っていた言葉にどう表していいかわからない上に根拠もないような、漠然とした社会や若者(つまり同世代)に対しての考えを、明快な文章と適切な統計資料、インタビュー資料などのデータで裏付けしてくれている。
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過去の若者論に今の若者論との共通点があって面白かった。
昔の人もリア充爆発しろ的な事を思っていたなんて...。
内容云々よりも、
本文にさらっと差し込まれていたり
注釈にひっそりと書かれているシニカルなフレーズが面白い。
にやにやしてしまう。
そのプラスアルファの部分が魅力なのではないかと思う。
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「共同性」が「目的性」を「冷却」させる
っていうのはかなり実感としてもある気がする。
共感するとこ多かった。
「あの頃」似は戻れない。だけど同時に、僕達は、「あの頃」の人々が憧れた未来に生きている。
-263ページ
「日本」がなくなってしまっても、かつて「日本」だった国に生きる人々が幸せなのだとしたら、何が問題なのだろう。国家の存続よりも、国家の歴史よりも、国家の名誉よりも大切なのは一人ひとりがいかに生きられるか、ということのはずである。
-267ページ
戻るべき「あの頃」もないし、目の前に問題は山積みだし、未来に「希望」なんてない。だけど、現状にそこまで不満があるわけじゃない。 なんとなく幸せで、なんとなく不安。そんあ時代を僕たちは生きていく。 絶望の国の、幸福な若者として。 ― 269ページ
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若者論がどうのこうのというよりも、日本の国の変遷を軸とした国の成り立ちの箇所が面白かった。
確かに、友達がいて、たまに旅行に行き、仕事はそこそこ。
お金をたくさんもっているわけではないし、これからも収入が増える見込みは別にないけれど、いまの生活は結構お気に入り。
同年代の社会学者がこういう本を書いてくれるのは大変おもしろい。
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ピースボートに乗り込んで 希望難民について書いた著者。
ピースボートの本にはとても感銘を受けた。
が、本書は、内容よりも、語り口に違和感を覚えて
流し読みに終わってしまった。
この本のすぐ後に出版された
同著者の「上野先生、勝手に死なれちゃこまります」では
さらにこの独特の語り口が顕著で、私は読む気になれなかった。
そんなわけで、一番、響いたのが他人の引用部分。
元京都大学教授の大澤真幸によると、
「今は不幸だ」と答えるのは「将来はより幸せになれるだろう」と考えることができる時だという。
『逆に言えば、もはや自分がこれ以上は幸せになると思えない時、ひとは「今の生活が幸せだ」と答えるしかない。つまり、ひとはもはや将来に希望を描けない時に「今は幸せだ」「今の生活が満足だ」と回答するというのだ。』(pp.102-103)
そして、これがすなわち『絶望の国の幸福な若者たち』なのだろう。
最近、確かテレビだったと思うけれど、次のようなことを聞いた。
現状に満足することが、幸せへの道。
ただし成功は、現状に満足しないことから始まる。
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若干26歳の社会学者が書いた本。
「そこまでお金をかけなくても、そこそこ楽しそうな生活を送れちゃうのが現代の幸福であり不幸である。」
こんなに不景気で、先が見えない不安に覆われている日本にいる若者はなんでこんなに幸せなのかを様々な角度から検証している。
超ーーーーーーーー面白い。
膨大なデータとページの本だけど、すらすら読めちゃうのは、著者の書き方がブログなみにカジュアルな言葉を使っているから。
既成概念をぶった切ってってる面もあるから、反論したくなる部分もあるけど、それだけ惹きつけられる読み応えのある一書。
最後の、俳優佐藤健との対談も「今っぽくて」とても面白い。