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最新の状況をふまえながら、個別の人権教育について論じた後、今後の展開を示唆した本。終章にあった、日本に、人権教育の学位を授与する大学がないという指摘が驚いた。
・ただ「差別してはいけない」ではなく、人々が出会えなくなっている構造を破り、社会的な豊かさに結びつけていく取り組みが大切。
・人権教育の4側面:人権としての教育(権)、人権についての教育、人権を通じた教育、人権のための教育。
・ジェンダーは、もともと言語の文法上の性別を示す用語だった。
・教育におけるジェンダーに対応した予算(ユネスコ報告書)
・障害の表記の論議
・人権教育は、往々にして、「何人も守られるべき普遍的な人権が侵害されている」ととらえられるのではなく、単に「自分と比べて相対的に恵まれないかわいそうな問題状況」「社会問題化されている差別されているマイノリティの問題」として限定的に認識されてしまう可能性がある点である。
・人権問題を抽象的な議論として論じるのではなく、具体的な「思い」を持った人への共感から自分たちが論じる問題として受け止めると、人権学習をやらされている活動でも、かわいそうな人のためにやってあげる活動でもなく、自分たちの活動にしていける。