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象徴として神聖視または特別視される一方で、そうであることにマイナスの印象を持たれがちな「処女」。処女はどのような過程を経て、この自己矛盾を獲得するに至ったのか。
長い歴史の中で宗教やイデオロギーに翻弄されてきた「処女」を様々な面から分析し、偏見(ファンタジー)を解体し、真実(リアル)を日の下に晒した、読む者が抱える女性性・処女性の価値観を大きく変える(かもしれない)好著。
第一部はセックス/SEXとしての処女を解剖学の視点から分析、第二部ではジェンダー/GENDERとしての処女を歴史学の視点から分析しており、その中で様々な偏見や幻想がどのようにして培われていったかを紹介し、それらが誤った認識であることを解説している。
分類としては西洋史だが、実際読むと処女にまつわる誤解は日本人も同じ誤解をしているのではないだろうか、と思われる記述がそこかしこにある。また、ポルノビデオやポルノコミックで多用される表現の根源と思われるものについても本書では言及されているので、性表現に興味がある人にもおすすめしたい。
イデオロギーや政治的思惑や宗教的価値観によって翻弄され拗られていく「処女性」を本書で見つめることは、あなたの内にある「性」にまつわるもやもやや誤解や疑念を解消するきっかけになるかもしれない。