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風変わりなそれぞれの性のカタチ。村田沙耶香さんの描く性はほんとうに不思議だ。いやらしさがなく、いつも少し変わっていて、分かりづらいのに分かる、この矛盾。
自らの性別を脱ぎ捨てたセックスを求める里帆。女であることに必要以上に固執する椿。生身の男性と寝ても人間としての肉体感覚を持てない千佳子。
性別を捨ててのセックスだとか、星の欠片のセックだとか、相変わらずよくわからない。でも脳の片隅であ、いまの分かる、と理解する自分がいる。
でも一番わたしが興奮したのは里帆と椿の性別を脱ぎ捨てたセックスでもなく、里帆とバイト先の女の子の後輩の濃厚なキスでもなく、クッションセックスでもない。千佳子と伊勢崎の空気!伊勢崎みたいな男いいなぁという的外れな興奮。もったいないよ、千佳子!伊勢崎よりも地球だとか星の欠片だとか言ってる千佳子が好きです。
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主人公の里帆の戸惑いがとても身近に感じられて読み始めたのだが、読み進むうちに苦しくなってきた。なぜ、どうしてそこまでセックスにこだわるのだろう。「性別のないセックス」という概念そのものが大きな矛盾をはらんでいると思うのだが。
知佳子の感覚もまた不可解だった。彼女のもつ「物体感覚」はとても興味深かったけれども、人間だけが生物というわけではないのだ。
作者は、椿という女性をもっと普通の典型的な女性として描いたと語っているが、普通の典型的な女性ってこんなに底が浅いものなんだろうか。
自分の性に真摯に向き合う姿勢はきっとすばらしいものなんだろうけど、妥協せず、折り合いもつけられないということそのものが、すでに性にとらわれ固執してしまっているということはないのだろうか。そんなことを考えさせられる小説だった。
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村田沙耶香さんの作品を始めて読みました。
友人の話を聞いて、なんとなくイロモノかと思っていたんですが(お気を悪くされた方・・すみません(..))
sexの字義通り、性別、性欲、性交の問題でした。もっと奥歯がガタガタするくらい突き詰まっていたら良かったかも。
これを読んで、むしろ男性が広い意味でsex に苦しむ話ってないのかな?と思いました。BL小説ではなく(笑)
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ジェンダーに悩む里帆
肉体が意識できず常に地球の欠片として過ごす千佳子
女であることに固執する椿
三人の女の話。
里帆と千佳子の視点から交互に語られるが
椿主体の章がないのが不自然に感じた。
伊勢崎さんもったいな〜い。
【図書館・初読・12/7読了】
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【「すばる」2010年10月号掲載時に読了、そのときの感想】
セクシャルマイノリティな登場人物たちの言動がいちいち胸に迫ってくる小説。村田沙耶香のほかの小説よりもなんかあんまり小説っぽくないと思ったのは、リアルっぽさを感じたからかしら。ああ、そっかドキュメンタリーちっくな感じがあるのかもしんない。でもとにかく心を揺さぶられた事は確か。いろいろ考えざるを得なかった。
あとで再読記録追記するかも。
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自分のジェンダーに悩み苦しむ里帆は、”自習室”がきっかけで、千佳子と椿に出会う。
3人それぞれの「気持ち」は共感できる部分もあるのだが、「行動」は理解できない、といった感想をもった。
しかし、どうして椿の章はないのでしょうね??
一つぐらいはあるのかと思っていたのに、結局なしでした…。
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知佳子とは少し違うけど、自分と外界の境界があやふやになってしまうことがあった。
それがとても不安だったのに、いつの間にか忘れてしまっていた。
おままごとのルールを掴んでいくのが大人になることなら里帆と知佳子はまだ子供なのかもしれない。
ただ、クッションと大地を相手にセックスっていうのは…さすがに共感できなかった。
知佳子は伊勢崎さんとうまくいってほしかったなぁ。
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周りとの関係、性とsexについても悩む女性二人が軸になっているのだが、地球も月も大好きだけど、地球と愛しあう場面を思い浮かべても、
残念ながらあまり共感できず。
愛し合う事は、型にハマらずに自分を出していいのよ、何でもありでいいじゃない、と。これを色々な事柄について当てはめると 何かが楽になるのかな。
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女性が3人、其々に違和感を持っている。その中で知佳子さんの抱く違和感が一番たちが悪い。確かに宇宙しか愛せないなんて荒唐無稽だと言われても仕方ない。性別に違和感を感じるのではなく人類であることにたいして感じるなんて。しかし、3人の中で一番共鳴できる。
この違和感は解決する手段がなさそうだから、生涯引きずって行くんですね。可愛そうに。
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自分の性について、女性の体を持った子がとことん悩み自分なりのこたえを出そうとする、話。同じように悩んでいる人も、自分の性をすでになんのためらいもなく認識している人も、みんなそれぞれ、ココロとカラダ、なにも考えていないわけではない、はず。
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性別違和を感じている里帆
自分を特別な存在と感じている知佳子
この2人の一人称で交換して話は進む。
2人と共通に仲良くしている人物として、椿という女性も出てきて
三人三様、悩んでいる。
女として悩む。
女であることに疑問をもつ。
そもそも女でもなく人間でもないと感じている。
哲学とか文学的とか、そんな感じの悩みではない。
夢想って感じなんだなぁ。
これが男だったら納得の悩みに思えるのに、女だと
白々しい~なんて思ってしまうし。
設定に無理があったような気がします。
ただ、言葉の選び方に女性らしい細やかな感性を感じました。
( ・_ゝ・)<あるがままを受け入れることは自由を手にいれること
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セクシャリティの問題ってなかなか表には出しにくくて。だから誰もが自分だけが異常だと悩みはどんどん内向していく。
三人の女性の「自身の性」に対する違和感。普段何も考えていない自分にとってはかなり衝撃だった。
3つのハコブネはどこにたどり着くのだろうか
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里帆、椿、知佳子の3人が主な登場人物
なのになぜ、椿目線での語りがなかったのかしら…
自分の体の性と心の性、さらに性的対象となる性を探している里帆、女であろうとする椿、もはや性なんてものを超越し物体として地球と繋がりたい知佳子
はたしてハコブネの中はどうなっているのか
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自分の性に何らかの違和感や辛さを感じる三人の女性の物語です。
里帆は男の人とのセックスに対して嫌悪感を抱く自分の性について疑問を覚える19歳。
男とセックスができない自分の性について違和感を覚え、自分の性を見つけるために第二次性徴をやり直す。
知佳子は、この世のすべてがおままごとに思えてしまう一見冷めた女性。
椿は女性であることを武器にする反面その辛さに悩まされる女性。
三人はとある自習室で出会いそれぞれぶつかったりするのですが……
正直あまり共感できる部分がなくて、読み終わった後もイマイチすっきりしませんでした。
ただ、自分の性について考えるきっかけにはなったかな。
三人の誰にも共感できる部分はなかったけど、自分で性を見つけていくっていく考え方はしっくりきたかな。
私は女でよかったなっておもってるけどね。
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主人公の悩みは特殊なようで誰にでも眠っている、人間の問題だと感じた。そしてそれは例えば性別に関していえば女性の方が問題を意識化されやすいのもなんだよな、と改めて思った。
精神に一つとして同じものが無い以上どんなにグループ分けしてみても後付の安心でしかなくて、一人ひとりどこまでも孤独で、一人ひとり自分で見つけていくしかないのだなと思わされる。性別だけでも果てしないが、それに加えて心理状態・病気の苦しみ・世界の見え方とか知ってとか知らないとか色んなものが複雑に絡み合いすぎている。
だからこそ誰かとの共感とか一緒にとかじゃなくて、私という宇宙で一人ぼっちの存在を、せめて私自身だけは受け入れて認めてあげることこそ大切で、それ以上は必要ないのだとさえ思った。