投稿元:
レビューを見る
過酷な戦争を体験した老人の死後、
その老人がいったいどんな人物だったのか
戦争を知らない若い世代の人間が老人の人生を
掘り起こしていくという構成が
百田尚樹『永遠の0』との類似性を感じさせますが、
読中受ける印象や雰囲気はかなり違いますね。
こちらのほうが柔らかいというか自然体な感じを受けます。
『永遠の0』の方は物語として優れているけど
『しらない町』はドキュメンタリーチックな
飾らない感じがするというか。
その分じわっと心に染みるような読後感を持ちました。
なんというか久々に静かな感動を味わったような気がします。
多くの人に読んでほしいと強く思う、
いろんな人にオススメしたい作品です。
※表紙の、女性と背景の雰囲気がすごく作品にマッチしていますね。
投稿元:
レビューを見る
読んでいる途中から身体中に何かががざわざわと逆流していくのを感じた。
それは今、ここに生きている自分自身を自覚せよ、という声無き声のようで。
60数年前の日本と、今の日本と、全く別の世界のような二つの「今」は、
紛れも無く一本の線でつながっているのだということを改めて認識した。
少しずつ解き明かされていく真実は、今生きている人の心の中にあるもので。
だから本当の意味での真実は誰にも分からない…
ある一定の年齢の多くの方が死ぬまで心の奥底にしまいこまなければならない
闇の行き着く先が孤独死でしかないのならば、今の日本ほど不幸な社会は
無いのかもしれない。
この小説は色んな問いを私たちに投げかけてくる。
その問いの一つ一つに真摯に向き合うこと、それが今生きている私たちの
使命なのかも知れない、そう思った。
投稿元:
レビューを見る
発売前の出版社からの噂に心動くものがあって久々に小説を購入。期待に近いものがあった。
青春推理小説風に物語が進むが、吹田のニュータウンという物語の発端の舞台、8ミリフィルムの残された映像という道具立てが、個人的にとても興味を誘ってぐいぐいと中に引き込まれた。特に文章に書かれた8ミリフィルムの映像の描写は、まるで目に見えるような鮮烈さを感じる。
物語が進んでいくにつれて、人と人とのつながりをいとおしくさせてくれるそんな作品だった。
投稿元:
レビューを見る
孤独死した老人の遺品の8mmフィルムに残された映像を追って行くうちに明らかになる意外な事実。
と書くとミステリのようだが、「人はみんな誰かとつながっている。孤独のようで、実はひとりじゃないんだよ」ということを伝えてくれるお話。
投稿元:
レビューを見る
いまどき戦中の話なんてと思ったのだが、ついつい読み込んでしまった。
築40年を越えつつある大阪・千里の元ニュータウン、今では若い人の姿は数少なく老人世帯の暮らしが目立つ界隈だ。そんな古い団地のアパートで、管理人のバイトを務める映画好きな青年・門川誠一が主人公。いや、主人公はその団地で孤独死を遂げた独居老人の「思い」なのかもしれない。
老人の残した8ミリの映像に残されていた女性の明るい笑顔は、映画人として何とか一歩を踏み出したいと思う孤独な青年の心を打つ。そしてその映像に取りつかれるように、ノートに記された断片的な情報を手がかりに、彼は大阪から東北へと老人の身寄りを探す旅を始めるのだった、、、、
いまや80代に入った元兵士たちの心にわだかまる戦中秘話と、わずかな手がかりを元に探索を行うミステリ・タッチの挿話がなかなかの力作に。
投稿元:
レビューを見る
映画監督志望の青年が主人公のお話です。
アパート管理のバイトをしていた彼が出会うある老人の孤独死から物語が始まります。
ミステリーの様な展開(実際作者はミステリーも執筆してるようだ)から人生のあり方や人との繋がり方について進んでいき途中ホロリとする場面も。
戦争(第2次大戦)についても語られていますが、やっぱりあれはいけないよね。世界平和を切に願いたくなりました。
この話の中に主人公も含め映画好きが3人出てきます。
ぼかぁ映画ってそれほど感銘を受けないのでその点だけが感情移入できなかったかなぁ。
でも読んで損はないです。
投稿元:
レビューを見る
孤独死した老人の残した8ミリフィルムに惹かれたアルバイトの若者が、その人生を追っていく。ミステリーの要素もあるが若者の成長物語として読める。
投稿元:
レビューを見る
胸に来た1冊だった。
孤独死した老人(帯谷)を発見したことから、彼の撮った古いフイルムに惹かれ、帯谷の足跡を辿りつつ、主人公も自分の人生を見つけていく。
確かに、人は一人で生きていくわけではないし、一生を通して輝かない日がなかった人などいないのだ。
投稿元:
レビューを見る
マンションの一室で孤独死した男性を巡って、
それを発見した孤独な若者が人と接点を持ち、調査していく物語。
孤独死したと思われる男性が、実は孤独ではなかったこと、
人と接点を持たずに生きてきた若者が、「孤独死」をきっかけに人と関わり、新たに踏み出す様。
対比として、なかなか面白かった。
投稿元:
レビューを見る
映画監督を夢見て、を理由にフリーターをしている門川は管理人のバイトで、孤独死した老人、帯屋の遺品整理をすることになる。そこで偶然見つけた古い映画雑誌、映写機、8mmフィルムが気になり持ち出す門川。雑誌に挟まっていたノートに書かれた不思議なズンドコ節や8mmの映像を見て、帯屋の人生に興味を持ち、ドキュメンタリー映画を撮りたい!と思うようになった門川は様々なことを調べ始める。
門川はとにかく必死。こんな風にこだわって人に興味を持つっていう経験はないかも。人の死に様はその人の生き様。なるほどと思った。最後の帯屋の人生感が良いな。
投稿元:
レビューを見る
亡くなった老人の帯屋史朗の遺品を整理していた誠一は
史朗が若い頃撮った8ミリフィルムを見つける。
映写してみると、どこかの田舎である。
田舎の道を40代くらいの可愛い女性がリヤカーを
引いている。
史朗はなぜ隠すようにしてこのフイルムを持っていたのか。
誠一は史朗が撮ったこの女性に会ってみたいと思った。
誰だって、自分の人生は自分が主人公である。
誰だって、一番輝いていた時がある。
人と人との感動の絆です。
心に残る一冊となりました。
投稿元:
レビューを見る
9月-10。4.0点。
孤独死老人の過去を追うことになった、アルバイトの映画青年。
老人の残したフィルムと、ノートを元に、
戦友とか、前妻とかにインタビューしていく。
結局ドキュメンタリーを撮ることになる。
面白かった。もう少しボリュームがあった方が良いかな。
恋愛感情とか、嫉妬とか、友情とか、いろいろ詰め込んであったけど
上手く、まとめたと思う。
投稿元:
レビューを見る
映画監督を夢見ながら、アパート管理のバイトで生活する青年。ある日、アパートで「孤独死」した老人の遺品整理をしていると、部屋から古い映画雑誌と一緒に、映写機や8ミリフィルムを見つける。フィルムの内容に心惹かれて、老人の生きた人生のドキュメンタリーを作ろうと思い立ち、老人に関わった人たちを辿っていくと、思わぬ歴史の秘密に辿り着く。
とってもおもしろくて、一晩でぐいぐい読めました。キネマ旬報の話や、たくさんの映画の話が散りばめられてて(ジプシー・キャラバンまで!)それも楽しかった。
---
トコズンドコ
深度十五メートル想いを抱いて
消えたあいつの魂いづこ
必ず生かすぞ生かします
可愛いあの子に会える日まで
和美、許してくれ。私はもう、君のかぶとの中での主張は、このまま飲み込むつもりだ
投稿元:
レビューを見る
素晴らしい作品で、心に「ガツン」と響きました!
話の序盤は、人付き合いが苦手な若者と孤独死がメインだったので
重いかなと思いましたが、途中からの展開は素晴らしいの一言です。
読み終わって、とても考えさせられるテーマでしたが、重々しい気分にはならず清々しい気分になりました。
ぜひ皆さんにお勧めしたい一冊です。
投稿元:
レビューを見る
鏑木蓮作品初読み。
自分も孤独死の可能性高いよなとか冷静に考えてしまったわ(笑)
文体とか考えたらもっとほんわかした作品書いて欲しいなと思う作家さんかな。。。