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文化人類学の全体的な状況がとりあえず知りたくて、「文化人類学15の理論」という編著を読んだのだが、1984年の本のせいか、何だかピンとこない。
というわけで、2011年のこちらを読んでみた。
こっちは、全体像がかなりわかりやすいし、とてもスリリングで、思わず、一気読みしてしまった。
220ページくらいの本ではあるが、なんせ文化人類学の名著30冊分の要約と評価と批判なので、相当に濃い内容で、数冊の本を読んだくらいの満足感と心地よい疲労感。
この本は、「はじめに」を数行読んだ時点で、強烈にアグリーしちゃったからね。
「人類学は、西洋という場所、近代という時代、その支配的な社会のあり方に、繰り返し異議を申し立ててきた。「「いま」を覆っている考え方や社会制度に対し、非西洋の研究を通して、別の可能な世界の姿があることを提示してきた。いまも多くの人類学者には、この社会変革の夢が共有されている。その夢は「闘争」の歴史でもあった。人種差別や西洋中心主義、啓蒙主義や世俗主義、経済学的・社会生物学的な人間観、国民国家や近代性など、その時代と人々の生き様をひとつの色にそめあげようという支配的な潮流との「闘い」がつづけられてきた。」
人類学と言えば、レヴィ・ストロースとギアツくらいしか読んでなくて、それぞれ、そこそこ「新しい」と思っていたのだが、レヴィ・ストロースの「野生の思考」は、30冊の本の8冊目。もう古典時代ですね。ギアツの「ヌガラ」は、16冊目で真ん中くらい。
そういう古典の人類学より最近のものは、ポストモダーンな脱構築な議論とかを経由して、今や、未開社会ではなくて、現代の先進国だったりする。科学技術の研究などが文化人類学の対象になってんだね。
なるほど、内容はさておき、人類学が今そこにいるということ自体が、もうすごいことだと思う。
こうして、文化人類学の100数十年の歴史を代表的な本の要約を読むことで、レビューしたわけなのだが、議論がだんだん精緻に(と同時にミクロに)になっていく中で、同じような対立が常に繰り返されているように思えた。
相対主義 ↔︎ 共通性の理論化
地域性・個別性 ↔︎ 構造
個人 ↔︎ 社会規範
経済 ↔︎ 文化
観察者の主観 ↔︎ 客観性
などなど。
ここで議論されているのは、きっと、今、世の中で起きていることを理解するのにとっても大切な視点を提供してくれると思う。というか、世の中で起きていることがフラクタルにここでも起きている、と思った。
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種類:主題文献案内
所蔵:南山大学に所蔵あり。
文化人類学の基本文献を、各7ページほどでまとめてある。