投稿元:
レビューを見る
なぜから始まる現代アート。
東京都現代美術館のチーフキュレーターの長谷川氏の本。著者の現代アートの触れ方、楽しみ方を存分に記されている。
現代アートになると、空間やその場のコンテクストが必然的に感じられる。作品によってもであるが、ある種の物語、この世界の登場人物になったかのようでもある。
世界と自分、そのような関わり方になるとのこと。
最近は、空間を使った体験できるアートがたくさんあるけど、この本に書かれているのはまさにその感覚なんだろう。
色々な見方を考えさせてくれる一冊。
投稿元:
レビューを見る
絶えず揺らめいていて、どこにも焦点を合わせることができない。そこからは何の意味も何の形も読み取れない。しかし、火は絶えず変化し続けることによって、私たちの知覚をざわめかせ続ける。だから私たちはそこから目が離せない
自分のコントロールできないものに遊ばれてる感じというのは、私たちにとって重要です。外界と自分の意識の間に隙間を作ってくれます。その隙間が絶えず揺らぎ、変化していくことで、私たちをリラックスさせてくれるのです
オラファー・エリアソン
レアンドロ・エルリッヒ
マイケル・リン
ジェームズ・タレル 光
池田亮司
ソフィ・カル
河原温
アンリ・サラ
エリオ・オイチシカ
リジア・クラーク
エルネスト・ネト
サラ・ジー
マシュー・バーニー
フランシス・アリス
ロバート・スミッソン
蔡國強
SAANA
石上純也
トビアスレーベルガー
リクリット・ティラバーニャ パッタイ
シムリン・ギル
wah
フセイン・チャラヤン
投稿元:
レビューを見る
意味不明な現代アート。だけど気になる作品達。「なぜ?」それが気になるか、「なぜ?」アーティスト達はそれを創りだしたのか。「なぜ?」にもう一歩踏み込むことによって現代アートの魅力に迫る。注目アーティスト達の作品を中心に東京都現在美術館チーフ・キュレーターの長谷川氏が自身の視点で解説。「わからない」で思考停止になっていた現代アートのドアを開く。
投稿元:
レビューを見る
現代アートはどうも好きになれなかった。意味わからないの多いし、独りよがりな感じがしてたから。でも、嫌うと同時にどこか惹かれているところもあった。
そんな状態で本書を読み、惹かれる力が強くなった。
本著によると、人類は「なぜ?」から文化を形成してきた。それが神であり科学であった。科学はアインシュタインがある程度、答えを出したので、残りは思考•感情などとなった。そこへのアプローチの一つの手段がアートであると本著は述べる。そして現代アートは体験を通じ身体知を得、そこから人間の内側を模索する運動なのであると述べていた。なるほど。だから現代アートは観覧者の介入が必要で、「なぜ?」を感じる事が大切であり魅力であるのだ。おそらく私が惹かれていたのは、この「なぜ?」を考えるきっかけを与えられ、モノをリフレームして見る•考える事をしていたからなのかもしれないと思った。
日本画と西洋画の違いもおもしろかった。西洋は肉体と精神の二元論を文化背景に持つ。 日本は身体ー知性ー自然が一体という思想。そのため、西洋美術は肉体を忠実に書く写実主義、日本美術は精神と肉体を描く抽象的な表現が多いのだ。抽象であるがため、掛軸とかの絵の配置が実際の遠近によらない。物理的な距離は特に重要でないため、あのような構図•技法になっている。という観点で日本画を見ると、また面白い発見ができそう。
今度、美術館などで絵を見るのが楽しみになる、そんな一冊だった。
投稿元:
レビューを見る
言ったもん勝ちと思われる「芸術」とくに「現代アート」
自分がそう思うのは作品と向き合った時にどうやって観たらいいのかわからないから。
作者の想いがつまった作品をどう見れば理解できるのかとか思って読んだけど、
どうやら作品はその中の答え(作者か何を考えてるかとか)を探すんじゃなくて、それを観てどう思うかが大事らしい。
これを読んでから4つ演劇を観たけど、どういうテーマなんだろうとか考えずに、自分とうまく重ね合わせたりして
俺はどう思ったんだろうって考えながら観ていたら今までと全然違う観方ができた気がする。
多分こっちの方が楽しいな。
学校の授業だとよく作者の気持ちとか登場人物の気持ちとか考えさせるけど、
それを読んでどう思ったかを意識する方が、自分のことをよくわかるようになりそう。
それでも、自分の場合は演劇だけども、創る側からしたら何かを込めなきゃいけなくて、
適当に創って観る人に投げるのは良くはない。
投稿元:
レビューを見る
現代美術と向き合う視点について。自分の中にあった、もやもやした「なぜ、なに?」という感じながらも惹かれていた部分が「そうか!」に変わる。するすると読めた。
・アートは時を越えて生き残る「通時性」と、共有する現在をときめかせる、いまをともに生きるという「共時性」の、二つの力をあわせもっている。
・アートは人と人、領域と領域の隙間を埋めていくための、「隙間装置」「関係装置」の性質をもっている。歴史につながり、世界とつながる。目と体をつなぐ。色々なメディウムとつながる。
・草間作品は、ポップアートとミニマルアートのかけ橋。孤立の恐怖を過剰なまでに世界へ押し返していく力がある。
・観客の記憶と体験を混乱させないこと。もっと身体意識に浸透性の高いものは何か。
・アートのポリティクス。日頃から社会状況に対して意識的な人が、モティーフとしてはただ女性のヌードだけを描いているとしても、作品にはおのずとポリティクスがにじみ出てくる。
・アートの文脈にリスクはつきもの。タブーや障害だとされているものについて考え直させる契機。
・wahの写真は消費されるイメージと違って、不思議と心に残る。
投稿元:
レビューを見る
写真も豊富でわかりやすく、現代アート入門にいい感じ。ブラジルのトロピカリズモのくだりはそういう流れだったのかと納得した。あとやっぱ草間彌生はすごい。
投稿元:
レビューを見る
入門書っていうより、もう現代アート好きな人向けかな。新書ってことで少し学問ぽいけれど、見方を押さえてくれいるのは確か。
投稿元:
レビューを見る
始めて東京都現代美術館にて、作品鑑賞をした日に購入。
現代アートには様々な楽しみ方があり、見るたびに違った見方が出来ることに魅力がある...
そんな事に気づかされる1冊です。
また、キュレーターという仕事にも興味を持つきっかけになりました。
投稿元:
レビューを見る
歴史の中で勝ち残って来た、過去名作を賞賛するだけでなく、今現在、自身が生きて身近にあるアートに寄り添う事の重要性を感ず。
過去賞賛から、現在を生きる自己の時間を見つめる事。
一回性、瞬間美であると言えるのか? アートへの向き合いを変えるきっかけとしたい。
投稿元:
レビューを見る
この本にはアートとはについては書いてありません。著者はアートは私にはこう映っているということについて語っている。”とは”論を敬遠したいという気持ちと、アートの定義は現代において人によって様々であるという態度であるように思えます。
MOTのチーフキュレイターである著者が、本書で取り上げた作品について、なぜ面白い作品なのか?アートの文脈でなぜ重要なのかが解説してあります。それらを通して現代アートへの理解を深めることができます。
投稿元:
レビューを見る
現代アートという不明瞭な枠組みを、現代アートという言葉の成り立ちから紐解いていく。
それぞれの作家が様々なメディウムを通して、色々な事を表現しているが、全て説明出来るものでもないし、理解できるものでもない。
解釈を鑑賞者に委ねている作品も多い。
作品から何かを感じ、そして分からないを楽しめばいい。
投稿元:
レビューを見る
①日本画の遺伝子ー屛風絵、村上隆、奈良美智、落合多武、アニメーション②出会う場所でアートは変わるー草間彌生、オラファー・エリアソン、レアンドロ・エルリッヒ、マイケル・リン③アートが科学を越えるときージェームズ・タレル、池田亮司④「見る」ということーソフィ・カル、河原温、アンリ・サラ⑤身体性を呼び覚ますーエリオ・オイチカシ、リジア・クラーク、エルネスト・ネト、サラ・ジー⑥アートのポリティクスーマシュー・バーニー、フランシス・アリス、ロバート・スミッソン、蔡國強⑦越境するアートーSANAA、石上純也、トビアス・レーベルガー、リクリット・ティラバーニャ、シムリン・ギル、wah、フセイン・チャラヤン
目次に出てくる作家たちは、著者が実際に組んで企画を立ち上げた人たちだそうだ。だから、彼らの意図するところがよく分かっていて、文章が明晰だ。いろいろなことが書かれているが、他との関り、社会との関り、様々な現代の要素との関り(テクノロジー、科学、、政治、場、時間等)なしには現代アートは成り立たないようである。デュシャン以後、アートははっきりと変貌したのだ。
マシュー・バーニーがビョークの旦那さんとはね。やっぱりビョークって変わってるわな。
投稿元:
レビューを見る
現代アートについて調べたり読んだりしているとこの方の名を必ず目にするので、一度著書を読んでみたいと思っていた。
それほど量も多くなく、例に挙げてくださっているアーティストも有名な方ばかりなのでサクッと読めるかと思いきや、私自身まだ知識が乏しいためか難しい箇所も結構あった。
この本を通して新しく知ったアーティストもいたのでとても参考になった。
投稿元:
レビューを見る
東京都現代美術館のチーフ・キュレーターを務める著者が、現代アートのさまざまな作品を紹介するとともに、その魅力をわかりやすく読者に解説している本です。
最初の章は「日本画の遺伝子」というタイトルになっており、日本と西洋の肖像画を対比することで「身体―知性―自然が一体になっていく日本と、これらがすべて対立項となっている西洋」という枠組みが示されています。この枠組みそのものは、著者自身も認めているようにかなり図式的な考えかたですが、著者は「村上隆が日本画から学んだもの」へと解説を進め、さらに「西洋美術史のなかで長らく一枚岩だった、自然を克服するという対立構造的なモダニズムはもはや過去のものとなりつつあります」と述べています。こうした解説はいささか平板にも感じられるものの、現代アートに触れる読者に対してひとつの枠組みを示し、そこから作品について考えることのできるような視点をはっきり示しているという意味では、入門書の役割を果たしている本だといえるように思います。
本書とおなじく新書形式で書かれた現代のアート入門書としては、山口裕美『現代アート入門の入門』(2002年、光文社新書)がありますが、そちらは現代アートをとりまく状況などにも説明がおよんでおり、本書とはちがった切り口の入門書になっています。もちろんどちらも有益な内容ですが、どちらかというと、本書のほうがオーソドックスな入門書といえるのではないでしょうか。