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アームチェアに対抗して、腕貫(アームカバー)かぁ……と、気楽に読みだしたのですが、惨敗に次ぐ惨敗、いい意味で推理が裏切られっぱなしでした。
いや、推理が裏切られたというよりも、同じ情報が渡されているのに推理すらできない(&でも、腕貫探偵の推理を聞くとそれしかないと思う……)という、、、あぁ、さすがロジックの天才、西澤 保彦です。
ということで、堪能しました。
また、登場する女性たちがほんと魅力的なんだなぁ。
続きがあるということで、『腕貫探偵、残業中』もポチッっとしました。
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誰かが書評で、蒼井上鷹さんがスキならおススメ!と言っていたけれど、確かにその通り。
蒼井ファンのあたしは(まぁその前に西澤フリークになりかけているんだけど)もう、
つるっと狂喜乱舞でこのワールドにGO!
まず最初の設定がさすがの西澤ワールド。
世にも奇妙な物語みたいに、おそらくは気持ちとシンクロしないと巡り会えない、
フシギな臨時出張所にすとんととりこまれ、まさにアームチェアディテクティブによって、
謎が解決してゆく連作短編集。
ちなみに主人公?というかタイトルの腕貫探偵とは、
その不思議な出張所に座っている、役人みたいに形式主義で、
ほとんど無駄話をせずに人の話だけ聞いてはぼそ、ぼそ、とヒントを出す、
摩訶不思議な出張所の担当者である。
あとがきで言いも言ったり、アームチェディテクティブならぬアームカバー・ディテクティブ。
この本を読んで一番私が学んだのは、よください格好の人を揶揄して
「ほらあの、お役所のおじさんがしてるような黒いアームカバーしてそうな」
なんていうそれが腕貫という日本語の単語として存在したことだったりもするのだが、
それはここの本題ではない。
この本の面白いのは、いわゆる探偵のプロトタイプが崩壊し、
いかに新規性(あるいは新奇性)のある探偵をと血眼になる世間を逆手に取ったかのような、
たいへん淡白で個性のない、主張しない探偵というスタイルなのかもしれないと思った。
なんせ本当にひと言二言の進言なので、逆に伝えられた依頼者のほうが、
悩んで自力で考えて、自分で解決するのが短編の山になるくらいなのだから。
そう考えるとアレね、世にも奇妙な〜は、日常のエアポケットに落ちるのは、
単に偶然だったり罰にふさわしい人なんだけれど、この作品に関していうと、
この出張所が目に入るのは、ある程度の知性と行動力があって自力で解決できる人、
というフィルターがあるのかもしれないねぇ。
続編は腕貫探偵残業中、らしい。
これも読まねば。
ところで西澤作品と言えばとにかく、珍しい名字が多い。犯人も被害者も。
これって、メジャーな名前だと自分が殺された!とかいう人が続出するから、
わざとそうしているんだろうか。
もしあたしだったら登場人物の名前を決めるだけで労力の半分を使ってしまいそうで、
すごい寡作な作家になってしまうと思うんだけど。
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櫃洗市一般苦情係、市民サーヴィス課臨時出張所の腕貫男による安楽椅子探偵物語。
「腕貫探偵登場」
蘇甲純也が遭遇した知人の死体。何故か通報している間にバス停から部屋まで移動していた。
その謎について相談した蘇甲純也は腕貫男の慧眼によるアドバイスにより真実を見抜く。
「恋よりほかに死するものなし」
筑摩地葉子は再婚により幸せなはずの母親が抱える悩みが何なのか相談し、腕貫男のアドバイスにより閃きを得る。
「化かし合い、愛し合い」
門叶雄馬が完利穂乃加とよりを戻せた話をしたところ、腕貫男に利用されているとアドバイスを受ける。何故か。
「喪失の扉」
元櫃洗大学事務局長である武笠寿憲は自宅で見つけた二十年前の学生証の束と履修届のコピーについて、知人の話として腕貫男に相談する。
そして、寿憲は真実を思い出す。
結末は黒い。
「すべてひとりで死ぬ女」
刑事の氷見と水谷川は作家・兎毛成伸江殺害事件について頭を抱えていた。何故彼女は<カットレット・ハウス>で食事をしなかったのか、腕貫男に相談し、事件の全貌を知る。
「スクランブル・カンパニィ」
体調が悪いにも関わらず、檀田臨夢は目鯉部怜太の尻拭いをさせられたあげく螺良光一郎に無理やり合コンに連れ出される。
そして後日、螺良&目鯉部の二人が逮捕された事実を知る。合コン相手の秋賀エミリ&玄葉淳子という美女二人が絡んでいるのではないかと腕貫男に相談した檀田は事件の裏で何が起きていたのか理解する。
「明日を覗く窓」
蘇甲純也は友人の頼みで個展の片付けを手伝うことになる。その際何故か去年出展していたはずの作品を回収する箱が残されていた。
同じく手伝いとして参加していた筑摩地葉子とともに腕貫男に相談する。
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タイトルだけ見たときは腕貫という探偵が推理していく物語だと思った
神出鬼没?で名前も正体も曖昧な彼がたまたま寄ってきた相談者たちの悩み・相談事を解決に導く!?
今までとは違った視点の探偵もので読み進むたび捲るページが進んだ
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安楽椅子探偵ものって事なんだけど、ちょっと探偵役が変わった設定だね。
でもまぁこの設定なら次々謎と事件が舞い込んできても不思議はないって、ちょっと便利な設定でもあるか。
短編集なので手軽に読めて、面白かった。
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神出鬼没、正体不明の腕貫男が小さな事件などを解決しまくる物語。
主人公?であるはずの腕貫男、最後まで何もわからず仕舞いであるだけでなく、この1冊を通して一挙手一投足も行なっていない。
それなのに、この存在感…。
キャラクターが全体的に立っているし、世界観が牧歌的なので、個人的にはアニメになったら面白そうだなあと思った。1話完結の物語。
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市民サーヴィス課臨時出張所という相談コーナーから一歩も動かず問題を解決する探偵。黒い腕貫をはめている謎の探偵だ。
相談に至る前の情報からは想像を超える発想で事件の核心を突いて行く。
読み込み方が足りないのかも知れないが、少しフラストレーションが溜まる展開でもある。
穿った見方をするのであれば、本当に一歩も動いていないのだろうか?市民サーヴィス課臨時出張所が登場する場所があまりにもタイムリー過ぎる。もしかしたら、裏でドタバタ汗をかきまくりで事件を事細かに調べて、納得がいく推測が出来上がった時にしれっとした顔をして出張所を設置しているのではないか?
そんな事を想像してしまった。残念ながら続編には手を出さないだろうな。
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安楽椅子探偵という事だけれど、まぁこれ程極端なものも無いのではないかというシリーズ。
短編集なので淡々と話は進むけれど、最後には西澤作品特有の満足感を味わえたのは、さすがと言う所なのではないかと。
一人称が相談者なので、短編集として一冊の本になった時、話の切り替わりに頭が追いつかないのが少し気になったかも……
腕貫さんの影が薄すぎる……
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安楽椅子探偵ものは幾つか読んだことあるけど、ヒントで終わって後は考えなさいよ。ってのは個人的に初めてで面白いなぁ、と思った矢先に全部解決まで行く話も出てきたり。あとは登場人物の名前がなにせ読みにくいw作者の特徴らしいけど、なかなかすらっと読めないこともしばしば。まぁでも面白かったので続編買いますはい。
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西澤保彦『腕貫探偵』
(2005年7月・実業之日本社 / 2011年12月・実業之日本社文庫)
大学に、病院に、警察署に…突如現れる「市民サーヴィス課臨時出張所」。そこに座る年齢不詳の奇妙な男に、悩める市民たちはついつい相談を持ちかけてしまう。隣人の遺体が移動した? 幸せ絶頂の母がなぜ突然鬱に? 二股がバレた恋人との復縁はあり? 小さな謎も大きな謎も、冷静かつ鋭い洞察力で腕貫男がさらりと解明! ユーモアたっぷりに描く連作ミステリ7編。
ケレンのないロジカルなミステリ。犯罪の動機や背景が重苦しく、ユーモアたっぷりとはとても思えないが、ブラックでもない。
何より腕貫探偵のキャラが秀逸。西澤保彦もやればできるじゃないか、と見直した一作。
70点(100点満点)。
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■謎の“腕貫”着用職員が市民の悩みを次々に解明!
「市民サーヴィス課臨時出張所」という貼り紙した簡易机で受付をしているのは、マネキン人形のように無表情な男。銀縁メガネに、白いシャツ、両腕に黒い腕貫をはめた職員。あるときは大学の構内、病院、またあるときはアーケード街に設けられたこの臨時出張所に、引き寄せられるようにやってくる相談者はさまざまなトラブルを抱えている。殺人?詐欺?行方不明?ミステリアスで厄介な相談事を、受付で話を聞くだけで見事に解決する、明晰な推理力をもつユニークな安楽椅子探偵が登場した!ユーモア溢れる痛快ミステリー連作短編集。
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図書館にて借りる。相変わらず難読名字を多様していて読み方覚えるのに一苦労だよ。目鯉部とか絶対読めないって!こうなってくると腕貫さんの名字が気になる。普通の名字だったらどうしよう(笑) あと腕貫さんが恋のキューピッド役をしてるのにはちょっと笑った(笑)
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探偵役が探偵役?というよりもヒント役という感じで結局のところ語り手が考えないといけないという謎はなかなか珍しい(と思う)
短編集なので比較的軽い謎が多いと思う。
名前が読みづらい人達ばかりなので、登場人物一覧でもあればよかったなーと思う作品。
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どんなに目と鼻の先に置かれていても心身ともに健やかな者の視界には
絶対に入ってこないというものがある。
それが櫃洗市一般苦情係の”市民サーヴィス課臨時出張所”である。
それはどこにでも現れる。
不思議な張り紙と折り畳み式とおぼしき簡易机、
それに座るひょろりと鉛筆みたいに細身の男性。
むっつりとした表情に黒っぽいネクタイが如何にもお役所的に堅い感じ。
机の上に置かれた両腕の肘まで黒い腕貫を嵌めている。
後から顔を思い出そうとしても思い出せそうにない、そんな男が謎を解く。
行動型の探偵とはちょっと違う。
探偵よりも、アドバイザーに近い気もする。
一般苦情係で個人的なお悩みに対応し
相談者に推理した事柄を話したり鍵となるものを示したりするが
最終的に謎を解くのは相談者本人である。
いや・・・行動型探偵を思い浮かべながら読むとアドバイザーかもしれないが、
安楽椅子探偵としてみれば、やはり探偵か。
気になるのは、その推理はどこから来るのか?
腕貫男の中の何から生まれてくるのだろうか?
人生経験が豊富なのか、それとも相談を受けてきた経験からなのか?
それと、この本の登場人物の名前が一風変わっている。
耳慣れない名前に”えっと、何て読むんだっけ?”となってしまう。
聞きなれないせいか、メモが必要でした。
腕貫男の名前も解らない。
持ちかけられる謎は、腕貫男と相談者が解いてくれるため、
目下一番の謎はこの腕貫男に他ならない。
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様々な事件を様々な場所に現れる市役所職員が話を聞く
面白かった
スクランブルカンパニィの後日談が気になる…