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著者がネット上で公開している『高機能広汎性発達障害者への就労前支援に向けて』が大変に興味深かったので、その方の近著ということで手にしました。
「はじめに」に書かれているとおり、第1〜5章が「不適応の要因となっている障害の本質や、不適応のパターンの解説」、第6章で「アスペルガー者への支援における具体的な注意点、環境調整の仕方」、第7章で「アスペルガー者の主観的世界とはどのような世界なのか、そこから見えてく新たな価値観の提示」となっています。
アスペルガー者ではない人にとって、アスペルガー者がどのように周囲を捉え、どのように考えるのかは、想像するのが非常に難しいようです。しかし、少しでも多くの人にアスペルガーについて理解してもらうことは、当事者のみならず社会全体にとって大事なことです。理解が得られなくては、当事者だけでなく、当事者以外の人にとっても「理由の分からない」摩擦や軋轢や衝突が起こるばかりで、双方にとって不幸なことです。
アスペルガーの人が何を考えているのかさっぱり分からない、どう対応すればよいのか分からない、でも「それを知りたい」ーーーと思ってくれる人が一人でも増えてくれたらと願っています。そういう人にとって、この本は非常に役に立つと思います。著者はアスペルガー者ではありません。「多数派」の視点からアスペルガーを解説し、どう対応していけばいいのかを考えています。当事者でない人にとって、当事者の言葉よりずっと分かりやすいのではないかと思います。
当事者以外の人が読み手として想定されていますが、当事者が読んでも示唆に富み、大変に参考になると思います。
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ASの人たちの現実を、ありがちな通り一遍な表現ではなく、非常にわかりやすく具体的に書いていて好感が持てる。
当事者が読んでも「そうそう、そうなんだよ」とよく共感できるのではないだろうか。
自分自身のASに悩んでいる人、その周囲の人々、また単に興味をもっているだけという人でも是非読んで欲しい。
ASを理解してくれる人が増えてくれたら、と切に思う。
当事者たちは、本当に苦労しています。
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当事者にとってはあまりにも図星過ぎて、読むのがけっこうしんどいけれど、自閉圏の住人の脳のつくりをわかりやすく書いてあります。
当事者のご家族や周囲の方にもお勧めです。
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テレビでは色々見るが実際のところがよく分からなかったアスペルガーについてストンと理解できる本だった。
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発達障害の本は幾つかある。
しかし、どうも似たようなものばかり。
二三冊読めば、飽きてしまうだろう。
しかし、そんな中で、本書は別格である。
するどい分析と観察で、
よく書いてくれたと思う。
当事者としても、救われること、多いと思う。
アドバイスは適切で、応用ができる。
症例も参考になり、
何も言う事がない。
発達障害について、具体的な一般職で、
本書は他の追随を許さないだろう。
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保団連の機関紙に連載されている物を読み深めたいと思い購入。保団連の特集をより詳しく書かれている。氏の言う「情報処理過剰選択特性」は中核特性と周辺的特性に分けて図示されているが、認知症の中核症状と周辺症状の図に似ていて、わかりやすいが、認知症とは違い、特性が様々に絡み合っていて、詳しく説明はしてくれているが、かえって複雑な説明になりすぎている嫌いも否定はできない。「認知心理学」的に説明されているのか、論理的には理解しやすいものではある。なぜ、このような理論を考え付くように至ったのかを知りたいが、残念ながら参考文献があげらていないので、不明である。できれば文献を載せてほしかった。
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私が、毎月お世話になっている米田先生から直接購入させていただきました。
さすが、医療者、すごく進んだ研究をしていらっしゃるのだな、と感じました。というか、診療所の専門の性質上、自分は無理に「アスペルガー」と名前つけられたような気がしないでもない。
アスペルガー障害の本質は、まだ科学的には出ていないそうで、また名前も「自閉症スペクトラム障害」に変わるということ。
「アスペルガー者」の特質を3つでいうなら、1.社会的相互干渉の障害 2.コミュニケーションの障害 3.想像力の障害が挙げられるが、
米田先生は、「シングルレイヤー思考特性」というキーワードで、私たち自閉症者の「ものの捉え方」の特性を説明してくださっています。
一般の人と話が合わない理由や、ものの見方の価値基準が合わないことの説明など分かりやすかったです。
「ふつうの人」との感じ方の違いと不適応、そして、どう支援していくかなど、臨床医療の現場から豊富に対応が示されています。
最後に、重要なのは、「アスペルガー者を健常者に見せかけることではなく、アスペルガー文化をエンパワメントしていく」こと。
自分でも、実は自分のことがよく分かっていないのですが、本書は、自分のことのみならず、「一般社会」との考え方の違いの輪郭を描き出してくれたように思います。
自分にとっては、医療的立場よりも、社会的立場や人道での支援の方がよっぽど有意義なのですが。
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諸々終わってから「シングルフォーカス」の箇所を読むつもり。まあ、指針として冷静に読める元気があれば。
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障害が重いからと言って社会的に不適応を起こしやすいとは限らないのがアスペの特徴。逆に言うと、特性が軽めでも生きづらさを強く感じることもあるということ。何が適応・不適応を分けるかは不明だが、おそらく「知能が高い」「孤立が平気」「無理をしない」が重要なポイントだと思う。
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「アスペルガーの症状によって、どんなことに困るのか?」「普通の人との間にどんな溝があるのか?」が解説されていて、タイトル通り「なぜ生きづらいのか」がわかりやすい。
①職場で「何でそうなの!?」と呆れられたり、叱られたりする内容についての解説があり、納得できた。
・一部のことは上手にできるのに少し種類の違うスキルになると途端に不器用になる。
・社会的な規範(日常生活レベルでの弱い社会規範)からの小さな逸脱の結果が予測できない。
・言語性知能が低くなくても動作性知能が低いと作業能力が低くなる→物事を直感的に把握できない・経験が積めない・新しい概念の形成にも困難がある
・感情はどこまでも個人的なものであって、それを共有することの意味がよく理解できない。
・必要な情報が与えられれば対人的な状況を適切に解釈することができるが、実際の場面では必要な情報を把握できなかったり、選択肢を自分では思いつけない
②生き方についての示唆がある。
ちょっと「そう言って欲しかった」というような内容。
・対人交流に重きを置かず、少ない交流で快適に生活できるかを考えた方が良い。
・「こんな時はこう言うもの」という形式に従うことに徹する(社会的フォルマリズム)ことで、アスペルガー者にとって自由な生き方ができるかもしれない。
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アスペルガーに対して、ある程度の知識がないと理解できない部分が多少あるが、非常に参考になる一冊。作った料理をストレートにまずいと言ってしまう論理は非常に腑に落ちた。
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アカデミックな記載、ではなく、より臨床の立場からの解釈や対応について、筆者の見解も入れながら書かれています。筆者の向き合い方に対する信念も伝わってきます。
私はPFやアジャイルが、この分野と折り合いをつける時期が近いうちに必ずやってくると考えているので、本書のような実践を背景とした洞察は参考になりました。
「異なった世界の見え方に対する敬意と尊重が求められてしかるべきである」との言にはハッとさせられたよ。
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図書館で丸一日かけて読んだ。作業記憶や動作などは努力してもカバーできない部分は認めてできる事に集中していきたいと感じた。
日常生活はなんとか送れるとしても就業となると配慮や理解が必要であると強く感じた。
価値観や認知も定型発達と比べると乖離があり社会生活の困難さを痛感した。