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そもそもなんで、
アメリアがマイクルに惹かれたのかが、
よくわからなかった。
2 つの時制の物語から作品を構成する手法は、
割とよく出会うなぁ。
ニヒルな少年の成長物語 + 心情豊かな犯罪物語ってところか?
2011 年 アメリカ探偵作家クラブ賞(MWA賞)エドガー賞長編部門受賞作品。
2011 年 英国推理作家協会賞(CWA賞)イアン・フレミング・スチール・ダガー賞受賞作品。
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幼少期、ある事件に遭ったことから口がきけなくなったマイクル。やがて高校生となった彼は、絵を描くことと、錠を開けられる才能を持つことがきっかけで、自らも思いがけない人生を歩むことに…。
牢屋でマイクルが独白するところから物語は始まる。そして解錠師となる前となってからの二つの時間軸が交互に語られ、前者で何故解錠師になったのか、後者で今に至るまでが明かされる。この構成は読みやすいとは言えないが、ストーリーの山場=マイクルの人生の最大の転機を追う楽しさがあった。
解錠すればするほどのっぴきならない状況に嵌り、後には引けなくなるのは不運で同情を誘い、鍵を開ける場面は描写が細かく緊張感が張り詰めて面白い。
初恋の相手アメリアとの恋バナは、はじめからうまくいきすぎて、絶対罠だと思った。得体のしれないバンクスのことと合わせて、肝心なところで結構都合よくことが運ぶ印象。
てなことをいいつつも、大きくまとめるとやっぱり「おもしろい!」
MWA賞最優秀長賞・CWA賞スティール・ダガー賞ダブル受賞作。
The Lock Artist/Steve Hamilton/2009
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口のきけない少年が、どうして解錠師(金庫破り)になったのか?一人称で過去と現在を交互に描いていく。一人の少女に恋心を抱く過去と少女と一緒になるために大仕事をやってのけようとする現在。先を知りたいと思うところで過去と現在が入れ替わり、読み進まずにはいられない。少女との絵を介したやり取り、金庫との触れ合いがとても心に染みいる。なかなかの傑作。
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犯罪小説というより青春小説。YAといってもいいかも。マイクルとアメリアの互いを思うピュアな気持ちに癒された。読後感もよい。
タイトルの「解錠師」からは、17歳のマイクルというより、師匠のゴーストみたいな人が出てきそうだけど、原題は「The Lock Artist」鍵を開けるシーンはまさにアートな世界。悪いことのはずなのに、魅了されてしまうのもわかる気がする。
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暗黒青春記
独り語りが2つの時間軸で進行して最後に一つになった時の切なさったらない
すごい青春モノだなぁ。金庫破りの青春だもん
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勧められて読みました。口を利かない少年が、解錠の才能を開花させるのですが、それを悪い大人に利用されます。過去と現在を同時進行で語るという映画のような作品です。鍵を開けるときの描写がすごいようなのですが、素人にはよく分かりません。面白いというより、ちょっと暗いので、まぁまぁかなと思いました。
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子どもの頃、ある事件に巻き込まれたことがきっかけで、口をきくことができなくなったマイクル。彼には得意なことが2つあった。1つは絵を描くこと。1つは鍵を開けること。
やがて彼は、彼の能力に目を付けた者たちに引きずられ、泥沼にはまるように犯罪に荷担していくことになる。何の痕跡もなく建物に忍び込み、金庫の鍵を開けることが出来れば、犯罪には申し分なしだ。
物語の舞台は、高校生だったマイクルが犯罪に関わるようになる少し前とその1年後を行き来する。しかしもちろん、もう1つ、彼が立ち返らなければならない舞台がある。すべての始まりとなった8歳の時の事件だ。この事件に、彼が、いつ、どのようにして向き合っていくのかが、この物語の1つの読ませどころでもある。
非常に映画的な物語である印象も受けるが、1点、映像化が困難ではないかと思われるのは、鍵を開けるシーンだ。大半の読者は解錠の経験などないだろう。しかし、この小説の秀逸な描写には、まるで自分が解錠をしているかのごとき感覚を喚起させるものがある。読者の手元で金庫がカチリと微かな音を立てて開くのだ。文章でなければなしえない仕方で。
犯罪小説であるには違いないが、これはまた、恋と焦燥と希望と絶望に満ちた、青春の物語でもある。
読後感が意外に爽やかなのは、マイクルの恋が悲恋ではないことと無縁ではない。マイクルと恋人アメリアの間で交わされる漫画のやり取りは、ロマンティックで美しい。
(いささか陳腐な重ね合わせだが)幼少時の事件で閉じ込められたマイクルの心の解錠が叶うのかどうか、これもまた、本書のキーポイントだろう。
*2011年アメリカ探偵作家クラブ(MWA)エドガー賞最優秀長篇賞、英国推理作家協会(CWA)スティール・ダガー賞ダブル受賞作。
*個人的には、昔、3年ほど住んだことのあるアナーバー(ミシガン大学の本拠地)が出てきて、意外であっただけにうれしかった。通りの名前まで出てきて驚いたが、裏表紙には作者がミシガン大学の出身とあり、なるほどと納得。
主な舞台はミシガン州の別の場所なのだが。
*解錠する人を”the lock artist”と言うのは知らなかった。artistには芸術家だけでなく、名人・達人、そして詐欺師・ペテン師の意味もあるようだが、語感としては後者の色が入っているのか・・・?
もしかしてrock artistと掛けてるところもあるのかな・・・?(いや、これは違うか、いくら何でも)
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クライマックスはプールの穴堀。高校生の心情描写が秀逸。青春小説すなー
構成が面白い。最初から物語に引き込む工夫だろう
錠の説明は読み飛ばし。最後のデジタル式との対決は味気ない
ゴーストからの金庫破りの伝授はもっと濃密であって欲しかった。物足りない。師弟関係に思えない。弟子が勝手に成長した印象
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言葉を発することのできない解錠師の少年の物語。
ミステリではなく甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガールものだと思う。青臭い正義感とか満載だし。
時世を行き来する構成は、この作品の中で触れられている鍵の開け方を模しているかのようで。
こういうの、好きだわ。
鍵の開け方に関する独特の表現が面白かった。
これは中高生に読んで欲しいなあ。
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お話は天才金庫破りの青年の話なんですが、サスペンス小説要素30%+青春小説70%です。
なかなか面白かったです。
甘酸っぱい青春犯罪ストーリー・・・爽やかではないな。
八歳の時にある事件をきっかけに言葉を失ったマイク。
だが彼には特別な才能があった。
絵を描くことと、どんな錠も開くことが出来る才能だ。
やがて高校生となったマイクは、ひょんなことから犯罪組織に巻き込まれ遂には金庫破りの弟子となり芸術的な腕前を持つ解錠師になる。
決して自ら犯罪を企てる事は無く犯罪チームに雇われる形で金庫を開ける。
そのチームには一流のプロもいれば素人同然の奴らもいる。
プロの金庫破りとして仕事をしていく青年と、その青年が金庫破りになるまでの出来事が二つの時間軸で交互に描かれる。
こういう手法は別に珍しくないですが、この二つの時間軸がほぼ一年と言う狭い範囲であるのは珍しい。
話の運びが多少強引な点は否めませんが楽しめました。
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ぐぐぐいーっと引き込まれるスピード感。
一気に読めた、ってことはいい作品。
電子セキュリティに触れる機会が多い身としては
どうしても、ダイヤルロックのみの金庫って
古いよな、と思ってしまうけれども。
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ずっと、積読の一冊だったのだが、今年のベストミステリーだったので読んでみた。一人称小説は、苦手だったのが、これはすんなり読めた。面白い。過去と現在が、交互に描かれるのだが、それが徐々に接近してくるスリル感は見事。今や古びてしまったかの青春小説、恋愛小説としても楽しませてくれる一冊だ。
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刑務所の中で「君」に宛てて綴る少年の回顧録。少年は幼少時に遭遇した事件以来、声が出せなくなっている。手先が器用で絵描きとピッキングが得意。ある夏休み、心惹かれた少女の気を引くために彼が選んだ方法は、コミック風のメッセージだった。少女との出会いがコマ割りで描かれ、言えなかった言葉を吹き出しに載せて。漫画がボーイ・ミーツ・ガールの小道具に、またそれ以上の表現方法として選ばれたことが無性に嬉しい。
「調香師」のように専門職のディティールを楽しむ作品。
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解錠師とはつまり金庫破りのこと。10代にして天才的な解錠師(ロックアーティスト)としての才能を見出されたマイク。しかし、彼は幼い時の出来事が原因で一言も口を利くことができない。
彼が解錠師となる経緯と、彼が今の状況に陥った顛末が交差しながら話は進む。
出だしがすこしまどろっこしいところはあるが、そこを超えると話は一気に面白くなっていく。
そして、ちょっと切ない。
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(No.12-55) ミステリというよりサスペンスかな?
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『決して動かないよう考え抜かれた金属の部品の数々。でも、力加減さえ間違えなければ、全てが正しい位置に並んだ瞬間に、ドアは開く。そのとき、どんな気分か想像できるかい?
8歳の時に言葉を失ったマイク(マイクル)。だが彼には才能があった。絵を描くことと、どんな錠も開くことが出来る才能だ。やがて高校生となったマイクは、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的な腕前を持つ解錠師になる。
MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞をダブル受賞した話題作。』
(紹介では「言葉を失った」とありますが、正確には「声を出して話せなくなった」ので、聞くこと、読むこと、書くことは出来ます。)
一番最初に、ここは刑務所で、マイクがこの物語を書いていることが明かされます。
そして時間はあちこちに飛び、ここにいたるマイクの人生がだんだんに分かってくるという構成。
時間が飛び飛びでも、章の始めに場所と何年何月かが書かれているので話が分かりやすくて、読んでいて混乱することはありませんでした。
なぜマイクが話さなく(話せなく)なったのかはなかなか語られなかったので、いろいろ想像しました。真相が分かった時は、やっぱりそこまでのことが起こったからだったのか、と納得しました。
マイクは話さないだけでなく、積極的に自分の考えを伝えようとしません。書いて伝えることも出来るのにほとんどせず、手話もあまり上手くない上使わず、どうしても必要があればわずかな身振りだけで伝えます。このことで、マイクの強い自我と孤独が際立って感じられます。
マイクに対する人々の反応が興味深いです。しゃべりまくる人、無視する人、相手が聞こえていることが分かっていても一方通行だと、会話をすることは難しいのだなと思いました。
最近テレビドラマの「鍵のかかった部屋」を見ていたので、解錠するシーンの映像が記憶に新しくて、この小説で臨場感を味わうのに役立ちました。文章に被る感じで映像を思い浮かべました。
解錠に対するあこがれのようなものと、大切な存在を守りたい気持ちが、犯罪者への道を進み始めるきっかけになってしまったマイク。犯罪小説なのに、犯罪者になってしまったマイクを見守りたい気持ちになりました。これは少年の成長小説としても読めます。
あとがきに「ヤングアダルト世代に読ませたい一般書に与えられる、全米図書館協会のアレックス賞も受賞した」と書いてありました。
そして、読後感がとても良かったの!だから、ラストの方ちょっとだけ都合よすぎじゃない?というところは無視です。
すごく面白かったです。読んで良かったわ。