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角田版「曾根崎心中」。
昔から語り継がれているモノは、やっぱりいいですな。
大筋はわかっているのに、引き込まれてしまった。
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角田光代版「曽根崎心中」として捉える。
抑え気味に突き放して描かれているように思うが、ラストに通じるものがあるのかと、なかなか良かった。
初が徳兵衛を縁の下に隠す件は、人形浄瑠璃での三人操作の足の場面が蘇り、胸が張り裂けそうに。
さすがは「名作」と改めて思う。
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時代小説。でも初めからすごい勢いで世界に入り込めた。恋はどの時代も強烈で哀切。共通だ。
ーーこれが、これが、これが恋。
恋は人を狂わせる。角田光代さんの描く時代小説。素晴らしい。
☆4つなのは馴染みない言葉が多すぎて難解だったこと。ごめんなさい。
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人はいまも昔も恋の炎に焼き尽くされてしまう生き物だ。
曽根崎心中を題材にした、遊女と間夫のお話。
恋は恐ろしいけど素晴らしい。
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愛し方も死に方も自分で決める・・・愛するとは命をかける覚悟、信じる覚悟なのかもしれない。古典もこれなら読みやすい。
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角田さんに曾根崎心中の現代訳を書かせる企画を考えた人は天才だな!
角田さんにしか書けないお初徳兵衛の物語がここにあります。
恋心が死んでしまう前に、人の口に上る噂の中へ永遠を見出し旅立ってゆく、その死への道行がもうもう美しくて!
特に互いのくちびるをなぞるシーンは官能的で印象に残りました。
ワタクシ、学校の近松門左衛門のゼミで、ほとんど九平次ラブなレポート書いて出したことあったんですが(いや、原作読むと、彼も悪役として格好良いのよ?)、こちらの『曾根崎心中』読んでがらりと印象変わったかも。
お初の死よりも恋の終わりを恐れる気持ちに胸をしびれさせられた一冊でした。
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恋はするものではなく、ある日突然気付くと知ってしまっているものなのかも。角田光代さんの時代小説。ストーリーは原作通りで結末が分かっているにもかかわらず、描かれる光景が目に浮かんでテンポよく進むのであっという間に引き込まれて読み終ってしまった。
遊女がたまに街中に出て一所懸命御参りする様子や、最後の恋する相手を陥れた憎い男に見栄を切る場面など、ワクワクしてくる。
天満屋という遊郭で女性たちが楽しそうにおしゃべりする様子とは反対に、恋を知って、最後は病に倒れて出ていく遊女、身請けを前に自ら死を選ぶ遊女、自分の気持ちを隠して身請けされる遊女。
「恋なんかするもんやない」おかみの言葉が虚しく響く。
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あの、「曾根崎心中」を角田光代さんが翻案した作品。
お初の視点”だけ”から描かれた曾根崎です。
文楽では何度か見ているのですが、お初の視点から描かれているというのがポイントやと思います。
これ読んでから、文楽で「曾根崎心中」を見たら、またちょっと(かなり)印象かわるかも。いや、変わるな。ひとだまのところとか。
あと、最後の方の「嘘をついているのは本当は…」のくだりも、いいです。
やっぱり、長年愛されるだけの作品なんですよね。
角田さんの手で翻案されたのを読んで、またそこから、いろんな解釈を、みんなが考えれらるように思いました。
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どうして恋は、こんなに激しい感情を生み出すのだろう。すべてのささやかな楽しみを吹き飛ばしてしまうほどの。
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良かったです。
原作は読んでいませんが、内容的には知っていました。
ただ個人的には、もう少し著者の感情的部分が入って、もう少し眺めでも良かったかなと思います。
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+++
著者初の時代小説
300年の時を超え、究極の恋物語がふたたび始まる。
============
愛し方も死に方も、自分で決める。
ーー
江戸時代、元禄期の大坂で実際に起きた、醤油屋の手代・徳兵衛と、
堂島新地の遊女・初の心中事件をもとに書かれた、
人形浄瑠璃の古典演目『曾根崎心中』の小説化に、角田光代が挑みました。
原作の世界を踏襲しながら、初の心情に重きを置き、
運命の恋に出会う女の高揚、苦しみ、切迫、その他すべての感情を、
細やかな心理描写で描ききり、新たな物語として昇華させました。
運命の恋をまっとうする男女の生きざまは、
時代を超えて、美しく残酷に、立ち上がる―
この物語は、いまふたたび、わたしたちの心を掻きたてます。
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恋を知らない小娘のころから、運命の人と出会ってしまい、一瞬にして離れがたくなり、愛しい人と手に手をとって逃げ出すまでのお初の気持ちの移り変わりが丁寧に生き生きと描かれている。読者は知らず知らずお初に寄り添って読み進めてしまう。あまりにも切ないお初の恋であり、その胸の裡が手に取るように読み取れる。ほかにしあわせになる方法はなかったのだろうか、と時代と状況とを度外視して思わされる一冊である。
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近松の心中ものに、さすがの角田光代風味。読ませる、引き込む、圧巻。忠実になぞらえており、独自解釈はほとんどないけど、読み応えあり。遊女たちの心情をばっちり落とし込みしているからだ。もう一度、文楽で見たい。
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近松門左衛門作、初と徳兵衛の壮大な恋物語。純粋でひたむきに誰かを思う姿は、見ていてつらくなるくらい美しく、まっすぐすぎて時に違った方向に走ってしまう。でも、恋っていいもんだよね、どんなにつらくても、せつなくても。いつの時代も、恋ほどエネルギーを消費するものはないのではないか。これは大満足の星五つ!
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誰もが知る結末を、どのように読ませるかで作者が工夫している。
心中を「女」だけの視点に限定して描くことで
読み手に裏切りやウソを想像させる。
結末がわかっている読者にさえ不安を感じさせる筆力は見事だと思う。
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近松門左衛門の原作は読んでいないし、浄瑠璃も歌舞伎も観ていない。
かろうじてあらすじを知るのみだった。
そんな私はぐいぐい引き込まれ、角田光代さん翻案のこの作品にとても感動した。
一途に思いつめた恋。人ごとのように思っていたが、主人公「初」の気持ちに共感できてしまうのには驚いた。
作者が思いをめぐらせ、魂を与えるほどの人物に書き切っているからなのだと思う。
徳兵衛との逢瀬で尽きないほどの会話をし、どんどん近しくなり、とても大切な人になる。うれしくて切なくて恋しい。そんな感情を読む側に呼び起こさせるからすごい。
「初」が心中を決心するまでの心の動きに不自然さが全くなかった。
そして、いよいよ行動に移す終盤の揺らぎや思いが心にしみた。
ラストも文句なしでしょう。
遊郭の不自由な身と、せめて心だけは縛られないという女たち。
集まってはぺちゃくちゃしゃべり、その間辛いことを考えずにいられたり、違う人生(自分で決めたり、選んだりする生き方)ができるようなつもりになる。
そんな描写がとても切なくて心に残った。
角田光代さんの小説にはよく、自由を前にしての気持ちのわくわくする描写があり個人的にとても好きな部分だ。
それだけに今回自由のない身である遊女たちが描かれるのが、余計に哀しく切なく感じられた。
「初」が食べるのに事欠いた貧しい生活から遊郭へ売られたことを振り返っての初の気持ちの引用〜
やがて客をとるようになって、橋を渡った外の世界で暮らすことを焦がれるようになったが、初はどこかで安心もしていた。いやなことがあればあるだけ、おまんまを食べて布団で眠って立派な着物を着ていても許されるように思うのだった。村の父母もおさないきょうだいも、腹をすかせることもなく、みんなくっついて笑っているだろうと思えるのだった。
本当にいやなことが沢山たくさんあったのだろうと思わせる。
なんとかこう思うことで自分を保っていられるということに思い至らせてくれる。
この作品のあちこちにしみじみと思いをはせるところがあり感慨深かった。
翻案であるが、心理描写が絞り出された奥深い作品だと思う。