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マーガレット・パウエルという女性の、家事使用人として過ごした日々を綴った回想記。
表紙のイラストは森薫さんが描かれていて、これがまたよい雰囲気で素敵。
そして訳者はアニメ版『エマ』で時代考証をつとめた村上リコさんで、解説も随所にありとても読みやすかった。
もちろん著者自身の、ピリリと辛いユーモアや、読書で得た知識を使っての指摘、英国らしい風刺や皮肉が多彩な文章力もあってのことだと思う。
キッチンメイドからコックへと転身した著者の、その過酷な労働環境には目を背けたくなるくらい辛いものがあったが、それだけに読み応えがあった。
やっぱり当事者の生の声というのは迫力がある。
村上リコさんが書かれた、『図説 英国メイドの日常』と併読して読むとさらに楽しめそうな1冊。
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森薫さんの表紙に引っ張られて。
メイドさんの回想、そのままズバリでありました。
結構あけすけです。
どうなったか知らない、ということばが
頻繁に出てくる……。
ちょっと読みにくいかなぁ。
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読んで良かった。不思議な読書だった。英国だから。約100年前の話だから。
関係ないと思う。気付かされたことは、私は学業を修める機会を無碍に剥奪
されることなく、きちんと修められたこと。を忘れかけていること。当の世に
いたら、あなた、戦えましたか。戦いましたか。戦えなかったと思いますよ。
だから、苦しかった日々も、甘受すべきなのに、不埒な態度。良くなかった。
なぜ、今この時代にこの書を日本で出版したのか、という疑問を持っていた。
多分、私に読ませるためだったのだと思う。そうでしょう。そうでしょうとも。
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気骨のある1907年生まれのフェミニスト(過激ではない)の女性の物語。本を読むこと、勉強することの大切さも教えてもらえます。
O.ヘンリーの本名がウイリアム・シドニー・ポーターであることを始めて知りました(p.157より)。
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リアルなメイドの姿がよく分かる。上流階級のことについ目が行きがちだけど、労働階級はこんなのだったんだな〜と勉強になる本。
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オースティンまみれの私には随分現代的な文章だなぁと思ったら、著者は1984年までご存命だった。
貧乏な一家で育ち様々な家で働き、コックになるまでが描かれていて、モニカディケンズの「なんとかしなくちゃ」よりは切羽つまって生きている。
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英語の先生に借りた本。とてもおもしろかった。痛快!でした。
とにかくメイド時代にものすごく苦労したこと。労働階級というだけで人として扱ってもらえずぼろぼろ泣いたこと。ありえない仕事量。お金がなくて嫌な仕事をやり続けたこと。転職活動の苦労。でも、同情を誘おうだとか教訓を残そうなんて書き方は一切していません。
仕事が好き、役に立った、なんてこともまったく言わない(より良い生活を求める力になったとは言うけれど)。
自分が貧しかったからと言って、貧しさを賛美することもない。かと言ってお金持ちに対する盲目的な羨望もない。豊かさも貧しさもひっくるめて人間なんだと思わされます。
――裕福な人々はもっと分け与えるべき、なんて絵空事。だってお金があったら、私もそれにしがみつくと思う――なんて言っちゃう強さ。現実的なまなざしと、人情。
経験に裏打ちされたしたたかさなのだと思う。
現代日本人のわたしとは、境遇も何もかも違うのだけれど、
地下に降りてきた二歳年下の「お嬢様」との無言の対面で、なんだかすべてわかったような気がしました。
「火かき棒を使って魚の頭をぶんなぐる」なんて、本当におもしろくて。
あの小説のあの場面に出てきたメイドさんも、こんなふうに考えていたのかなあ、なんて思いながら。
今後英国小説を読むときも、おもしろいかもしれません。
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まず、文章がとても読みやすい。ちょっと気になる言い回しもあったにはあったけれど、それは翻訳本だから仕方ないかな。
読み始めてすぐに頭に浮かんだ言葉は「懐古主義」だった。もちろん、このお話はマーガレットの回想なんだから、昔を思い出し、あるいは懐かしむ趣旨であるからして、当然の印象といえばそれまでなんだけど。ドーナツのくだりやビールのくだりでは、昔は良かった、っていうある種の粘着質な懐古の念を感じずにはいられなかった。
壮絶な家事使用人時代だったのだろうなあとももちろん思った。でも、彼女だけが特別に苦労していたわけじゃなくてこの時代の女の子たちはみんな似たような境遇だったろうし、マーガレットは強かで賢かったから、そういう性質を持っていた点で「生き抜く」ということについて、彼女はむしろ他の女の子たちより恵まれていたとさえ思う。もちろん本当の過酷さは経験した彼女自身にしか分からないことだけれど、この文章を読む限りでは、マーガレットに同情の気持ちは浮かんでこなかった。
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ちょっと想像していたのとは違ったけど、おもしろかった。
卒論を書いている頃に、こういう本があればよかったのにな~。
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新聞の書評で知った本。キッチンメイドから上層のコックへと、少女がいかにのしあがったかというサクセスストーリーだと思いこんで読み出したら、意外と英国の生活歴史的資料本だったので驚いたりして・・・
著者のマーガレットさんは1907年生まれ。15歳の時にキッチンメイドになり、以降いくつもの裕福な家庭を渡り歩き、住み込み使用人として働くのですが、若いわりに冷めた目線で、雇い主一家や先輩メイドを観察し、ばっさりと痛快に斬るお茶目さ、ふてぶてしさはお見事!なかなかの女性とお見受けしました。
失敗は数えきれず、料理もなかなか覚えない(のに、上手なごまかし方はどんどん身につけていくの・・・)けど、めげることなく常に野望を胸に抱き、もっと上を、と目指していく姿はあぶなっかしいけど読んでいて爽快。
当時の裕福とされる家庭での暮らしや、メイド職の見つけ方、転職方法。雇い主と家事使用人との関係性や距離、料理技術に関することや結婚相手の探し方。その頃の生活文化が興味深く書かれているのもこの本のおもしろさだと思います。
マーガレットさんは、少女の頃にできなかった学問をするために、50 歳を過ぎてから専門学校に通い、討論番組でBBCのプロデューサーに見いだされたそう。それがきっかけでラジオ番組に出演、そしてこの本を 書くことになったのだそうです。
いかにも海外らしい、サクセスストーリーの形に最終的はなっている、というオチも。。。
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第一次大戦と第二次大戦に挟まれた時代に、キッチンメイドとして働き始めたマーガレット・パウエル、本書では母の旧姓であるラングリーを名乗る女性の回想録。
ゴスフォード・パークを思い出しつつ読んでいたのですが、この本はゴスフォード・パークの原点の一つになっているらしいです。
日本生まれ日本育ちの私には英国の階級社会は理解しにくいのですが、この本でその世界の一端くらいは理解できたかもしれません。
文章も読みやすく、英国の階下の世界に興味があるならおススメです。
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19世紀から20世紀ごろの貴族社会の裏側にいる労働者階級の人々の生活を知ることが出来ます。
普段表に出ることのない彼らの生活を知るのは面白い。
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今から80年ほど前。
まだ栄華の余韻残る英国でキッチンメイドからコックにのし上がった女性の回顧録。
英国を舞台にしたミステリで見知っている当時のメイドの生活を、当人の筆により側面から補完してもらった感じ。
惜しむらくは階下の人々の労働環境がどの様な社会状況で変化して行ったのかが分からないところ。
まぁ、これは社会学的な本じゃないので仕方ないけど。
何気に、上に立つ人間の心得が描かれてるんだよなぁ。
サクサク読めてl面白かった。
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日本でも大人気のメイド。「華奢でかわいらしい」というイメージが強いが、実際のメイドは体力・実力勝負のとっても過酷な世界だった!?メイドが身近にいた1920年代の英国で、15歳からメイドとして働き始めたマーガレットの奮闘記!!
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15世紀に実在したメイドの回想記です。
漫画「エマ」の影響でいわゆるメイド喫茶とは違う本物?のメイドに興味があり読んでみました。
さすがに事細かくしかしユーモアたっぷりに書かれていて面白かったです。
それに漫画やアニメ、映画と違い思っていることや考えていること、その人が好きな物事がわかるのがいい。
またこの本でもメイドの重労働さと拘束時間の長さも訴えられています。
隔週1日しか休みが与えられないなんて信じられない!
著者は裁縫ができないという理由でキッチンメイドになりコックになります。
「料理はそれがわかる人がいてこそなりたつ」という言葉にドキッとしました。
どんな技術を使って工夫して綺麗に盛り付けてもそれが伝わらないと意味がない。
私もそれができてわかる人になりたいな。
食材の新鮮さ、美味しさにも言及していました。
当時は冷蔵庫なんてなかったから必要な分だけそれぞれの店から買って当日か近日中に消費していたようです。
外側だけだととても素敵で優美に思えるけれどキツくて精神的にも自由が許されないしんどい仕事なんだな、とわかります。