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論語については、昔は「子曰く」という頭辞がぱっと頭に浮かんだり、あとは「不惑」とか年齢に関係してよく惹起される言葉や、「巧言令色少なしに仁」というようなフレーズとか、まあ普通の知識があるだけで、論語全体を読んでみようとか、めんどくさそうで思ったことはなかった。
本書は、論語の解説といっても、いくつかのテーマごとに、論語全体の中を行ったり来たりしながら、適当に名言を引用し、所々、著者がその名言に絡めての時々の想いを添える、という体裁。そもそも、本書で初めてそうだと知ったのだが、オリジナルの論語の章立ては、特に特定のテーマ(政治、とか、文化、とか)ごとにまとめられているわけではない。ということで、本書も論語を頭から順番に解き明かすというアプローチを取らないが、むしろ、その方が、自分のようにめんどくさがる性格で、ちょっと中身に興味がある程度、の人間にとってはちょうどよかったのかも知れない。
出版されたのは、米国ではオバマ大統領が人気の絶頂で当選したばかり、日本では民主党が末路をたどったあたりで、著者のコメントもそういった時事が登場する。
最後に、孔子の一生が短く掲載されていて、人物像を詳しく知らなかったので、勉強になった。弟子についても、まとめてあるので、参考になった。