紙の本
資本主義経済で最大の活動主体である企業の責任は大きい
2012/02/09 19:28
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投稿者:喧々 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は現三菱化学社長。
単なる理想論を書いた本とは重みが違う。でも、内容は、期待していたのとは少し違って、社長がMOS(Management of Sustainability)という管理指標を導入するにあたっての顛末記。
本当は、MOSのテキストみたいなものを期待していたため、ちょっと肩透かしだったが、感じるところは多々あった。
日本の経営者も捨てたものではない。こういう理念、理想が敷衍していけば、世界は救われる。
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サステイナビリティというと何やらようわからんようだが、地球にあるものを大事に使いましょうやというところだろうか。一般の初めてMOSという言葉を聞く人向けに書かれているので社内で見るものよりは噛み砕いてある。
貧困・人口爆発・環境&エネルギーのような大問題を解決するにはイノベーションしかないというのが昨年のダボス会議のビル・ゲイツの発言で、今年はマイケル・ポーターが社会と共有できる価値を生み出せば新たな事業機会となると言っている。
この本に書かれているのは事業機会となろうがどうしようがイノベーションを待たずに今からできることをやるということなのでちょっと違う。
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サステイナビリテイをマネージしたいというのだが、最後までサステイナビリテイをどう定義するのか不明確。環境対応に向けたカイゼン活動の域を超えていないのではないか。
少なくとも「四次元経営(笑)」というほど胡散臭い呼び方をするものでもないだろう。
少なくともこの会社からイノベーションは生まれないだろうことははっきりと分かった。
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これまた仕事の必要性から急ぎ購入。取り急ぎ一気に読了。
今日日“環境経営”ということは普通に語られ、私の会社でもそれなりの打上げはしているのだけれど、その実態となるとまだまだISOかCSRの延長か時流に沿ったブランド向上の手段でしかなく、「事業成長と環境貢献の一体化」のために一人ひとりが何をしなければならないのか、各人が腑に落として取り組んでいけるようにするための課題は多い。
この本では、こうしたことに真剣に取り組んでいる、三菱ケミカルホールディングスの社長である著者が、同社の中期経営計画(2011~16年)に導入した新たな経営指標『MOS(Management of Susutainability)』について熱く語る。
MOSとは、企業活動を本来あるべき姿にするため、従来のMBA的経営管理軸と、MOT的管理軸にあるバランスを持たせようと導入される3つ目の経営管理機軸ということだけど、正直、その具体的な姿になるとちょっと分かり難い。
しかしながら、バウンダリーない世界にあって“地球儀で物を考える”というスタンスで、ステークホルダーに「地球」が仲間入りしたと思えば良いとでも言うように、『サステナビリティ的な社会への貢献を、どのように事業戦略に練り込むか』について、深く深く取り組まれた末の考え方には感服する。
特に第Ⅱ部(サステナビリティに基づく経営指標を作る)の中で述べられる『赤字会社の救済に乗り込んだ経営者が従業員全てへ「コスト意識」を刷り込んでいくのと同じように、我が社の従業員全員に、シンプルなサステナビリティ意識を持って欲しい』とか『LCAという考え方を世の中にもっと根付かせ、その上で個々の経済活動を考えていくように仕向けていかなければならない』などには全く同感。
そして具体的に指標を作っていく過程での医薬品製造部門における「売れる薬を作ること」ではなく「まだ有効な薬が見つかっていない疾病をターゲットにしたい」という「普通ならば決して他人には打ち明けない『秘めた思い』を公約」にしてしまう話は、この取組みの本質を語り、とても感動的ですね。
『直接的にお金になる話ではないことは明らかである。しかし同時に、これらが達成された時、社外から見ても、そしてそこに働く私たち社内の人間から見てもお金で測るだけでなく、我が社がそれ以上にとても素晴らしい企業になることを、私たちは知っているのである』と胸を張る経営者をいただき“環境経営”にあたる従業員の何と遣り甲斐のあることか。
『どんな事業に携わっていたとしても、「どういう社会を目指すのか?」「そこでどういう貢献をしたいのか?」「そのためには自分たちをどう変えていけばよいのか?」という問いかけに対しては、皆ちゃんと胸の中に「思い」があるものなのだ』とあって、我が社においてもそういう「思い」に何とか火を点けたいねぇと思う一方、開かる課題を前に嘆息する。まあ、頑張んべぇ。