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序言
第一章 風土の基礎理論
第二章 三つの類型
第三章 モンスーン的風土の特殊形態
第四章 芸術の風土的性格
第五章 風土学の歴史的考察
解説 井上光貞
(目次より)
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結局、201/298ページまでいったところで、図書館の返却期限到来…。
読み切れなかったけど、面白かったです。
多分、ここに書かれている「風土」以外にも様々な要素が組み合わさって、国民性や様々な社会問題がおきているとは思うのですが、「そうかも~」と思ってしまう個所もあります。
著者は、船で様々な風土を感じながら渡欧した経験から本書を書いたのだと思いますが、目的地へ飛行機で移動していたらこの本は生まれなかったかもしれません。
久しぶりに、古い本のニオイがしました…。紙、茶色いし。
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高校時代に教師に薦められ、今なお色あせない古典
世界の文化や精神の違いは、その土地の風土(気候)
が作ったという考察。内容が深く、おもしろい。
こういう本を学生時代に色々薦められたかった。
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風土は歴史であり、歴史は風土である。外の世界にある何かを見ているときは、そこに映っている己を見ているのである。風土とは自己了解の表現である。・・・和辻先生は今も頭の片隅に住み続けている。
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この本は風土(気候)によって人間の技術的発展や性格、文化がどのように異なっていったかということを
モンスーン(東アジア)・砂漠(西アジア)・牧場(ヨーロッパ)
の3つの類型に分類しかつその中でも細かく分類(例えば地中海と北欧の違い、日本と東南アジアの違いなど)して分析したもので、最後の方では「風土学の歴史」なるものを載せている。
哲学書として読み始めたのだけど、案外社会科学本に近いかもしれない。
考察が非常に優れていると感じた。
それは例えば
砂漠(自然環境が厳しい)→神は人間の姿をしている・確実な統制のため神への絶対の服従を要求
ギリシャ(自然が豊か)→神は自然を象徴する・多神教
というところなど。特に宗教的側面の考察にはなるほどと思わされるところが多かったように感じる。
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【メモ】
・沙漠の厳しさ→団結育む、一神教の下地
※インドネシア等東南アジアでイスラム教が普及した理由は?
・湿潤:受動的、静観
・乾燥:征服的、戦闘的
・地中海:距てるものでなく、結びつけるもの、交通路、航行し易い
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和辻哲郎はマルクス主義を批判したかった様だ。だが結果的にマルクス主義的な内容だ。後半でやはりマルクス主義を批判しようと苦しい理屈を捏ねており、マルクス主義者から批判されたが、本書は結果的にマルクス主義の正しさや今日的な意義を印象付けている。
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日本文化論の古典。著者自身がヨーロッパ留学時に見聞したさまざまな土地の気候・風土とそこに住む人間が相互に形成しあう関係にあることを、著者の持つ天才的な詩人的直観によって捉え、そこから翻って日本の風土と日本文化との関係がもつ特色を描き出そうとする試み。
著者は本書の冒頭で、「この書の目ざすところは人間存在の構造契機としての風土性を明らかにすることである」と述べており、けっして「自然環境がいかに人間生活を規定するかということが問題なのではない」、「ここで風土的形象が絶えず問題とせられているにしても、それは主体的な人間存在の表現としてであって、いわゆる自然環境としてではない」と断っている。
とはいえ、本書の第2章に示された「モンスーン」「沙漠」「牧場」という三つの類型についての具体的な叙述が、自然環境が人間生活を規定するという思考方式からほんとうに解放されているかは疑問である。他方、もし本書が著者の意図するように「人間存在の構造契機としての風土性」についての考察となりえているとするならば、今度は戸坂潤が批判したように、観念論の立場に陥っているのではないかという疑念も生じてくる。まして本書の第5章で、著者がドイツ観念論の系譜における風土と歴史についての考察をたどりながら、新たな風土学の展望を開こうとしていることを思えば、戸坂ならずとも上のような疑念を抱かざるをえないだろう。
こうした問題を孕んでいるとはいえ、本書が重要な洞察を含んでいることを否定することはできない。和辻は、本書の叙述が主観的で一面的な印象に基づいていることを、むしろ本書の積極的な意義として捉え返そうとしている。彼は、この本がある短い期間だけ他の風土に生きる「旅行者」の立場から書かれたものだということを明瞭に自覚していた。じっさい彼は「人間は必ずしも自己を自己においてもっともよく理解し得るものではない。人間の自覚は通例他を通ることによって実現される」と記している。
もし、こうした議論のもつ積極的な意義を救い出そうとするならば、自分自身が住まう風土から他の風土へと越境するという行為は、双方の風土と人間の特性についての理解が成立する可能性を開く振舞いだという考えを、和辻の方法論的な構えとして理解することもできるのではないか。
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導き出される結論には少々疑問は残るけれども(3分類が単純すぎないか、とか)、土地の風土から、そこに住む人の気質や生活が規定される、というのは実感として納得できる。
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漠然とした「風土は人を作る」という概念を、宗教・芸術・農業形態etcに具体化して裏付けている感じ。面白かった。哲学というよりは社会学寄り?
世界史やってて良かった〜
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私たちの死生観というものは実は、地球上の各地域の自然環境あるいは「風土」というものと深く関わっています。そうした「自然ー文化ー死生観」の関わりを鮮明に浮かび上がらせているのがこの本です。現代風に言えば「エコロジー的文化論」でしょうか。風土が神々の形、そして死のイメージを決める、のです。
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土地と民族性の関わりを考える。
力づくで自然を征服しようとし、自然を無視したような生活、文化について考えさせられた。
現代の風土について考えている人の本も読んでみたい。
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高校の授業以来。風土が文化や国民性の形成を左右するというのは受け入れやすい理論だし異存はないが、具体的な内容は少々論理の飛躍が多いような気がした。特に文化は他地域からの承継・学習あってのものなのにいささか一面的すぎるような。だが全体的に興味深く読めた。
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大学時代に読まされた本。
確かユニバーサルデザイン論の先生に勧められて皆買わされたんだったww
これは知っておくべきと言う本らしい。私、一度無くしてまた買って、出て来て二冊ありますww
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実は読んでなかったが、内容を何となく知っているために読んだつもりになっていた本。
巻頭、フッサールやハイデガーを踏まえた現象学的な記述で始まり、意外と哲学的な本だったか、と思ったものの、そのあとは文化論。
後半のほうに出てくる「うち」「そと」の区分と、「家」を中心とした日本文化の特色を論じた部分が面白い。このへんはその後の大量の「日本人論」の嚆矢だろう。
確かに小集団を「家族」的なものと見なす雰囲気が日本には強い。「学級」から、会社もお役所もそうだ。そういえばこの構造は、『フィロソフィア・ヤポニカ』の中沢新一=田邊元的な「種の論理」に該当するものではないだろうか。良い悪いは別として、アメリカ人などとは明らかに違う文化傾向だ。
この本には各国文化の芸術を論じた箇所があるが、ベルクソンのへっぽこ芸術観などとは違って、なかなかに適切な批評になっていると思う。
戦前に書かれたということを考えると、やはりこれは「名著」と呼ぶべきものだろう。