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中島京子さんの本は、まだ2冊目なのでよくわからない。今回は短編。消化不良なのか、余韻なのか、よくわからないラストが続くなぁと思いながら読んでいたけど、だんだんハマっちゃう感じw これからも読みたいなー、この本もまたいつか読み返したくなるだろうなー、という気がしてます。きっと、好きな作家さんになるんだろうな、という予感。「金粉」「おさななじみ」がよかったです♪
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単行本用に書き下ろしで追加されたらしい『眺望良し。』(往信、復信)で挟まれた8つの短編。プロローグ的な往信を読み始めた時点ですぐにピンと来るのでやや興醒めし、これ不要なんじゃないかなぁなんて思いつつも短編を読み、そして復信に辿り着く。それを読んでいてもまだなんとはなしに邪魔感がある。が、不思議なことに読み終わる頃には感動、のような気持ちさえ起きている。それにしても、本作含め様々な作家が書くものに立ち現れる3.11の影響(今思いつくのは川上弘美さん『神様2011』、西加奈子さん『漁港の肉子ちゃん』、先日読んだよしもとばななさん『スウィート・ヒアアフター』等)これは本当に計り知れない。肝心のサンドイッチの具となる短編では『キッズのための英会話教室』がとても切なく印象に残った。
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10個の短編ではあるが、すべて東京の住人で
あることが共通している。
最初と最後の短編は一対になっていて
『あぁ、それで東京でのいろんな人間模様が
語られているのか』とわかる。
「金粉」では、かって、自宅に綺麗なバラの庭を
持っていた中年姉妹が自宅を次第にゴミ屋敷にしていく。
その様子が姉妹の側から描かれていて、ついには
ゴミ屋敷に老婆姉妹が住んでいるという状態になってしまった。
そんな状況でも洒落たおもてなしの習慣だけは
残していた、、というのが寂しく切ない。
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スカイツリーと東京タワーの往復書簡などの短編集。
短編集だけれど、とても濃い内容。
私が特に印象に残っているのは、「幼なじみ」。
淡々としていてどことなく甘いお話。
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東京の町並みを見下ろす新旧二つのタワー。いずれもその時代を象徴する建築物、というよりは都市の空気感を表す代表選手だろう。
そんな二つのタワーの下で営まれる人々の日常のスケッチ群。隔たった時の経過が、ひとつひとつの話に書き込まれていく。
擬人化された新旧タワーの往復書簡の間に挿入された形の8編の短編が、二つの時代の空気感、そして隔たりをさりげなく伝えてくれる。
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若いスカイツリーから、年を経て落ち着きを見せる東京タワーへのつぶやき。そして、その返事。
二つの優しい往復書簡に挟まれて語られる、下界の人間たちの営みもまた、優しく切ない・・・。
人って時代の流れの中でそれぞれ自分の人生を送っているんだよね。高い所から自分たちを俯瞰して見ている者がある、なんて考えてもみなくて、ただ目の前のことにあくせくしてるだけなんだけど、それはそれで幸せかも、と思えるようなお話が数編。
うん、素敵な一冊でした。
私が一番好きだったのは「おさななじみ」。
ちょっとエキセントリックな匂いを漂わせるバーのママがお店を閉める、という独白(お客さん相手にしゃべっているらしいんだけど、読者が読めるのはママの話だけ)。
なんと、彼女は結婚するらしくて、ここでママは48才であることが明かされる。
結婚相手はおさななじみ、ということなんだけど、ママの舞いあがり方に、ホントにそうなの?一人で妄想してるだけじゃないの?とつい心配になってしまうのは、なんか痛いものを感じながらも、ママのことが好きになっていたから、なんでしょうね。
NPOの職員で海外暮らしの長かった彼を浮き浮きと空港で出迎えるママ。嬉しくてたまらないのがよくわかるし、だからこそ、彼の目線で語られるあれこれにドキドキ。大丈夫なの?ホントに結婚するって約束はあるの?
ネタばれです。
そして、その後にまた出てくるママのおしゃべり。
あっ、そうだったのかぁ~~~、という純情初恋話には、それまでにたくさんの伏線が用意されていたことにそこで初めて気づくんだけど、これがね、実にいいんですよ。
ちょっと長くなるけど、お話の最後を何行か書きうつしますね。
結婚できるって思ってなかったからさ。48年間ずっと。
そんなの夢だと思ってたから。
だから、なんか、すごくうれしいわよ。
幸せだわよ、言っちゃうけど。
ほんと、めちゃくちゃうれしい。
ここで、私、泣きました。こんな平凡なフレーズなのに、泣かせられちゃうところが中島さんの力、なんでしょうね。^_^;
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【収録作品】眺望良し。/アフリカハゲコウの唄/倉庫の男/よろず化けます/亀のギデアと土偶のふとっちょくん/今日はなんだか特別な日/金粉/おさななじみ/キッズのための英会話教室/眺望良し。
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冒頭の短編の中に「干し野菜カフェ」っていうのが出てくるんだけど、最近干し野菜ってはやってるようですね。
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スカイツリーと東京タワーが手紙のやりとりをしていたことに気が付かなかったように、そのふたつの新旧タワーのあいだで小さく生きている個性たちに気付けずにいた。大都会にまぎれ消えかかっている人々を、でも、またすぐに忘れてしまいそうだ。どっしりとした足元もだんだんと頼りなくなり、いつ転ぶかもしれない、現代の脆い約束。東京タワーを見上げたい。
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東京を舞台にした短編集。
前後にスカイツリーと東京タワーの往復書簡があり面白いが
間の短編集には特に関係しない。
それぞれがちっちゃいことで迷いもがき苦しむって事なのか。
面白いと思うとブツギリだったり「…で?」な終わりだったりで消化不良。
【図書館・初読・3/16読了】
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図書館の新着リストで、(お、中島京子)と見つけ、こういう新しい本が珍しく空いていたので借りてきた。どんな話かな~と思ったら、いきなり東京スカイ・ツリーの手紙から始まる。中島京子が、ちょっと川上弘美風になったのだろうか、スカイツリーは誰と手紙を交わすのかと思いながら読んでいくと、あとは東京のあちこちを舞台とする短編が続く。そして、巻末にいたって、こんどは東京タワーのお手紙で、この本は終わる。
この1年の大きなニュースを思い出すようなエピソードが含まれた話もあった。もとは昨年の1月~8月に「デジタル野生時代」に書かれたものらしい。中島京子の小説は、長編か、そうでなければ短編といっても連作のシリーズものみたいなのしか読んだおぼえがなかったので、へー、こんなのも書くんやと思いながら読んだ。
どの話にも、ちくっと刺すおもしろさがあった。私が気に入ったのは「亀のギデアと土偶のふとっちょくん」と、「おさななじみ」。
東京に引っ越したマサル一家。マサルのお母さんは、何もかもが新しいマンションで「とにかく汚さないこと全般に対して神経をとがらせて」いて、お風呂など「汚すくらいなら入らないで欲しい」とマサルやお父さんに言ったりする。あー、うちの父ちゃんみたいな人(台所を汚さないために揚げ物をしないような)はほかにもいるんやなあと、物語の中の人の言動を読んで思う。実家へ行ってなにがイヤといって、父ちゃんが「汚れる汚れる」と私のまわりでうるさく言うことだ。私は「生きていれば、汚れる」と思うから、じつに考えが合わない。
そんなマサルのお母さんの話にへーと思って読んでいた「亀のギデアと土偶のふとっちょくん」は、しかし、そのあとは思いがけない展開だった。
「おさななじみ」は、中坊の片想いの恋の行方を、48歳の玲と修平のあいだの時間を描く。
(3/16了)
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東京を俯瞰するスカイツリーからの書簡にはじまり、8つの短編を収録。
それぞれの短編はぐぐっとズームアップされ、日常の小さな出来事が描かれている。
特別珍しくはないけれど、そうそうありふれている訳でもない。
そんなちょっとした物語を読んで、作者の想像力が深いのに感心してしまった。
「金粉」は、かつて薔薇屋敷と呼ばれた家の姉妹がゴミ屋敷の住人になってしまった話。ゴミを持ち帰ってくる老女がいう、我が家の持ち物を人が勝手に持ち出しているから取り返すためとの理屈にハッとした。
金粉のエピソードが切ない。
「おさななじみ」は、一番好きな短編。5つ星!
お店を閉めるママの語りと結婚をすることの打ち明け話に引き込まれてしまった。
ママの純情、学生時代から時を超えて叶った運命にジンとした。
よかったねぇ…。私もうれしくなったよ。
大円団じゃないけど、小さなハッピーエンドの物語。良かったです!
思わず読み返してしまい、味わい深かった。
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冒頭、人が入ってくるのはまだ慣れません、と告白するスカイツリーから東京タワーへの手紙にやられちゃいました。
続く8つの短編はどれも素敵。たまにニュースになることもあるゴミ屋敷から、かくも美しい物語が紡がれるのかとはっとする「金粉」、中年男女の胸キュンハッピーエンド「おさななじみ」は中島さんならでは。
最後の、東京を見守ってきた東京タワーがスカイツリーに塔としての心得を伝える手紙がまた心を打ちます。
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自分らしさにもがく人々の、ちょっとだけ奇矯な日々。客に共感メールを送る女性社員、倉庫で自分だけの本を作る男、夫になってほしいと依頼してきた老女。中島ワールドの真骨頂!
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「眺望良し。【往信】」 「アフリカハゲコウの唄」 「倉庫の男」 「よろず化けます」 「亀のギデアと土偶のふとっちょくん」 「今日はなんだか特別な日」 「金粉」 「おさななじみ」 「キッズのための英会話教室」 「眺望良し。【復信】」
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八つの物語を挟み込むように配された、スカイツリーと東京タワーのやりとりにじんわり泣ける。ことに東京タワーの気持ちがよくわかって、愛おしくなる。そして、東京タワーからスカイツリーへのバトンタッチに象徴される時代の移り変わりが、そのほかの物語にはそれとなく織り込まれている。どこにでもありそうな日常の風景から、ほんのわずか視線をずらしたところにありそうな、アスファルトの割れ目から芽を吹いた小さな緑のような、目立たないがふと目を引かれる風景が詰まった物語である。なんとなく物悲しい気分にもなる一冊である。
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書き下ろしの「眺望良し。」往信と復信の妙にうなる。
「今日はなんだか特別な日」と「おさななじみ」が好き。