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建築家長谷川豪氏初の単著書。
作品集ではなく、書き下ろしのテキストと写真で構成されている。
まず、タイトルがよい。とくに、考えること、生きることがよい。
これまでこんなことを謳った建築家はあまりなかったように思う。
考えることは、建築家なら当然やっているだろうし(建築することはもっとあたりまえだが)
生きることも、当然人間ならあたりまえだからだ。わざわざ本のタイトルにはしない。
もっと自身の作風を明快に現そうとする言葉や、大義名分的なタイトルがつけられることが多いだろう。
これは、3.11以降、みなが感じていると思うけれど、あたりまえの幸せのありがたさの実感、が少しは影響しているだろうけれど、それだけではない。氏はもともとあざといことはせず、また言葉と作品のずれもすくない。
氏の作品はいつもさわやかで、直球で、でも新鮮で、ハッとする驚きがある。
そのような作品をつくるエッセンスは、氏の、スタディ模型の膨大さによるものだけでなく、スタディする以前の『考えること』が重要であったことが本書を読むと分かる。おそらく、スタディ模型よろしく、膨大な量を『考えている』に違いないのだ。
氏はまえがきで、
僕は考えることが好きだ。
と告白し、またまえがきの最後には、
・・・そうした格闘そのもの建築なのではないかと思う。考えること、建築すること、生きること、を地続きに思考するとは、たとえば、そういうことを意味している。
という。
だから、まず『考えること』である。
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余白のプロポーションの話が面白かった。
長谷川豪は建築の中に余白を作る、しかも使われる余白である。
例えば、机、1m上がった庭、森のテラスなど。
また、斜め方向に視線が展開する建物が、いくつものバリエーションで紹介されていたのも面白かった。
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新建築に作品が掲載されていた、いいタイミングに出版されたので買いました。まえがきから一貫して分かりやすい言葉で書かれていました。(一昔前の小難しい建築家本とは違って)15章から成っていますが、特に「時間と歴史」「余白のプロポーション」が興味深かったです。これからの作品にも注目したいです。
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建築に詳しくない自分でもよく理解できる、とても分かりやすい本でした。
そもそもこの人の建築が、等身大ではっきりとしたコンセプトを持っていることもあるのでしょうが、読んでいても疲れることなく、紹介されている作品にも、直感的に「いいな」と思えるものが多かったです。