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ビバークが寒そうで自分には耐えられないやと思いながら。仕留めた後、解体しながら食べるのがうまそう。内蔵を取り出したあと、血に染まった手で、タバコを吸う。小樽、標津町、足寄、古多糠、ブラッドソーセージ、羆騒動、火の女神フチ、アイヌ犬、アメリカハンター修行、アーブさん、エルク、クーガー、ユク、別れ、俺の考えが甘かった。ずるかったのだ。
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読み進めるほどに止まらなくなった。特に猟犬フチを得てから。ハンターの気持ちは完全に同調することはできなかったけれど、読んでよかった。
2015.3.16
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友人が「犬の話だよ」と言って貸してくれた、北海道のハンターが書いたノンフィクションです。著者は大学卒業後、就職せずに狩猟だけで生きていこうと決意し、北海道の山の中で鹿や熊を撃って生活し始めます。
読み始めたときは動物を殺すのが何だかなと思ったのですが、著者の動物の命と向き合う姿勢や、撃った動物を余すところなく感謝しながらいただくという姿勢に、狩猟に対する考えが変わりました。
そして著者が育てた狩猟犬が本当にすばらしい犬で、こんなに信頼し合えるってすごいことだなと思いました。
犬好きはもちろん、北海道好き、動物好き、自然好きな人にもおすすめです。
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作者の淡々とした語り口から、自然と対峙するということは、本当に「容赦のない」ことなのだと、ひしひし感じる。
甘い、とか、厳しい、でもなく、感情の届かない場所にあるのが自然の摂理というものなのだろう。
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岩田書店さん選書
羆猟で生活をしていた方の話。
猟犬のフチとの猟とアメリカでの生活の話が面白かった。
こんなに自然の中にに生き、生き物を愛している人がいるなんて知らなかった。
自分が今いる世界を彼のように愛せているか、自問自答した
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大草原の少女みゆきちゃんのお父さんが、若かった頃、熊猟を主として生計を立てていたころの様子を描いた著書。羆を獲ってその場で解体して、内臓を食うという、野性味あふれる人物像とは裏腹に、書く文章がうまい。特に山の中の自然描写には多くのページ数を割いており、素晴らしい山の情景を読者に少しでも多く伝えたいという筆者の想いが伝わってくる。羆のわずかな痕跡を見つけだし、後を追い、仕留めるという息詰まるような攻防もまるで目の前に繰り広げられているかのような描写で書かれ、中盤以降出てくる猟犬「フチ」との生活や、永遠の別れの部分なども、この本に大きな色をつけてくれている。山での生活は、想像しているよりももっと壮絶なのだろうが、そんなことよりもある種の憧れを抱かせるような世界観を見せつけてくれる。
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みずみずしく読むうちに語感が目覚めていく気がする。
厳しさを厳しいと感じさせない山中での狩猟生活の素晴らしさ。筆者の優れた狩猟感覚と身も心も自然ととけ込んでいるせいであると思う。自分などにはとてもできないだろうけれどとてつもなく憧れてやまない。
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2016.10.23読了。
今年8冊目。
岩田書店一万円選書の一冊。
これまたものすごく良かった!
何から書けばいいだろう...
とにかく久保さんに魅了されっぱなしだった。
その場で体験してるかのような臨場感のある描写。
狩猟に全く興味のなかった私だけど、北海道での猟、アメリカでの生活、フチとの関係、そしてフチとの猟、どれもとても魅力的に描かれていてどっぷりのめり込んでしまった。
だけど一気に読むのはもったいなくて少しずつ少しずつ大切に読んだ。
羆撃ちとしての生き方、考え方ももちろん素晴らしく、そしてなにより素敵な文章を書く人だなぁと思った。
続きが読みたい。もっと知りたい。
恋する乙女のような気持ちで読み終えた。
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久しぶりにすごい本を読んだ。
私が「ヒグマもの」にはまっていたときに買った本で、買った当初数ページだけ読んでそのまま積ん読にしてあったものです。
今回なんとなく「今かな」という気がして読み始めたら、もう止まらなくなりました。
もう驚きの連続でした。
私の「ハンター」の想像というのは、車で山まで行って、そこから山の中ウロウロして獲物を探して、いなかったら諦めて下山して家に帰って、後日また来る……というものでした。
ところがところが!
久保さんはまず山の中にキャンプを張り、そこから獲物の足跡などを追って山の中深く入り、追ってる獲物がその日のうちに見つからなかったらビバークするっていうんですから。
北海道ですよ、ヒグマいますよ。
「えーっ!」と信じられない思いでした。
そして獲物を倒したら、その場で解体。
それも心臓とか、その場で炙って食べながらやるっていうんですから、もう想像もつかないことばかりで「すげーっ!」の連続。
淡々と、誰かとの会話文なんてほとんどなく、獲物を追って山の中を歩いてる描写が続くのですが、それがすごく臨場感があって、書評で「まるで森の中にいるよう」と言われたのも頷けます。
なんという人がいたんだ、気づけてよかった、本を出してくれてよかったと思いました。
そして猟犬フチとの出会いと別れ。
たった一人で狩りをしていた久保さんにとっては、フチの才能は本当に心強かっただろうなあ、それだけにフチを失った悲しみは計り知れないです。涙なしには読めませんでした。
読んだらブック〇フ〜くらいに思ってましたが、絶対に残しておきたい本になりました。
私は持っていたので他の本に差し替えてもらいましたが、一万円選書をお願いした時にも候補に挙がっていた本なのもわかる!
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様々なものが谺した。
ライフルを撃った音、熊の唸り声、
鹿の叫び声、愛犬の吠える声、
それらが山や谷で何度も谺した。
北海道だけでなく、
アメリカへ武者修行に出る著者の
行動力に驚かされる。
狩猟をしながら旅をしてみたいという
思いが胸の中で谺している。
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羆と人間との戦いを扱った小説が好きで『ウエンカムイの爪』『羆嵐』『シャトゥーン』などを読んだが、ハンター自身が書いたノンフィクションを初めて読んだ。小説家が書くものと全く違うのは、羆との戦いがとても静かだということだ。
小説のように羆に襲われて間一髪で助かったり、突然鉢合わせして手の届く距離で睨みあったりしない。風上で安全な場所から、ライフルで仕留める。
よく考えたら、小説のようなことが頻繁にあったら、いくら命があっても足りない。危険に遭遇しないようにするのがプロのハンターだ。
この作品は山あり谷ありのジェットコースターノベルとは対極にある。ひたすら地を這うような抑制の効いた文章で自然と対峙する作品だ。こう書くと、つまらない作品のように思われるが、これが実に面白い。ひとりの男が雪山で羆を追いかけるだけで、これほどの文学作品になるのかと驚く。あまり山を下りず、文明的なものから離れて暮らしているのに、どこでこれだけの描写力をつけたのかとても不思議だ。
何より自然の描写がすばらしい。羆の痕跡を発見できずに、何日も雪山の中を彷徨うこともある。そんなときも木々のざわめきを聴き、星の瞬きを眺め、月光の影に静けさを感じ、陽光照り返す白銀に温もりを感じる。
視覚に頼らず、嗅覚とか聴覚とか、皮膚感覚が優れている。
完全インドア派の自分でも、キャンプしたくなるくらい魅力的な世界だ(でも、しないけど)
物語の中盤では、プロハンターの資格を取るためにアメリカの養成学校に行く話になる。これはこれで面白かったが、説明が面倒なので書かない。
後半は猟犬フチという相棒を得たことから、人と犬との友情物語になってくる。これはたぶん犬好きには涙なしでは読めないくらい感動すると思う。特に犬好きでもない自分でも、感動した。かわいいし、忠実だし、賢いし、非の打ちどころがない。犬って本当に健気だな〜、とつくづく感じた。
一流の猟犬になるまでの厳しい訓練に耐える姿、恐怖心を押し込め、小さな体で勇敢に羆に挑む姿、空腹でも決して歩みを止めない姿など、かわいくて、かわいくて、かわいくて、もう、かわいいしか出てこないくらいかわいい。
ハンターの物語だけなら☆4つだけど、フチの物語が加わったことにより☆5つ。いや、☆10個!
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ありがちなプロフェッショナルな人の一人語りかと思って読み始めましたが、これは深淵なる自然との交歓の記録であります。羆ものは好きなのでどうしても読んでしまいます。
ただ、やはり基本的に野生動物を狩って首を飾ったりするのは生理的に受け付けないので、アメリカのハンティングに弟子入りしている所では素直に頷けない部分もありました。他国の文化なので否定はしたくないですが、動物の首をトロフィーといって、壁に飾ったりするのはどう考えても悪魔的。食べる為でなく飾るためってどうかしていると思っています。
でも日本で愛犬フチと共に野山を駆け回って、狩った動物に感謝と愛を持って生活の糧にしている所は神聖な空気を感じる事が出来ました。そもそも生き物を殺す事を云々する人がいますが、自然に無関心な人が自然を壊すんですよね、特に川で遊んだ事無い役人のする公共工事は本当にえげつないです。以前秩父の山中ので前年まで誰も来なかった小さな渓谷が翌年護岸されていた時はまさに怒髪天を衝くという気持ちでした。話は逸れましたがこの本は自然への敬愛に溢れています。
ちなみにアイヌ犬フチがとてもいじらしくてかわいいので愛犬家にもお勧めします。絶対泣くので人前で後半は読まない方が良いでしょう。
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久保さんとフチとの関係が素晴らしい。フチが健気で泣けてくる。人間同士でもこんな関係は作れないだろう。
最後は涙で読みづらかった。フチと出会えて、久保さんは本当に幸せだったと思う。
またこの装丁の絵が実にいい。
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久保俊治 「 羆撃ち 」プロ猟師である著者の猟師生活ノンフィクション
宮沢賢治「なめとこ山の熊」、星野道夫の写真の世界観とリンクした。命のやり取りの残酷さ、自然との距離感を間違えたら命がなくなる緊張感、自然に生かされている自分など 研ぎ澄まされた死生観に満ちている
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---ゆっくりと静かに構えたライフルのスコープの中に収まりきらない。ライフルを回すようにゆっくりと動かし、スコープの中で熊の鼻を見つける。そのままほんの少しライフルを下げ、喉を狙って引き金に力を加える。
熊が崩れ落ちていった後、スコープには枝越しに空が、そして雲が写っていた---
短くて簡潔で研ぎ澄まされた文章
自然の中で狩猟する感覚と、動物たちとの対峙が飾り気のない文章で淡々と綴られています。