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NHKで放送されていた推理番組「わたしだけが知っている」。
鮎川哲也のシナリオを挿絵とともに活字として再現したのが本書です。
どれも楽しい推理クイズ。
【白樺荘事件】白樺荘に滞在する5人の男女。この中に銀行強盗犯がいるのでは!?そして起きた殺人事件。
映像で示したであろう伏線を挿絵によって補っています。登場人物たちの特徴、会話からすっきりと犯人が導きだせます。
【遺品】ホテルで女主人の護身用の拳銃が紛失。その後拳銃によって死んだ男が発見される…。これは2枚の挿絵が間違え探しみたいでおもしろいです。
【俄か芝居】情報を提示している挿絵などにうまくミスリードされました。これが一番おもしろかったです。
【悪魔の灰】密室で顔に灰を被った死体。なぜ灰を被っていたのか?灰はいろいろと現場に痕跡を残してしまいそう。
短いながらもどろどろした人間関係に密室にと濃い内容でした。
【アリバイ】鬼貫警部が登場するアリバイ物です。怪しい容疑者が何人もいて全員がアリバイを主張しているのがおもしろい。
それぞれの容疑者たちの顛末も物語として印象的です。
ところでこの真相について、そんな情報かいてあったっけ?と2回読んでもわからなかった…。
【茜荘事件】雑誌記者に強請られた三人の男2人と女1人。庭で発見された記者。殺したのは誰か?
記者を恨んでいた男を入れて容疑者は4人。容疑者と証言がうまくミスリードしています。
【弓矢荘事件】松林で殺された女優。容疑者は劇団員たち。あれが重要な手がかりだとすれば事件の経緯は想像出来ますが、犯人のミスが犯人自らによるものだったというのが皮肉です。