投稿元:
レビューを見る
この本で自分が考えたのはふたつの事。
まずは守破離。
「規矩作法守りつくして破るとも離るるとても本を忘るな」
言葉として知ってはいたが、出典が利休だとは知らなかった。
本、とは考える事、ではないかな、と、自分の少ない経験から。
もう一つは漢詩について。
曰く、漢字の文字列の中に読者の心が入り込み、景色をつくっていく、との事。
確かに、説明過剰な仮名混じりの文よりも、個々のイメージのひろがりがあるのだろうと思う。
一文字一文字が繋がっていくのは面白かった。
勿論、茶碗の写真も良かった。
年代別に並んでいるので、その変化を眺めるのもまた面白い。
投稿元:
レビューを見る
千家十職。その中でも1番華やかな印象を持つ、樂家。伝統と現代の交わりは、1人の職人の中で交わり、花開く。
私は彼の作品を全て好きだと言えるほど芸術を解さないけれど、言葉と幾つかの作品が素敵だと感じる。同時代に生きるからこそ、知りたい言葉を作品と共に詰め込んだ一冊。好きでした。
投稿元:
レビューを見る
樂家当代、樂吉右衛門27歳から62歳までの作品集。樂家の伝統、古都の伝統を踏襲しつつ芸大とイタリアで彫刻を学んだ放浪のヒッピー世代である彼の作品は、民芸、工芸というよりは現代美術に佇まいが近く、その30代半ばから40代半ばまでの作品群が私にとってはあまりにも衝撃的で素晴らしくて、何度も何度も頁を繰っては穴が空くほど凝視していたのだが、彼が40代半ばを過ぎてからの作品群にはなぜかほとんど惹きつけられるものがなく、あー、やっぱり、人間の創造性というものは生物学的なピークの後に、ある程度の経験、学習を積んだ30代半ばから40代半ばに頂点に達して、後はその生物学的能力の衰退と共にどんどん枯渇していくばかりなんだなーと暗く哀しくなってしまった。