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世間の主流である構造改革路線と全く逆行する考え方が書かれている。異常事態である長期に渡るデフレを脱却するのは規制緩和や小さな政府、グローバル化ではない。況してや消費増税などありえないとの内容。これを実現、決断していける政治家は現れるだろうか?地方分権を推進している橋下市長も政策が全くこの本と逆ですね。
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デフレ、インフレ等について分かりやすく書かれています。
昨今の政治についても、しっかり言及しています。
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今までの政策をデフレを引き起こす「デフレ・レジーム」と定義し、順番に批判している。全体的に的を射ているが、少しやりすぎている。強く批判しすぎると、反撃を受ける余地ができる。理論に飛躍した部分が少なからずある。
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デフレ脱却のための方法が書かれている。金融政策単独でのインフレターゲットの達成に懐疑的であることがわかる。実際に金融政策単独でのインフレターゲットの達成はむずかしいだろう。歴史的にもデフレからインフレへと金融政策単独でチェンジしたことはない。
そもそもインフレターゲットとは、インフレ下の国々で生まれ、インフレを退治するために利用されてきたものだからだ。岩田規久男やポール・クルーグマンがインタゲでインフレ期待を人々に抱かせて、デフレから脱却することを提案しているが、マネタリーベースの増加で銀行、借り手の期待を刺激するの難しいかもしれない。
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インフレとデフレの政策の双対性を示し、それらの対応に関しては枝葉の政策だけではなく、体制を変更する事を必要だというのが筆者の主張。
そして、デフレなのに、デフレレジーム(インフレ対策)の政策をうってきたことが失敗だったとも主張している。これらは私も大賛成。
ただし疑問が2点。
1点目は、インフレレジームの転換の際に、政府の規制強化を入れている事。確かに、デフレ下で、既存の規制を緩和していく体制は望ましくないのはわかる。規制緩和とは、供給能力の向上に他ならないから。
しかし、既存の規制を強化することは、それによって満たされていた需要を制限する事にもつながる。供給能力の削減によって、デフレを克服しようとしたのはアメリカの大恐慌期のアンドリューメロン氏だったが、供給の削減は、需要の削減にもつながってしまい、GDPが4割減るという結果になってしまった。
2点目は、インフレターゲティングに対する誤解。
インフレターゲティングの必要性は認めながらも、その効果に疑問を抱き、デフレレジーム(インフレ対策)の政策だと捉えている点だ。
インフレターゲティングは、政府の定めた目標に対し、中央銀行にその実現のためのあらゆる方法を肯定する代わりに、実現できなかった時の罰則を与えるものだ。この説明がなかった点は問題だったと思う。なぜなら、この説明があれば、デフレレジームの政策ではない事がわかるからだ。
政府による規制をインフレレジームの政策としてとらえている以上、政府が中央銀行に対する目標実現の義務を課す事は、間違いなくインフレレジームの政策のはずだ。したがって、中野氏のいうようなインフレレジームの転換を主張するなら、日銀法改正やインフレターゲティングは肯定的にとらえなければならないはずだ。
以上の理由で星3で。
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なかなか説得力はあった。
要は、公共投資を増やせば乗数効果で景気は良くなるということ。
日本国債は、国内の投資家が主に購入するから、バンバン発行すれば良い、という主張。
典型的なケインジアンかな。
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低成長あるいは不況と、デフレ不況とは別物なのです。(…)増税賛成派は、デフレを単なる不景気と誤認しており、デフレが絶対に避けなければならない異常事態であることを理解していません。14
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輸入原油、輸入食料そして消費税増税というコスト・プッシュのインフレは、物価を上昇させますが、需要を縮小させるデフレ圧力となります。40
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重工業が発展して起きた「第二次産業革命」以降、事業活動が飛躍的に大規模化したため、巨額の資金ニーズが発生し、金融市場の役割はますます重要になっていきました。よく、資本主義と市場経済が混同されますが、このふたつは必ずしも同じではありません。金融機能がない実物だけの市場経済は、資本主義ではないのです。60
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投資とは、現在においては「需要」、将来においては「供給」という、異時点の経済行動なのです。91
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エクルズは、財政の健全化は、国民所得の成長がなければ達成し得ないと認識していました。209
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エクルズは、課税を財源確保の手段としてではなく、資金の流れを調整するための手段として考えていたのです。210
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個人や企業であれば、破綻することはあるかもしれないが、合衆国のような人的・物質的資源を持っている国が、自国民から借りることで貧しくなることはあり得ない。われわれが貧しくなるとしたら、実質的な富の生産において、遊休の人員、資源、生産設備そして資源の有効活用に失敗することによってである。211
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デフレ克服のために積極的な金融緩和策を支持する一方で、その資金を国内で回すべく、政府による積極的な公共投資とそれを行うための大きな政府が必要との主張は、現在支配的な金融緩和によるデフレ克服論一辺倒の論調に一石を投じるものと思う。
国の借入が増大しても国家は破産しないという部分は少し勉強していれば当たり前の話だが、一方で公共投資を行うために、このままどの程度まで国債発行してもOKかという部分について、当然ケースバイケースなので明確化はできないものの、その部分の記述が薄いので筆者に聞いてみたい。
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長きに渡るデフレという忌むべき状況に悩まされている日本。バブル崩壊後、日本は、どのような過ちを犯してきたのか。「グローバル化することは、良いことだ」と疑わずに、信じ続ける大衆。この本が、多くの方に読まれることを切に願う。
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現在の産業や経済が目指しているイノベーションや効率化が成長どころかデフレを生み出していることを指摘した本。
競争社会というのがそもそもの問題にある気がする。
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資本主義制度で最悪の状態デフレの症状が説明され、その状態から脱却させる処方箋が書かれている。
インフレ経済から脱却する手法としてのデフレ・スキームをサッチャーなどが採用してきた過去の経験はあった。
インフレ退治するスキームであるデフレ・スキームをあろうことにデフレに悩む日本で数十年に渡って採用してきたと著者は指摘する。
ミンスキー、マリナー・S・エクルズ等の主張を参考に恐慌を突破する逆転の発想としてのレジーム・チェンジを先人の知恵を紹介しながら書かれたすぐれた著作である。
トックビルの言説を紹介し、自らこの本を出版したとしている。
とにかく、逆転の発想を紹介すべく、所謂、主流派経済学者が採用しない先人の知恵・知識をよく学ばれている中野剛志氏である。
最後に、氏の提唱するTPP亡国論も、デフレ・スキームの方策であることも理解できました(笑)。
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デフレは異常な経済常態であり、現在の経済対策は「デフレ・レジーム」を元に考えられたものである。「インフレ・レジーム」にレジームチェンジすることが必要である。主張自体は正しいのかもしれないが、全体的に論拠が弱すぎる印象を受ける。論理が曖昧か、ただ他の著者の紹介に留まっていて、結論ありきな文章だと感じた。デフレレジームは民主主義の危機につながるという主張は面白い。