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明治国家の創成期を伊藤博文を中心に述べている。当事者間の書簡やり取り部分はやや難解だが、非常な良書と言っていい。
維新の元勲亡き後、伊藤が中心となって近代国家の整備をしていくにあたり、薩長閥内部、宮中、官僚、民間、そして明治天皇までもが、抵抗勢力として立ちふさがり、その中を巧みに調整しながら、憲法、国家制度形作って行くその調整能力にはただただ脱帽する。
・専門知識は書物を通して獲得することは、理論的には可能であるが、行政の実態や現実政治を動かしている慣習や機微は、実際にその場に立ち会わなければ理解が困難である。
・伊藤が宮内卿に就任した当初、宮中とりわけ明治天皇は大いに警戒感を持って接していた。
・宮中儀式の洋装化は、日本が近代国家であることのひとつの証明の手段。日本古来の服装では各国には人間ではなく人形扱いをされた。
・「儀礼としての消費」消費とはある社会関係を創出する一つの儀礼の過程。
・明治大帝への過程には、皇后の力量が非常に大きい。
・大日本帝国憲法は民権派にも概ね好意的に受け入れられた。
・天皇は初期の頃陸軍主流の山県、大山よりも、敵対していた4将軍派を支持していた。