投稿元:
レビューを見る
うまく整理できない。けど眠る前にひとつずつ読みたい、という帯のコピーは、正しかった。
こんなの、会社に行く時に読んでたら、眠たくて胸がすーんとして、もう何にもしたくなくなっちゃう、と思う。
この間ギャラリーで見たあのスミカのお芝居たちに似ているかもしれない。
トゲの硬い金平糖みたいな短編連作。
投稿元:
レビューを見る
眠れなくて、胸がぎゅっと苦しくて、それを傍に居る人に悟られたくなくて、じっと丸くなっている。
そういう経験のある人に。
投稿元:
レビューを見る
表紙がかわいいなぁと思い購入。
主人公のあまりの頼りなさ、子供っぽさ加減に
イライラすること多々ありましたが
なんとか無事に読み終えました。
全体的に暗い話ばかりの印象で
この先読み返すことはないかもしれないけれど
ひとつひとつのエピソードに出てくる
キーになる人物や動物は、この先忘れることないかもしれない。
そのくらい印象に残る話ばかりでした。
この本に対する私の評価が低いのは、
恋愛物語があまり好きではないからかもしれません。
女の子にはお勧めの1冊かもしれないなと思いつつ
書棚の奥に入れてたまには表紙を眺めたいです。
投稿元:
レビューを見る
家を出て
ひょんなことから
ゆうちゃんの家に転がり込むことになった
きいちゃん。
一人暮らし歴が長く
ジャムだって作れる
美容師のゆうちゃん。
少し情緒不安定な
二十歳の女の子・きいちゃんと
困っている人をほっとけない
優し過ぎる青年・ゆうちゃんの
甘く切ない恋模様を描いた
連作短編集です。
ガソリンの匂いと共に食べた晩御飯の思い出、
長生きしたカブトムシの話、
アメリカ帰りの
優しいおばあさんの話、
不思議な転校生・サルコの話、
特撮会社の岩職人、
岩ちゃんの話、
身体が小さくなる病気を患った
先輩美容師ミリさんの話、
など
いつからか眠れなくなったきいちゃんのために
毎晩話してくれる
ゆうちゃんのちょっと不思議で
切ないお話の数々。
このひとつひとつの物語が
本当に面白くて
ついつい引き込まれていく。
(ゆうちゃんの語り口の上手さと
きいちゃんの素直な合いの手の妙!)
優しくはあるけれど
どこかドライで覚めた
ゆうちゃんの言葉と、
深い繋がりをいつも求めている
きいちゃんの想いとの
悲しい温度差。
ほんの僅かな
すれ違いから
次第にギクシャクしてくる二人の関係。
そこから自分の生活を見つめ直し、
ゆうちゃんに依存した
楽だけどふわふわしただけの場所から、
自分の足で歩いていこうと
もがき続けるきいちゃんの姿に
なんか共感してしまいました。
それにしても
切なさを内包した
キラキラとした言葉や、
本業が歌人である東さんだけに、
独特のリズムで進む文章が
妙に心地いい。
劇的な出来事なんてなくても
当たり前に揺れ動く小さな感情を、
壊れ物を扱うように繊細に積み重ねていく
小説に心惹かれます。
その意味でも
この小説はまさにツボで、
夢見るように儚くて
切なく胸に残る、
あたたかい文章に
一気にファンになってしまったくらい
そこに流れる空気感が好きなんです。
二人手を濃い紫色に染めての
ぶどうジャム作り。
二人の指で作った
ほどけない知恵の輪。
微笑ましい
ベッドの中のキツネ遊び。
好きな誰かと過ごす
永遠を感じるひととき。
独り身の人は
二人でいることの自由をうらやましく思うだろうし、
たった一人の理解者と
今を生きている人には
いろいろと参考になる恋愛小説だと思います。
投稿元:
レビューを見る
ほっこりなるけれども切ない。
最後はあれで良かったのかも知れないけども、自分としては胸がぎゅーとなって辛くなったので4つ星。
大好きな一冊になった。
投稿元:
レビューを見る
ちょっとワケありな家族と離れ、美容師をしている恋人の部屋に居候している女子大生が主人公です。彼女は少しばかり心のバランスを崩していて、大学も休学中。何をするでもなく、ただただ日々をやり過ごしています。そんな彼女が眠れない夜は、恋人がお話を聴かせてくれます。それは、子供の頃の友人の話であったり、むかし近所に住んでいた人の話であったり、アルバイトをしていた頃の同僚の話であったりです。著者は歌人でもありますから、言葉の使い方がとても巧みです。どれも取り留めのないお話のようですが、なんだか妙に心に引っ掛かります。
ときには、なんだかおかしな人と関わりを持ったりしながら、少しずつ前に歩み始める主人公なのですが、得てしてこの世に命を繋ぎとめるもととなっているのは、取るに足りない日常的なことなのかもしれませんネ。
投稿元:
レビューを見る
2008年3月にマガジンハウス社から単行本として出版されたものを文庫化。
メンタルに問題を抱えた20歳の娘・築(きずき)が、再生の道を歩みはじめるまでの12編の物語。きずきを支える心優しき美容師のゆうちゃんとの同棲生活が、いかにも現代的。でも、こんなに優しき男の子がいるかよと突っ込みたくなる内容。
時系列に沿った12編の短編が一つの物語を構成するのだが、短いタイトルからなる各短編が独立した物語としても読める。次第に明らかになる、きずきの複雑な家庭環境。眠れぬきずきに聞かせる、ゆうちゃんの寝物語が実にユニーク。
投稿元:
レビューを見る
登場人物の頼りなさも優しさも強さも、ひとつひとつの台詞も、全部まるごと大事にしたくなる。ここまで感覚的に読める小説もなかなかない。ふわっとしていながらもしっかりと着地するような、不思議な言葉の魅力がある。ひとりの目線から見る世界がふたり、その周りへと広がっていく過程がとても心地よく、儚くも何かが残る物語。
投稿元:
レビューを見る
歌人の著者。
小説は初めて読んだ。
雰囲気がすごく好き。
なんだろ、色で言ったら、薄い水色か緑色な
さやさや~とした感じの文章がとてもここちよかった。
登場人物がみんなどこか不思議だけど優しくて、好きです
引用。
「仕方のないことって、どうしてこう、人生にまとわりついてくるんだろう、とため息をつきそうになった。」
「あたしとゆうちゃんも、の続きは『ジャムみたいだね』だった。
でも、そう言ったとたん、今のできごとが全部ジャムみたいにかたまって、
思い出にかわってしまいそうでこわくなったのだ。だから、言わなかった。
あたしとゆうちゃんの時間は、小さな炎で煮続けていくんだ。
ずっとずっと、どんなに小さな炎でも、かまわないから。」
「あたしの中に、『加減のわかる装置』のようなものがあればいいのに。
いろいろなことの加減ができる装置。とくに心の加減の。」
「おれは、男のストーカーなんかじゃなくて、この世でたった一人の、
ずっとそばにいてくれる女の子が欲しいんだよ」
「ゆうちゃんがあたし一人のものじゃないってこと、分かってる。
よく分かってる。でも、今はここにいてほしい」
「ゆうちゃん、好き。大好き。ゆうちゃんも、あたしのこと、ずっと好きでいてね。ウソでもいいから」
投稿元:
レビューを見る
反則だ、と思う。説明したくないな、と思う。ただ一つ言えるのは、わたしはきいちゃんではないのに、どうしようもない気持ちになったということ。
投稿元:
レビューを見る
ゆうちゃんときいちゃんの幸せな生活。幸せな生活がなぜか悲しいのはそれがいつか終わるから。
それにしてもピョートル大帝はその後どうなったのでしょう。
投稿元:
レビューを見る
帯タイトルは、
「西加奈子さん推薦!
‘ふわふわしている癖に、
どうしたって胸を掴んで離さない’」
「眠れないなら、またなにか話をしてあげようか」
眠る前に一編ずつ味わいたい、現代の「千夜一夜物語」
文章の感じが小説っぽくないなーと思っていたら、
歌人の方だったんですね。
ゆうちゃんときいちゃん。
気弱で生真面目で甘えん坊。
たぶん、苛々する人もいるんでは。
私は好きです。
こーゆー、淡い感じの本。
文章がまぁるい感じです。
本当物語というか絵本というか、
小説!って感じがしない一冊です。
外では居場所を見つけられずに
唯一自分でいられる場所が
恋人である美容師ゆうちゃんの住むアパート。
眠れないきいちゃんのために、
ゆうちゃんが話す不思議な物語が主軸で
展開していきます。
ゆうちゃんが話す物語が
きいちゃんの現実に少しずつ影響していき
不思議な出来事も起こります。
最後、
きいちゃんも
ゆうちゃんも
自分自身や相手を見つめて
動き出すように
切なくて優しいハッピーエンドでした。
最初の一編が「青鬼」でしたが、
最後まで読むと、
すごく納得なんです。
一冊全部読み切って
青鬼を読み返すと、
そーなのかあ、最初が青鬼だったのって
意味があったのかな、って。
やさしくて綺麗で愛しいだけではなくて、
どこか終わりや最後を感じさせてくれるスパイスが入っています。
「どっかにぶつかってもさあ、
気がつかなくて、
どんどん当たっちゃって、
こうなっちゃうんだよね。
痛くなさすぎて、
生きてるかどうかも分かんないって感じ。
もう人生そのものがわけ分かんない」
愛しく不器用な人ばかり。
優しくて不器用な人ばかり。
自分勝手でワガママで憎めない人たち。
青鬼はどうなったんだろう。
どんな気持ちだったんだろう。
投稿元:
レビューを見る
ふわふわときゅんとする、感じが好きです。
ゆうちゃんはすてき男子。こんな人いたら甘え過ぎてしまいそう。
不安定な人ってすごくいるけど、ただ甘えてるんじゃなくって、心が弱いんじゃなくって、難しいところにいるんだと思う。
きいちゃんのように、何かのタイミングで気づいたり変われたりするといいな、って思う。
投稿元:
レビューを見る
ネタバレ
西加奈子さん推薦
「ふわふわしてる癖に、どうしたって胸を掴んで離さない」
というのが気になって、あと、表紙がかわいくて購入。
比較的薄い部類なので、サッと読めます。
まずは、甘い!甘いよー。
かなり最初のとこ
ゆうちゃんの指は、その森の中を自由に、すばやく走りまわる、森のおおかみ。(引用)
のところとかで
あ、これ駄目かもって思ってしまったけど、最後まで読みました。
読んでるとドキドキしてくる。(良い意味ではなく、ハラハラっていうか動悸に近い。笑)
元(本当)のお父さんが実に嫌な人で、少しは良いところも見せて欲しかったかな。(まあ、そこはしょうがないのか?)
好きなのは、くしゅの話!ミリさん!
サルコも少し気になる話。
そういう不思議な感覚、ふわふわ?した感じは好き。
でも、読み終わった後の何とも言えない感じが、いやこの終わりでいいんだろうけど…、でも、っていうのが。うーん、何度も読み返したい!!!とは、ならないかなぁ。個人的な好みの問題かな!
あとは、妹(異父姉妹)の希望ちゃん。
姉妹間で、通じあえてないことってあるだろうな。近くにいても、家族でも。
自分のことしか考えてなかったとか、きいちゃん気付けてよかったね。
投稿元:
レビューを見る
東さんの物語は、いつもガラス越しでみているのような感じがする。それも、昔の手作りガラス。透明なはずなのに、ところどころゆがんだり、色が変わったり、きらきらしたり………。そして、手が届かない。十二の物語はどれも切なくて、ゆらゆらでキラキラしている。